Café Parade
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パティスリーのイートインで紅茶を頼むとポットサービスの時がある。あの小さな砂時計がさらさらと砂を落とすのを見ているのは楽しいけどうっかり他のことに気をとられるとすっかり砂が落ちきっているなんてこともよくある。そうなると紅茶は渋いし苦い。甘いものをたべるにはそれはそれで良いとも思うけど。何が言いたいのかと言うと、それは、言い訳で。
「お待たせいたしました……本日は甘い香りながらすっきりとした味わいのブラックティーをご用意しました。ベリーと複数の花をブレンドした控えめな香りですのでケーキと合わせてお楽しみください」
にっこり微笑んで神谷さんは真っ白のティーポットから紅茶を注いでくれる。途端に控えめながら華やかな香りが立ち上ってうっとりしてしまう。たしかにどこかに果物の香りがするような。
そっと手をつけた真っ白な肌にツルのついたイチゴが描かれたカップはちょっとわたしには可愛すぎるかなってくらい。秋頃に来た時は渋い色味のぶどう、その前は上品な八重のバラのデザインだった。毎回季節やケーキと合わせた模様で出てくるけど本当に凝っていると思う。誰が選んでるのかな。様々なバリエーションがあるけど彼1人で決めずにたまに手の空いている時にわざわざ出てきて挨拶してくれる東雲さんやいつもすてきな接客をしてくれる咲ちゃんや巻緒くんたちと相談して決めているのだろうか。ハロウィーンの頃に出された珍しい深い藍色に透かしの入った金縁のセットはちょっとアスランさんのセンスっぽかった。香りを楽しみながらカップに口をつけると唇にピリッと痛みが走った。
「いたっ」
「大丈夫?」
「あはは、唇ひび入ってるの忘れてました」
「いつもへの字口してるからやないですか」
本日のケーキ、フランボワーズとピスタチオのモンブラン風ケーキを運んできた東雲さんがそんな風に言って私はため息をつく。
「ほんとそうなんですよ、だから治らないんですよね」
「口角上げるヤツ買ってあげましょうか」
「間に合ってます……」
ジト目になった私をみて東雲さんは控えめに笑いながらキッチンの奥へ消えていった。他のお客さんのケーキを準備しにいったのだろう。
ぴりぴり痛む唇の真ん中が気になって仕方ない。美味しい紅茶を気兼ねなく楽しめないなんてやっぱり悲しい。今日はリップクリームを買って帰ろう。何故だか必要な時にどこかにいってしまう小物第1位だから気付いた時には家に帰ればたくさんリップクリームがあるのだけど。
「こんなことで神谷さんのおいしい紅茶が心置きなく楽しめないなんて……頑張って早く治そう……」
「名前さんはほんとに紅茶好きだね。用意する側としても張り合いが出る」
「そうなんですよ!東雲さんのケーキももちろんなんですけど、本当に紅茶が美味しくて、私感動しちゃって!実は初めてお店に来た時紅茶って渋くないんだ!ってすごく驚いて……」
「はは、そういえば前にティーポットを開けていたような……」
「み、見てたんですか……自分でいれるとどうしても苦かったり渋かったりして。種類のこともあるんでしょうけど、本当に美味しい紅茶にはお砂糖もミルクもいらないんだって驚きました。そういうわけで神谷さんの紅茶で人生変わっちゃったのでもうないと生きていけません」
神谷さんは黙って紅茶のお代わりを注いだ。いつも優しい神谷さんの相槌もないことに違和感を感じて視線をやると口は何か言いたそうにしてるし、耳まで赤い。それでも一滴もこぼさずにポットの口を上げて静かに下ろした。
「実は、初めて会った時からどんな紅茶を淹れたら喜んでいただけるだろうってそればかりで……」
「すごい!さすがですね!」
「ああ、そうじゃなくて……えっとその実は一目惚れで……なんていうべきか、下心もあってね」
「……」
喉を潤すためにぬるくなった紅茶を勢いよく飲むも爆弾発言に動揺する。
珍しく真っ赤な顔でまだもぞもぞしている神谷さんは咳払いをして落ち着いたところでまたお代わりをくれた。恥ずかしさが移ってこちらまでなんとなくもぞもぞしてしまう。
柱の陰から咲ちゃんと巻緒くん、いつもはお店の奥でお仕事しているアスランさんと東雲さんまでこっそり様子を伺っているのが見えた。ヒヤヒヤした様子の人もわくわくオーラを隠しきれていない人も大して動じていない人もいてそれぞれの個性が見えるようで面白い。
「神谷さん、勘違いさせやすいから言葉には気をつけてくださいね……本当に……」
「名前さんがいつも喜んでくれるから、つい……」
親愛を示してるはずが神谷さんの言葉はたまに聞いてる側がうっかりドキドキしてしまうこともしばしばだ。
紅茶に口をつけると一杯目でもないのに変わらぬ癖のない味と柔らかな香りを感じた。甘すぎるのが苦手な私に合わせて東雲さんがオススメを選んでくれた、美しく重ねられたグリーンのクリームとアクセントのチョコレートが美しいケーキ。フォークを入れると断面からフランボワーズの赤色が覗く。見た目も素敵だけど紅茶とよく合ってため息が出るほどおいしい。
「でも私、神谷さんの紅茶に一目惚れして、無いと生きていけなくなっちゃったんですけど。それだけじゃなくて神谷さんがいなくちゃ生きてけないですよ、これは本当に」
「……」
今度は私の爆弾発言に神谷さんが慄いて無言でずっと持っていたティーポットを下ろす。仕返しだ。これでちょっとは無自覚爆弾発言にも懲りてほしい。
「お待たせいたしました……本日は甘い香りながらすっきりとした味わいのブラックティーをご用意しました。ベリーと複数の花をブレンドした控えめな香りですのでケーキと合わせてお楽しみください」
にっこり微笑んで神谷さんは真っ白のティーポットから紅茶を注いでくれる。途端に控えめながら華やかな香りが立ち上ってうっとりしてしまう。たしかにどこかに果物の香りがするような。
そっと手をつけた真っ白な肌にツルのついたイチゴが描かれたカップはちょっとわたしには可愛すぎるかなってくらい。秋頃に来た時は渋い色味のぶどう、その前は上品な八重のバラのデザインだった。毎回季節やケーキと合わせた模様で出てくるけど本当に凝っていると思う。誰が選んでるのかな。様々なバリエーションがあるけど彼1人で決めずにたまに手の空いている時にわざわざ出てきて挨拶してくれる東雲さんやいつもすてきな接客をしてくれる咲ちゃんや巻緒くんたちと相談して決めているのだろうか。ハロウィーンの頃に出された珍しい深い藍色に透かしの入った金縁のセットはちょっとアスランさんのセンスっぽかった。香りを楽しみながらカップに口をつけると唇にピリッと痛みが走った。
「いたっ」
「大丈夫?」
「あはは、唇ひび入ってるの忘れてました」
「いつもへの字口してるからやないですか」
本日のケーキ、フランボワーズとピスタチオのモンブラン風ケーキを運んできた東雲さんがそんな風に言って私はため息をつく。
「ほんとそうなんですよ、だから治らないんですよね」
「口角上げるヤツ買ってあげましょうか」
「間に合ってます……」
ジト目になった私をみて東雲さんは控えめに笑いながらキッチンの奥へ消えていった。他のお客さんのケーキを準備しにいったのだろう。
ぴりぴり痛む唇の真ん中が気になって仕方ない。美味しい紅茶を気兼ねなく楽しめないなんてやっぱり悲しい。今日はリップクリームを買って帰ろう。何故だか必要な時にどこかにいってしまう小物第1位だから気付いた時には家に帰ればたくさんリップクリームがあるのだけど。
「こんなことで神谷さんのおいしい紅茶が心置きなく楽しめないなんて……頑張って早く治そう……」
「名前さんはほんとに紅茶好きだね。用意する側としても張り合いが出る」
「そうなんですよ!東雲さんのケーキももちろんなんですけど、本当に紅茶が美味しくて、私感動しちゃって!実は初めてお店に来た時紅茶って渋くないんだ!ってすごく驚いて……」
「はは、そういえば前にティーポットを開けていたような……」
「み、見てたんですか……自分でいれるとどうしても苦かったり渋かったりして。種類のこともあるんでしょうけど、本当に美味しい紅茶にはお砂糖もミルクもいらないんだって驚きました。そういうわけで神谷さんの紅茶で人生変わっちゃったのでもうないと生きていけません」
神谷さんは黙って紅茶のお代わりを注いだ。いつも優しい神谷さんの相槌もないことに違和感を感じて視線をやると口は何か言いたそうにしてるし、耳まで赤い。それでも一滴もこぼさずにポットの口を上げて静かに下ろした。
「実は、初めて会った時からどんな紅茶を淹れたら喜んでいただけるだろうってそればかりで……」
「すごい!さすがですね!」
「ああ、そうじゃなくて……えっとその実は一目惚れで……なんていうべきか、下心もあってね」
「……」
喉を潤すためにぬるくなった紅茶を勢いよく飲むも爆弾発言に動揺する。
珍しく真っ赤な顔でまだもぞもぞしている神谷さんは咳払いをして落ち着いたところでまたお代わりをくれた。恥ずかしさが移ってこちらまでなんとなくもぞもぞしてしまう。
柱の陰から咲ちゃんと巻緒くん、いつもはお店の奥でお仕事しているアスランさんと東雲さんまでこっそり様子を伺っているのが見えた。ヒヤヒヤした様子の人もわくわくオーラを隠しきれていない人も大して動じていない人もいてそれぞれの個性が見えるようで面白い。
「神谷さん、勘違いさせやすいから言葉には気をつけてくださいね……本当に……」
「名前さんがいつも喜んでくれるから、つい……」
親愛を示してるはずが神谷さんの言葉はたまに聞いてる側がうっかりドキドキしてしまうこともしばしばだ。
紅茶に口をつけると一杯目でもないのに変わらぬ癖のない味と柔らかな香りを感じた。甘すぎるのが苦手な私に合わせて東雲さんがオススメを選んでくれた、美しく重ねられたグリーンのクリームとアクセントのチョコレートが美しいケーキ。フォークを入れると断面からフランボワーズの赤色が覗く。見た目も素敵だけど紅茶とよく合ってため息が出るほどおいしい。
「でも私、神谷さんの紅茶に一目惚れして、無いと生きていけなくなっちゃったんですけど。それだけじゃなくて神谷さんがいなくちゃ生きてけないですよ、これは本当に」
「……」
今度は私の爆弾発言に神谷さんが慄いて無言でずっと持っていたティーポットを下ろす。仕返しだ。これでちょっとは無自覚爆弾発言にも懲りてほしい。
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