C.FIRST
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統一模試の結果が帰ってきた。成績はまずまずというところ。学校で受けたから学内順位も載っている。当然1位だ。
模試の結果は親の確認印がいる。めんどくさいな。勝手に押してもいいんだけど、遅刻の件で母さんはだいぶショックを受けてたから一応見せておいた方がいいだろう。
机にわかりやすく置いて、ハンコも横に出しておく。成績は優秀だと思う、大多数の学生が志望校の固まらないこの時期だからというのもあるけど志望校の判定も悪くない。でも満点だとか全国一位とか、そういうのじゃないと、母さんには。
母さんは今日も帰りが遅いらしい。僕が中学生になってから仕事の量を増やしている、というか僕が生まれる前の状態に、元に戻している。忙しそうだけど、最近昇進して前よりずっと楽しそう。管理職になってからはとにかく忙しそうで、夕飯に間に合わないから配食と外食を交互にとるようになった。僕は時間があれば自分で簡単に何か作ったり、友達と食べに行ったり。料理が苦手な母さんは夕飯作りから解放されてほっとしたようだった。僕も夕食の時間を気にせず予備校にいられるのであまり不満はない。
ひとりきりの夕食の後、模試の復習をしていたはずが勉強机に突っ伏して寝ていたらしい。喉が渇いたな、と思って部屋を出る。夜1時を回っていた。
リビングは電気がついていた。ダイニングテーブルに座った母が模試の結果を見ている。帰ってたんだ。疲れた顔に影が落ちる。おかえりって声をかけようとして思いとどまる。ものすごく嫌な予感がして心臓がどくどくうるさい。冷や汗が首筋を伝う。
母さんが見ているのは、今回の成績じゃない、成績推移の折れ線でもない。成績表におまけでついてる全国上位名簿の、そのいちばん上をなぞって。心が軋む、氷が砕ける音が聞こえる。どこから?何かが、凍りついて耐えられなくて、割れる音。何が?母さんが口を開く。何を言うのか知らないのに「やめて」と叫びたくて、逃げ出したいのに足は動かない。
「ーーは、いない、か……」
やめて。
母さんは成績表をテーブルに戻した。がっかりした顔、疲れた表情で目をほぐす。ため息がこぼれて、成績表にはもう目もくれなかった。僕じゃない誰かを探していた。僕の成績には見向きもせず、誰かを探して見つからなかった。母さん、誰を探してるの。
涙が止まらなくて、動かない足を引きずって必死に部屋へ戻る。母さん、気づいて。もう耐えられない。僕はここだよ。もっと頑張らなきゃ。気づいて、ここに、いちばんじゃなけど、ここにいるよ。ねえ、母さん!
模試の結果は親の確認印がいる。めんどくさいな。勝手に押してもいいんだけど、遅刻の件で母さんはだいぶショックを受けてたから一応見せておいた方がいいだろう。
机にわかりやすく置いて、ハンコも横に出しておく。成績は優秀だと思う、大多数の学生が志望校の固まらないこの時期だからというのもあるけど志望校の判定も悪くない。でも満点だとか全国一位とか、そういうのじゃないと、母さんには。
母さんは今日も帰りが遅いらしい。僕が中学生になってから仕事の量を増やしている、というか僕が生まれる前の状態に、元に戻している。忙しそうだけど、最近昇進して前よりずっと楽しそう。管理職になってからはとにかく忙しそうで、夕飯に間に合わないから配食と外食を交互にとるようになった。僕は時間があれば自分で簡単に何か作ったり、友達と食べに行ったり。料理が苦手な母さんは夕飯作りから解放されてほっとしたようだった。僕も夕食の時間を気にせず予備校にいられるのであまり不満はない。
ひとりきりの夕食の後、模試の復習をしていたはずが勉強机に突っ伏して寝ていたらしい。喉が渇いたな、と思って部屋を出る。夜1時を回っていた。
リビングは電気がついていた。ダイニングテーブルに座った母が模試の結果を見ている。帰ってたんだ。疲れた顔に影が落ちる。おかえりって声をかけようとして思いとどまる。ものすごく嫌な予感がして心臓がどくどくうるさい。冷や汗が首筋を伝う。
母さんが見ているのは、今回の成績じゃない、成績推移の折れ線でもない。成績表におまけでついてる全国上位名簿の、そのいちばん上をなぞって。心が軋む、氷が砕ける音が聞こえる。どこから?何かが、凍りついて耐えられなくて、割れる音。何が?母さんが口を開く。何を言うのか知らないのに「やめて」と叫びたくて、逃げ出したいのに足は動かない。
「ーーは、いない、か……」
やめて。
母さんは成績表をテーブルに戻した。がっかりした顔、疲れた表情で目をほぐす。ため息がこぼれて、成績表にはもう目もくれなかった。僕じゃない誰かを探していた。僕の成績には見向きもせず、誰かを探して見つからなかった。母さん、誰を探してるの。
涙が止まらなくて、動かない足を引きずって必死に部屋へ戻る。母さん、気づいて。もう耐えられない。僕はここだよ。もっと頑張らなきゃ。気づいて、ここに、いちばんじゃなけど、ここにいるよ。ねえ、母さん!
