High×Joker
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大学に入って夏来が一人暮らしを始めた。旬も同時期に始めたらしいが、夏来の方は絶対上手くいかないだろうなと思っていた。夏来は結構うっかりしてるしぼんやりしてるし、洗濯しながら料理して洗濯物の存在を忘れたりまたは洗濯物に気を取られて料理焦がしたり……絶対しそうで心配していた。
だから新生活が落ち着いた頃になって、遊びにおいでよと連絡をもらった時、手土産は切り分けないでよくてフォークもつけてくれるケーキ屋さんのケーキにしようとかお手拭きは持参して、とか色々考えたのだ。私が帰った後途方に暮れる夏来が容易に想像できたので。
「いらっしゃい」
ドアを開けて迎え入れた夏来の顔は表情こそ少なかったが浮かれていて、誇らしげでもあった。一人暮らし、新生活満喫している顔。
「お招きありがとう。引越しの手伝いしなかったし、遅くなったけどこれ引越し祝いと手土産」
「わ、果物……それにケーキも。ありがとう」
一人暮らしを始めた若者はしばしばビタミン不足に陥りがちである。お金がなかったり、そこまで気が回らない。包丁で皮を剥くようなのは避けて、さわやかに柑橘にしてみた。夏来が引越し祝いを大事そうに抱えて、家の中へ誘う。私はケーキを持ってそれを追う。
「どうぞ。あんまり、片付いてないけど……」
「わあ……」
そりゃ天下のハイジョーカーが、榊夏来が、そこらの大学生みたいな狭いワンルームに住むとは思わなかったけど。リビング、奥に寝室、しっかりとしたキッチン、バストイレ別、脱衣所には立派な洗面台。全体的に落ち着いた静かな雰囲気だが、なんとか片付けたらしい痕跡も見える。そんなところまで夏来らしい。そして何より。
「掃除機が走ってる!」
「うん、事務所の人のおすすめで……」
「意外!でも床にものがなければ勝手に綺麗にしてくれるって言うもんね。忙しい夏来には合っているかも」
のんびり床を走る掃除機を邪魔しないように大回りをして、夏来はリビングの奥を指指す。
「他の部屋も紹介するよ。こっち」
「やった、ルームツアーだ」
「うん。せっかくだから、動画の企画にしようって話になったんだけど……色々あってナシになっちゃった」
そりゃナシになるだろう。みんな血眼で榊夏来の新居を特定しにかかるに違いない。
「でも、四季が来た時に、動画は撮ったよ。あとで見る?」
夏来が充電ドッグに戻り損なった掃除機を見守る。掃除機はすこし彷徨ったあと、無事に充電ポジションに落ち着いた。ほっと息をつく。いつも、こういう風にしてあげてるんだろうな。ウロウロする掃除機を踏まないように避けて、ぼんやり見守る、そんな姿が容易に想像できる。
「こっちがキッチン」
ピカピカ光るのはホットクック!隣に立派なIH式の炊飯器、高級オーブントースター。
「自炊してるの?」
「うん……少しだけど」
「えらいね、学校と仕事で忙しいだろうに」
「でもこれ、ボタン押すだけだから……」
「ボタン押すまでが大変でしょ」
「ふふ、そうかも」
ホットクックで最初に作ったのは肉じゃが、恐る恐るボタンを押して、他のことに集中しているうちにできあがりの音が鳴る。蓋を開ければ自分が作ったと思えない仕上がり。それからカレーやら煮物やらはこれにおまかせしているらしい。いいなあ、話を聞いてたら欲しくなってきた。私も買おうかな。朝は高級オーブントースターでパンを焼いたり、米を炊いたり。大きい冷蔵庫には貰い物や自炊の残りが入っている。普通の大学生の一人暮らしとはレベルが違って、感心してしまう。
「で、お風呂場……」
「ドラム式洗濯機だ!」
「うん。乾燥までやってくれるよ。失敗もしたけど……」
「失敗?」
「縮ませちゃったりとか……洗剤忘れたりとか……」
大きなドラム式洗濯機。投げ入れるだけの洗剤がわかりやすいところに置いてある。洗面台は大きくて、スキンケアとヘアセットの道具がたくさん並んでいる。大きな電気で雨の日でも明るいだろう。友達が泊まりにきても2人並んで歯磨きできそう。
それじゃあ次の部屋に、と促されるも夏来は何か思い出したようにハッとして、寝室のドアに背中を貼り付ける。
「寝室は、だめ」
「うん」
「片付いてないから……」
「いや、無理やり入ろうとは思ってないよ……」
ふるふると長い髪の毛先が揺れて、なんだか私が悪いことをしている気分。しかしラッキーなので、夏来を上から下までじっくり観察する。ますます背が伸びたし、高校生の時から長めだった髪も、あの頃より更に長い。美容院をさぼるような性格ではないし、きっと仕事か何か、考えがあってのことだろう。デビューした時からとんでもなく美形で高校生とは思えない色気を醸し出していたが、高校を卒業してますます大人っぽくなった。寝室のドアにへばりついていても、情けなく眉を下げても、その美貌が眩しい。
「見逃して……」
そんな男に弱々しく懇願されたらどんな人間でも引き下がる他ない。夏来のことだから、片付かなかったものを寝室に押し込んだり洗濯機の中身をそのままにしてたりするんだろう。私は素直に頷いて、戻ってケーキを食べようと話題を変えた。それを聞いてあからさまにホッとした顔をするのは昔から変わらない。
「意外だったな、夏来の部屋にこんな最新家電があるなんて」
「ジュンと恭二さんが、一緒に選んでくれたから」
ソファに並んで座り、ケーキと紅茶で小休憩。白いクリームを美しくならした上にキラキラのフルーツが乗っている。夏来はケーキにフォークを下ろす。旬も夏来と同じ頃に一人暮らしを始めた。先日電話で近況を聞いた時は「それなりに忙しいですけど、なんとか順調です。それより夏来が……」といういつもの感じで旬の苦労話はあまり聞けなかった。
「2人分一緒に買ったの?」
「うん。おかげで、いっぱい値引きしてもらえたよ」
あの3人(しかも恭二さんは家電に詳しい)が家電売り場で大きい買い物をしにきたのなら店員さんも緊張しただろう。しっかり者の旬が予算内におさめるべく電卓を叩き、恭二さんが販売員顔負けの解説、夏来は……きっと2人の話を聞いておまかせしたに違いない。加えて3人ともあの顔だ。販売員の人の裁量がどれほどかは知らないが、相場より大盤振る舞いされても何らおかしくない。いいな、今度私が大物家電買う時は旬についてきてもらおう。事前に調べてきた上でビシバシ意見言ってくれそうだし。完全に旬頼みだとプリプリ怒るだろうから、その後ごはんでもご馳走するとして。
「俺は、あんまり家事とか、得意じゃないし」
「うん」
「ジュンも……こういうのに頼ったらって、言ってくれたんだけど……」
「大正解だったね」
にっこり笑って顔を見合わせると夏来も表情を緩ませる。
「仕事も、学校もあるから…勝手に全部終わってるのはすごく助かってる。前は誰かがやってくれてたこと、全部自分でやるのは大変だけど……なんとかやれてる」
「えらいよ本当に……」
「本当?」
「涙出てきたよ」
「ふふ、本当みたい」
夏来はケーキをテーブルにおろして、私の目尻に浮かんだ涙を拭った。最近、涙腺が緩くて困る。なんなら数年前、激辛フェスに出演したハイジョを見たあたりからおかしくなってる。旬には「今日のライブで号泣する要素、ありました?」と怪訝な顔をされた。ばか、旬の成長ぷりに感動したのと言い返せば、思い当たる節があるようで「まあ……それは……」と珍しく煮え切らない態度で。
夏来の半身がぴったり寄せられて、長く伸ばした髪が私の耳をくすぐる。それに、と囁く声。思考が逸れたのを咎めるように指先は私の頬に触れる。
「時間ができたら、もっと、一緒にいられる…よね」
夏来はくっつくのが好き。昔からそうで、高校生になっても変わらなくて「もうお互い高校生なんだからやめた方がいい」と私ばっかり旬に叱られた。旬のいう通り、なるべくくっつかないようにしてたら、「俺、何かした?怒ってる?」って夏来をしょんぼりさせてしまった。めんどくさい幼馴染である。私もなんでもないよなんて誤魔化したから、夏来は以来全然態度を改める気がなかった。今日もぴったりくっついて、あったかい。
「お、お前家電の仕事とかやりなよ……」
「俺?どうかな……」
苦し紛れの軽口もサラッとかわされてしまい、夏来は猫みたいにすり寄ってくる。頬から下降して体をなぞる仕草がやけにいやらしい。驚いて顔を見るといつものあの、やけに耽美な微笑を浮かべていた。
「……いい?」
全くどこで覚えてきたんだ、そんな小技……!ドラマか?雑誌か?表紙を務めた例の雑誌以来、どんどん写真の仕事が増えて、しかも大人になるにつれてセクシー路線の写真も増えて、昔の可愛い夏来はすっかり影を潜めてしまった。唇が緩く弧を描き、君の視線は口よりも雄弁にものを語る。
「ケーキ食べてからね」
「……わかった」
夏来は大人しく食べかけのケーキに手を伸ばす。私に寄りかかり、私の方に首を傾けて。長い髪が首筋に当たってくすぐったい。やっぱり、家族もペットもいない暮らしはさみしいんだろうな。朝目を覚ました時に一人きり。眠る時も。だんだん慣れてきて最初のホームシック、だろうか。ベタベタしたい時期なのかもしれない。まあ仕方ないか……と諦めて私もケーキに手を伸ばす。私の首筋で夏来が「ふふ」と笑った。
だから新生活が落ち着いた頃になって、遊びにおいでよと連絡をもらった時、手土産は切り分けないでよくてフォークもつけてくれるケーキ屋さんのケーキにしようとかお手拭きは持参して、とか色々考えたのだ。私が帰った後途方に暮れる夏来が容易に想像できたので。
「いらっしゃい」
ドアを開けて迎え入れた夏来の顔は表情こそ少なかったが浮かれていて、誇らしげでもあった。一人暮らし、新生活満喫している顔。
「お招きありがとう。引越しの手伝いしなかったし、遅くなったけどこれ引越し祝いと手土産」
「わ、果物……それにケーキも。ありがとう」
一人暮らしを始めた若者はしばしばビタミン不足に陥りがちである。お金がなかったり、そこまで気が回らない。包丁で皮を剥くようなのは避けて、さわやかに柑橘にしてみた。夏来が引越し祝いを大事そうに抱えて、家の中へ誘う。私はケーキを持ってそれを追う。
「どうぞ。あんまり、片付いてないけど……」
「わあ……」
そりゃ天下のハイジョーカーが、榊夏来が、そこらの大学生みたいな狭いワンルームに住むとは思わなかったけど。リビング、奥に寝室、しっかりとしたキッチン、バストイレ別、脱衣所には立派な洗面台。全体的に落ち着いた静かな雰囲気だが、なんとか片付けたらしい痕跡も見える。そんなところまで夏来らしい。そして何より。
「掃除機が走ってる!」
「うん、事務所の人のおすすめで……」
「意外!でも床にものがなければ勝手に綺麗にしてくれるって言うもんね。忙しい夏来には合っているかも」
のんびり床を走る掃除機を邪魔しないように大回りをして、夏来はリビングの奥を指指す。
「他の部屋も紹介するよ。こっち」
「やった、ルームツアーだ」
「うん。せっかくだから、動画の企画にしようって話になったんだけど……色々あってナシになっちゃった」
そりゃナシになるだろう。みんな血眼で榊夏来の新居を特定しにかかるに違いない。
「でも、四季が来た時に、動画は撮ったよ。あとで見る?」
夏来が充電ドッグに戻り損なった掃除機を見守る。掃除機はすこし彷徨ったあと、無事に充電ポジションに落ち着いた。ほっと息をつく。いつも、こういう風にしてあげてるんだろうな。ウロウロする掃除機を踏まないように避けて、ぼんやり見守る、そんな姿が容易に想像できる。
「こっちがキッチン」
ピカピカ光るのはホットクック!隣に立派なIH式の炊飯器、高級オーブントースター。
「自炊してるの?」
「うん……少しだけど」
「えらいね、学校と仕事で忙しいだろうに」
「でもこれ、ボタン押すだけだから……」
「ボタン押すまでが大変でしょ」
「ふふ、そうかも」
ホットクックで最初に作ったのは肉じゃが、恐る恐るボタンを押して、他のことに集中しているうちにできあがりの音が鳴る。蓋を開ければ自分が作ったと思えない仕上がり。それからカレーやら煮物やらはこれにおまかせしているらしい。いいなあ、話を聞いてたら欲しくなってきた。私も買おうかな。朝は高級オーブントースターでパンを焼いたり、米を炊いたり。大きい冷蔵庫には貰い物や自炊の残りが入っている。普通の大学生の一人暮らしとはレベルが違って、感心してしまう。
「で、お風呂場……」
「ドラム式洗濯機だ!」
「うん。乾燥までやってくれるよ。失敗もしたけど……」
「失敗?」
「縮ませちゃったりとか……洗剤忘れたりとか……」
大きなドラム式洗濯機。投げ入れるだけの洗剤がわかりやすいところに置いてある。洗面台は大きくて、スキンケアとヘアセットの道具がたくさん並んでいる。大きな電気で雨の日でも明るいだろう。友達が泊まりにきても2人並んで歯磨きできそう。
それじゃあ次の部屋に、と促されるも夏来は何か思い出したようにハッとして、寝室のドアに背中を貼り付ける。
「寝室は、だめ」
「うん」
「片付いてないから……」
「いや、無理やり入ろうとは思ってないよ……」
ふるふると長い髪の毛先が揺れて、なんだか私が悪いことをしている気分。しかしラッキーなので、夏来を上から下までじっくり観察する。ますます背が伸びたし、高校生の時から長めだった髪も、あの頃より更に長い。美容院をさぼるような性格ではないし、きっと仕事か何か、考えがあってのことだろう。デビューした時からとんでもなく美形で高校生とは思えない色気を醸し出していたが、高校を卒業してますます大人っぽくなった。寝室のドアにへばりついていても、情けなく眉を下げても、その美貌が眩しい。
「見逃して……」
そんな男に弱々しく懇願されたらどんな人間でも引き下がる他ない。夏来のことだから、片付かなかったものを寝室に押し込んだり洗濯機の中身をそのままにしてたりするんだろう。私は素直に頷いて、戻ってケーキを食べようと話題を変えた。それを聞いてあからさまにホッとした顔をするのは昔から変わらない。
「意外だったな、夏来の部屋にこんな最新家電があるなんて」
「ジュンと恭二さんが、一緒に選んでくれたから」
ソファに並んで座り、ケーキと紅茶で小休憩。白いクリームを美しくならした上にキラキラのフルーツが乗っている。夏来はケーキにフォークを下ろす。旬も夏来と同じ頃に一人暮らしを始めた。先日電話で近況を聞いた時は「それなりに忙しいですけど、なんとか順調です。それより夏来が……」といういつもの感じで旬の苦労話はあまり聞けなかった。
「2人分一緒に買ったの?」
「うん。おかげで、いっぱい値引きしてもらえたよ」
あの3人(しかも恭二さんは家電に詳しい)が家電売り場で大きい買い物をしにきたのなら店員さんも緊張しただろう。しっかり者の旬が予算内におさめるべく電卓を叩き、恭二さんが販売員顔負けの解説、夏来は……きっと2人の話を聞いておまかせしたに違いない。加えて3人ともあの顔だ。販売員の人の裁量がどれほどかは知らないが、相場より大盤振る舞いされても何らおかしくない。いいな、今度私が大物家電買う時は旬についてきてもらおう。事前に調べてきた上でビシバシ意見言ってくれそうだし。完全に旬頼みだとプリプリ怒るだろうから、その後ごはんでもご馳走するとして。
「俺は、あんまり家事とか、得意じゃないし」
「うん」
「ジュンも……こういうのに頼ったらって、言ってくれたんだけど……」
「大正解だったね」
にっこり笑って顔を見合わせると夏来も表情を緩ませる。
「仕事も、学校もあるから…勝手に全部終わってるのはすごく助かってる。前は誰かがやってくれてたこと、全部自分でやるのは大変だけど……なんとかやれてる」
「えらいよ本当に……」
「本当?」
「涙出てきたよ」
「ふふ、本当みたい」
夏来はケーキをテーブルにおろして、私の目尻に浮かんだ涙を拭った。最近、涙腺が緩くて困る。なんなら数年前、激辛フェスに出演したハイジョを見たあたりからおかしくなってる。旬には「今日のライブで号泣する要素、ありました?」と怪訝な顔をされた。ばか、旬の成長ぷりに感動したのと言い返せば、思い当たる節があるようで「まあ……それは……」と珍しく煮え切らない態度で。
夏来の半身がぴったり寄せられて、長く伸ばした髪が私の耳をくすぐる。それに、と囁く声。思考が逸れたのを咎めるように指先は私の頬に触れる。
「時間ができたら、もっと、一緒にいられる…よね」
夏来はくっつくのが好き。昔からそうで、高校生になっても変わらなくて「もうお互い高校生なんだからやめた方がいい」と私ばっかり旬に叱られた。旬のいう通り、なるべくくっつかないようにしてたら、「俺、何かした?怒ってる?」って夏来をしょんぼりさせてしまった。めんどくさい幼馴染である。私もなんでもないよなんて誤魔化したから、夏来は以来全然態度を改める気がなかった。今日もぴったりくっついて、あったかい。
「お、お前家電の仕事とかやりなよ……」
「俺?どうかな……」
苦し紛れの軽口もサラッとかわされてしまい、夏来は猫みたいにすり寄ってくる。頬から下降して体をなぞる仕草がやけにいやらしい。驚いて顔を見るといつものあの、やけに耽美な微笑を浮かべていた。
「……いい?」
全くどこで覚えてきたんだ、そんな小技……!ドラマか?雑誌か?表紙を務めた例の雑誌以来、どんどん写真の仕事が増えて、しかも大人になるにつれてセクシー路線の写真も増えて、昔の可愛い夏来はすっかり影を潜めてしまった。唇が緩く弧を描き、君の視線は口よりも雄弁にものを語る。
「ケーキ食べてからね」
「……わかった」
夏来は大人しく食べかけのケーキに手を伸ばす。私に寄りかかり、私の方に首を傾けて。長い髪が首筋に当たってくすぐったい。やっぱり、家族もペットもいない暮らしはさみしいんだろうな。朝目を覚ました時に一人きり。眠る時も。だんだん慣れてきて最初のホームシック、だろうか。ベタベタしたい時期なのかもしれない。まあ仕方ないか……と諦めて私もケーキに手を伸ばす。私の首筋で夏来が「ふふ」と笑った。
