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付けっ放しのテレビが年が変わったことを告げて、それを見ていた九郎さんは剥きかけの蜜柑を置き、炬燵から未練なく出た。それから明けましておめでとうございます、本年もよろしくお願いしますと深々と頭を下げたので慌てて私も炬燵から這い出て正座をして見様見真似で三つ指をつく。先ほどまで炬燵に入ってゆっくり蜜柑をむいていたというのに、この切り替えは惚れ惚れするレベルだ。そんなところも礼節を大事にする九郎さんらしくて好き。
「こちらこそよろしくお願いします。九郎さんが怪我なく病気なく、実りある良い年を過ごせますよう今年も応援してます」
「ありがとうございます。私もあなたの期待に応えるようより一層精進します」
九郎さんは深々と下げていた頭を上げて、私の顔を見てはにかんで「お化粧、特別仕様ですね。ありがとうございます」と言ったので意味を理解した私は困って土下座みたいに顔を伏せた。
九郎さんは以前に化粧品のお仕事をされていて、その時にだいぶお化粧については勉強をしたそうだ。それでなにかあるごとにその知識をいかして私に化粧品やらスキンケアやらを贈ってくださる。ありがたいことに毎回高価な質のいいものをくださるので最初は遠慮していたけど九郎さんは「大切な人には良いものを差し上げたい」という考え方の持ち主なので喜んで使わせてもらうことにした。
今では一式清澄九郎さんセレクトのお化粧品で私の顔は作られている。なので、今日もお風呂を上がってからお泊まり用に軽く顔を作ったのがバレている。何もしなくても綺麗な人はずるい、と私はため息をつきたくなった。九郎さんは案外男らしい指で粉の軽く乗った私の頰をうっとりと撫ぜ、それから視線をぎこちなく外した。
「そういえば、新年の行事にひめはじめというものがあるらしいですね」
「へっ……」
そっぽ向いてそんなことを言う九郎さんを見てわたしは「下手すぎる!話題転換が下手すぎる!さっきまでのちょっと色気のあるお顔はなんだったの!」と叫びそうになるのを必死に堪えた。なーにが、あるらしいですね、だ……きっと事務所の誰かに入れ知恵されて真面目な彼のことだからしっかり調べて予習して支度までしてきている。きっとシュミレーションもしているはずだ。なのに、話題転換が下手すぎる!わたしは脱力して倒れそうになったけど、あまりにみっともないなとと思って平静を装った。
「でも、九郎さん。元日はだめなんですよ。知ってました?」
「存じ上げております……ですが」
「ですが?」
珍しく歯切れの悪い九郎さんをおかしいなと思って顔を上げると、九郎さんはものすごく困った顔をしていた。言うか言わまいか、断腸の思いという言葉が似合うくらい必死な顔だったので私は心配になった。
「我慢が……できそうにないのです、今日は。申し訳ありません」
言いたいことを言ってすっきりして九郎さんは私をころんと仰向けに転がして支度を始めた。
「待って待って!九郎さん、さすがに電気は消してください!」
「……消したらよく見えないでしょう?」
邪心の一切ない微笑で九郎さんは微笑み、私のふんわりしたルームウェアを剥いた。うわあ、色気が、すごい。私の絶望をよそに九郎さんは私のお気に入りのルームウェアを丁寧に畳み、炬燵の天板に乗せて私を炬燵に押し込んだ。続いて自分の分を畳んで天板に乗せて九郎さんも炬燵に長身を押し込んだ。炬燵で汗ばんだ身体が触れて禁欲的な九郎さんのイメージとはかけ離れた姿にどきどきした。
がたん、と九郎さんの長い足がぶつかって炬燵に乗せられたままの蜜柑の転がる気配がした。九郎さんは後ろも見ずに転がり落ちた蜜柑を腕を伸ばして拾って、腕が炬燵に戻ってきた時には代わりに例の小袋を手にしていた。それが九郎さんにあまりに似合わなくて私は笑いをこらえる代わりに九郎さんの首筋に顔を埋めた。
「こちらこそよろしくお願いします。九郎さんが怪我なく病気なく、実りある良い年を過ごせますよう今年も応援してます」
「ありがとうございます。私もあなたの期待に応えるようより一層精進します」
九郎さんは深々と下げていた頭を上げて、私の顔を見てはにかんで「お化粧、特別仕様ですね。ありがとうございます」と言ったので意味を理解した私は困って土下座みたいに顔を伏せた。
九郎さんは以前に化粧品のお仕事をされていて、その時にだいぶお化粧については勉強をしたそうだ。それでなにかあるごとにその知識をいかして私に化粧品やらスキンケアやらを贈ってくださる。ありがたいことに毎回高価な質のいいものをくださるので最初は遠慮していたけど九郎さんは「大切な人には良いものを差し上げたい」という考え方の持ち主なので喜んで使わせてもらうことにした。
今では一式清澄九郎さんセレクトのお化粧品で私の顔は作られている。なので、今日もお風呂を上がってからお泊まり用に軽く顔を作ったのがバレている。何もしなくても綺麗な人はずるい、と私はため息をつきたくなった。九郎さんは案外男らしい指で粉の軽く乗った私の頰をうっとりと撫ぜ、それから視線をぎこちなく外した。
「そういえば、新年の行事にひめはじめというものがあるらしいですね」
「へっ……」
そっぽ向いてそんなことを言う九郎さんを見てわたしは「下手すぎる!話題転換が下手すぎる!さっきまでのちょっと色気のあるお顔はなんだったの!」と叫びそうになるのを必死に堪えた。なーにが、あるらしいですね、だ……きっと事務所の誰かに入れ知恵されて真面目な彼のことだからしっかり調べて予習して支度までしてきている。きっとシュミレーションもしているはずだ。なのに、話題転換が下手すぎる!わたしは脱力して倒れそうになったけど、あまりにみっともないなとと思って平静を装った。
「でも、九郎さん。元日はだめなんですよ。知ってました?」
「存じ上げております……ですが」
「ですが?」
珍しく歯切れの悪い九郎さんをおかしいなと思って顔を上げると、九郎さんはものすごく困った顔をしていた。言うか言わまいか、断腸の思いという言葉が似合うくらい必死な顔だったので私は心配になった。
「我慢が……できそうにないのです、今日は。申し訳ありません」
言いたいことを言ってすっきりして九郎さんは私をころんと仰向けに転がして支度を始めた。
「待って待って!九郎さん、さすがに電気は消してください!」
「……消したらよく見えないでしょう?」
邪心の一切ない微笑で九郎さんは微笑み、私のふんわりしたルームウェアを剥いた。うわあ、色気が、すごい。私の絶望をよそに九郎さんは私のお気に入りのルームウェアを丁寧に畳み、炬燵の天板に乗せて私を炬燵に押し込んだ。続いて自分の分を畳んで天板に乗せて九郎さんも炬燵に長身を押し込んだ。炬燵で汗ばんだ身体が触れて禁欲的な九郎さんのイメージとはかけ離れた姿にどきどきした。
がたん、と九郎さんの長い足がぶつかって炬燵に乗せられたままの蜜柑の転がる気配がした。九郎さんは後ろも見ずに転がり落ちた蜜柑を腕を伸ばして拾って、腕が炬燵に戻ってきた時には代わりに例の小袋を手にしていた。それが九郎さんにあまりに似合わなくて私は笑いをこらえる代わりに九郎さんの首筋に顔を埋めた。
