High×Joker
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「電話お悩み相談?」
「うん」
夏来が春の大イベント31.5時間テレビを終えて。夏来と旬が所属している事務所の春の人気企画だ。あそこのアイドルが総出でやるイベントはいつも大がかりで賑やかだ。
私も放送はもちろん見た。夏来は雨彦さんとマイタルと3人でお悩み相談の企画をやっていた。素人目にも結構良かったと思う。相談者が伊瀬谷四季とわかった途端の柔らかい笑みと声音は、こちらも思わずドキッとした。相談者……なんだっけ、「ペンネーム・ハイパーアゲアゲメガネ」?さんとその友人も、それから同席した「ペンネーム・馬主を夢見るおじさん」とその同僚も、ほぼ匿名性など無いに等しく、旬など「これでいいんですよ、みんなこれが見たいんですから」と開き直っていた。
で、それがどうした。夏来は私に自分の出演映画やグラビアの感想を求めない。今回だって、私がリビングで録画を再生していたら「それ、見たの?」って目を丸くして、そこで初めて私が録画していたことに気付いたらしかった。だって、ジェスチャーゲームで一生懸命トゥモローダイヤモンドを再現するのに全然伝わらない握野くんがもう一回見たかったんだもん……
私は一旦録画を止めた。別に夏来がいるのにテレビを見たいわけじゃ無い。あれは本当におもしろかったけど、夏来のいない時でも見られるから。夏来が隣に座って、ソファが柔らかく沈んだ。
「あれでしょう、四季くんがお悩み相談したやつ」
「うん。実は……俺も、悩みがあって」
「悩み!?!?」
夏来の悩み!?仕事ならプロデューサーやユニットメンバーに相談した方がいい。プライベートだって、そう。それは夏来もわかってるはず。私にわざわざ言うと言うことは。
「私への不満……?」
「ふふ」
「ちょっと待ってよそれどういう表情?」
夏来は蠱惑的だのセクシーだの言われる微笑を浮かべて何も答えない。夏来がスマホを触ってすぐ、ペンペロリンと着信音が鳴った。私のスマホ。
発信者はもちろん夏来だ。隣にいるのにわざわざ電話なんて、何を考えているのか。いや、わかるけども。思わず睨むも、夏来は微笑を崩さない。
「ちょっと」
「お悩み電話相談、聞いてくれる?」
「ぐぬぬ」
困った顔で自分より背の高い男に上目遣いされるとこちらもぐぬぬしか言えない。私は通話をタップして、耳に当てる。
「……もしもし」
「こんにちは。えっと、それで。お悩み相談なんだけど」
「どうぞ」
「恋人が顔を見せてくれないのは、どうしたらいいですか」
思わずソファから立ち上がって距離をとる。夏来が「あっ」と言う顔でこちらを見たが、私は顔が真っ赤なのを指摘されるのが嫌で背を向ける。何って、多分その質問は夜のことでしょう。私は顔を見られるのが嫌で嫌で仕方なくて、夏来はそれの理由が分からなくていつも不満なので。理由なら何度も説明した。歪んでひっどい顔を国宝級イケメン3連覇男に見られるのが嫌。「どうして?かわいいのに」と真剣に説得してくる夏来ときたら、正直どんな顔で何してても絵画みたいに美しいのだから、一生わかってくれないと思う。
「まだ続きが」
「勘弁してよ!その話は嫌なのって言って終わったじゃん」
「でも……」
「夏来は顔が整ってるから鼻水出ててもかっこいいけどね、普通の人は仰向けのひっどい顔見られたくないの!二重顎!鼻の穴!その他いろいろ!お分かり!?」
「でも……」
「……そんなにでもでも言うなら聞いてやるわよ」
正直律儀に通話のていを保っている時点で夏来のペースに飲まれていて、私の方が圧倒的に不利だ。こんなこと、幼馴染の旬含むハイジョメンバーに相談されたら恥ずかしすぎて死ぬから、電話相談でよかったのかもしれない。いや、本当に。もしかしたら相談済みで、その上でこの方法を取っているのかもしれないけど……終わりだ。夏来にとっても大事な幼馴染だが、私だって小さい頃から旬を知ってる。ど、どんな顔で次会えば……
夏来が口を開く。深刻そうな声音。
「顔……見せてくれないから、キスができない」
「うっ」
「俺のこと、きらい?きらいだからキスしてくれない……?」
「ちが、違うって……わかって言ってるでしょ!?」
「理由、言ってくれないから……分からない」
「う……」
表情を曇らせてたったそれだけで大輪の花が萎れたような、そんな破壊力がある。今まで散々自分の顔の美しさを説かれても無頓着のように見える夏来だけど、多分本当は熟知していて、表情を使い分けてる。そうとしか思えない。そうであってくれ。ここまで無自覚だと、本当に手に負えないから……
「言える、よね?」
ああ、本当に手に負えない。そっと背中に触れる体温。スマホ越しに叩きつけられる声と、それから体に直に響く声と。とんでもない破壊力だ。私は項垂れて渋々それを口に「させられる」。どうか、頼むから自覚してほしい。自分の顔が光輝くかっこよさだってこと。私は君が大好きで、正直口にするのも恥ずかしいくらいだってこと。
「言わなくたってわかってよ……」
夏来の顔に慎重に指をかけて、キス。すぐさま離れて夏来の表情を伺う。ペンポロリンという間抜けな終話音が私たちの間に響いた。
「うん」
夏来が春の大イベント31.5時間テレビを終えて。夏来と旬が所属している事務所の春の人気企画だ。あそこのアイドルが総出でやるイベントはいつも大がかりで賑やかだ。
私も放送はもちろん見た。夏来は雨彦さんとマイタルと3人でお悩み相談の企画をやっていた。素人目にも結構良かったと思う。相談者が伊瀬谷四季とわかった途端の柔らかい笑みと声音は、こちらも思わずドキッとした。相談者……なんだっけ、「ペンネーム・ハイパーアゲアゲメガネ」?さんとその友人も、それから同席した「ペンネーム・馬主を夢見るおじさん」とその同僚も、ほぼ匿名性など無いに等しく、旬など「これでいいんですよ、みんなこれが見たいんですから」と開き直っていた。
で、それがどうした。夏来は私に自分の出演映画やグラビアの感想を求めない。今回だって、私がリビングで録画を再生していたら「それ、見たの?」って目を丸くして、そこで初めて私が録画していたことに気付いたらしかった。だって、ジェスチャーゲームで一生懸命トゥモローダイヤモンドを再現するのに全然伝わらない握野くんがもう一回見たかったんだもん……
私は一旦録画を止めた。別に夏来がいるのにテレビを見たいわけじゃ無い。あれは本当におもしろかったけど、夏来のいない時でも見られるから。夏来が隣に座って、ソファが柔らかく沈んだ。
「あれでしょう、四季くんがお悩み相談したやつ」
「うん。実は……俺も、悩みがあって」
「悩み!?!?」
夏来の悩み!?仕事ならプロデューサーやユニットメンバーに相談した方がいい。プライベートだって、そう。それは夏来もわかってるはず。私にわざわざ言うと言うことは。
「私への不満……?」
「ふふ」
「ちょっと待ってよそれどういう表情?」
夏来は蠱惑的だのセクシーだの言われる微笑を浮かべて何も答えない。夏来がスマホを触ってすぐ、ペンペロリンと着信音が鳴った。私のスマホ。
発信者はもちろん夏来だ。隣にいるのにわざわざ電話なんて、何を考えているのか。いや、わかるけども。思わず睨むも、夏来は微笑を崩さない。
「ちょっと」
「お悩み電話相談、聞いてくれる?」
「ぐぬぬ」
困った顔で自分より背の高い男に上目遣いされるとこちらもぐぬぬしか言えない。私は通話をタップして、耳に当てる。
「……もしもし」
「こんにちは。えっと、それで。お悩み相談なんだけど」
「どうぞ」
「恋人が顔を見せてくれないのは、どうしたらいいですか」
思わずソファから立ち上がって距離をとる。夏来が「あっ」と言う顔でこちらを見たが、私は顔が真っ赤なのを指摘されるのが嫌で背を向ける。何って、多分その質問は夜のことでしょう。私は顔を見られるのが嫌で嫌で仕方なくて、夏来はそれの理由が分からなくていつも不満なので。理由なら何度も説明した。歪んでひっどい顔を国宝級イケメン3連覇男に見られるのが嫌。「どうして?かわいいのに」と真剣に説得してくる夏来ときたら、正直どんな顔で何してても絵画みたいに美しいのだから、一生わかってくれないと思う。
「まだ続きが」
「勘弁してよ!その話は嫌なのって言って終わったじゃん」
「でも……」
「夏来は顔が整ってるから鼻水出ててもかっこいいけどね、普通の人は仰向けのひっどい顔見られたくないの!二重顎!鼻の穴!その他いろいろ!お分かり!?」
「でも……」
「……そんなにでもでも言うなら聞いてやるわよ」
正直律儀に通話のていを保っている時点で夏来のペースに飲まれていて、私の方が圧倒的に不利だ。こんなこと、幼馴染の旬含むハイジョメンバーに相談されたら恥ずかしすぎて死ぬから、電話相談でよかったのかもしれない。いや、本当に。もしかしたら相談済みで、その上でこの方法を取っているのかもしれないけど……終わりだ。夏来にとっても大事な幼馴染だが、私だって小さい頃から旬を知ってる。ど、どんな顔で次会えば……
夏来が口を開く。深刻そうな声音。
「顔……見せてくれないから、キスができない」
「うっ」
「俺のこと、きらい?きらいだからキスしてくれない……?」
「ちが、違うって……わかって言ってるでしょ!?」
「理由、言ってくれないから……分からない」
「う……」
表情を曇らせてたったそれだけで大輪の花が萎れたような、そんな破壊力がある。今まで散々自分の顔の美しさを説かれても無頓着のように見える夏来だけど、多分本当は熟知していて、表情を使い分けてる。そうとしか思えない。そうであってくれ。ここまで無自覚だと、本当に手に負えないから……
「言える、よね?」
ああ、本当に手に負えない。そっと背中に触れる体温。スマホ越しに叩きつけられる声と、それから体に直に響く声と。とんでもない破壊力だ。私は項垂れて渋々それを口に「させられる」。どうか、頼むから自覚してほしい。自分の顔が光輝くかっこよさだってこと。私は君が大好きで、正直口にするのも恥ずかしいくらいだってこと。
「言わなくたってわかってよ……」
夏来の顔に慎重に指をかけて、キス。すぐさま離れて夏来の表情を伺う。ペンポロリンという間抜けな終話音が私たちの間に響いた。
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