C.FIRST
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百々人が生徒会長になった。人望があるのは年に数度の面談や授業参観でわかっていた。成績優秀だし、顔は整っているし生徒会選挙に出たら当選間違いないタイプだ。本人も不安がる様子もなく「他薦で出ることになっちゃった」くらいの報告でけろっとしていた。母にとっては、進路と並ぶレベルでかなり重大な話題なのだが。
しかし生徒会長になったということは、アイドルになるのももうすぐということだ。百々人に任期は一体どれほどなのか聞いて「もう終わった後の話?」と怪訝な顔をされた。おそらくこの1年以内にスカウトされるのだろう。
近づいている。息子のアイドルデビューが。一体どんな気持ちで迎えたらいいんだ。どんどん派手になる服装に一時は小言も言ったが、「花園百々人」だしまあいいか……と諦めたら余計に加速した。派手髪に着崩した制服だが、学校からも成績を維持している以上は何も言われないらしい。放任型の学校では珍しくないし、本人もそれが良くて進学したのだから好きにさせようというのが夫の意見だ。
遅刻も増えた。私の方が家を出るのが早いから、たまに遅刻しているのを知らなかったのだ。しかも成績を盾にうまいこと先生を言いくるめていたらしい。とんでもない子だ。どっちに似たのか、育て方の失敗と言われれば私のせいに違いない。おかげで夜更かしの翌日は通勤中に電話をかけまくって、無事学校に行ったことを確認する羽目に。そんな百々人が生徒会長に。あの体が小さくて気弱だった子が。
「百々人が生徒会長か……大きくなったなあ……昔は他の子よりずっと小さかったのに今じゃこんな、でしょう」
「母さん、僕もう高校2年だよ」
それから、この表情。かつてスマホ越しに見ていた身としては見慣れた、しかし母親としては恐怖でしかないこの表情。取り繕った明るい声音、薄い氷を一枚隔てたような突き放す微笑。我が子がどんどん花園百々人になっていく。一番に取り憑かれたように勉強に明け暮れて、放課後は美術予備校に篭って鬼気迫る様子で絵を描いているらしい。私の知っている花園百々人とは確かに違うのに、どんどんあの花園百々人が出来上がる。なるべく普段通りにいつも通りに心がけても、怖くて仕方ない。我が子が歪んだ心のまま突き進むのを、見て見ぬふりをしている。私は間違いなく地獄行きだ。
早く、早く助けてほしい。この子を救う運命の人、早くこの子を迎えにきて。
しかし生徒会長になったということは、アイドルになるのももうすぐということだ。百々人に任期は一体どれほどなのか聞いて「もう終わった後の話?」と怪訝な顔をされた。おそらくこの1年以内にスカウトされるのだろう。
近づいている。息子のアイドルデビューが。一体どんな気持ちで迎えたらいいんだ。どんどん派手になる服装に一時は小言も言ったが、「花園百々人」だしまあいいか……と諦めたら余計に加速した。派手髪に着崩した制服だが、学校からも成績を維持している以上は何も言われないらしい。放任型の学校では珍しくないし、本人もそれが良くて進学したのだから好きにさせようというのが夫の意見だ。
遅刻も増えた。私の方が家を出るのが早いから、たまに遅刻しているのを知らなかったのだ。しかも成績を盾にうまいこと先生を言いくるめていたらしい。とんでもない子だ。どっちに似たのか、育て方の失敗と言われれば私のせいに違いない。おかげで夜更かしの翌日は通勤中に電話をかけまくって、無事学校に行ったことを確認する羽目に。そんな百々人が生徒会長に。あの体が小さくて気弱だった子が。
「百々人が生徒会長か……大きくなったなあ……昔は他の子よりずっと小さかったのに今じゃこんな、でしょう」
「母さん、僕もう高校2年だよ」
それから、この表情。かつてスマホ越しに見ていた身としては見慣れた、しかし母親としては恐怖でしかないこの表情。取り繕った明るい声音、薄い氷を一枚隔てたような突き放す微笑。我が子がどんどん花園百々人になっていく。一番に取り憑かれたように勉強に明け暮れて、放課後は美術予備校に篭って鬼気迫る様子で絵を描いているらしい。私の知っている花園百々人とは確かに違うのに、どんどんあの花園百々人が出来上がる。なるべく普段通りにいつも通りに心がけても、怖くて仕方ない。我が子が歪んだ心のまま突き進むのを、見て見ぬふりをしている。私は間違いなく地獄行きだ。
早く、早く助けてほしい。この子を救う運命の人、早くこの子を迎えにきて。
