Jupiter
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
冬馬くんのとこの配水管が破裂して一時的に私の部屋に避難していたのは、どれくらい前のことだろうか。そのままなんとなく一緒に住むようになって、アイドルとプロデューサーとしての関係は(私の思い込みでなければ)より強固になったのではないだろうか。
冬馬くんは料理が得意だから先に帰ってきたときとか時間のあるときはいつも名前の言えないような凝った料理を作ってくれて私を待っている。くたくたになって帰宅した私を、リビングで勉強したり台本を読んだりして待ってくれるのは案外心地いいし、「おかえり。夕飯できてるぜ」って顔を上げてくれるのが嬉しくて残業さえも苦にならない。
凝った料理ばかりかと思えば家庭的な料理もお手の物で、時には翔太くんにあげるおやつを作ったりだとか研究に余念がない。とっても凝り性なのだと思う。
今日は私の方が先に帰ってきたので、じゃがいも玉ねぎ人参それから牛肉でオーソドックスな料理を作ろうと思う。この4点で作れる料理は無限大で、たいへん便利なので家にはだいたいじゃがいもと玉ねぎが冷暗所にある。暇な時に冬馬くんが芽を取っては美味しい料理に変えてくれる。
「ただいま」
「おかえりなさーい」
玄関が開いて、姿は見えないながらただいまの声がした。
「お、夕飯ありがとな」
「私も今帰ってきたところだからこれからだよ」
冬馬くんは冷蔵庫のミネラルウォーターを取って、それからまた私の後ろに帰ってきた。
「カレーか?」
ちらっとまな板の上の野菜を見てちょっとだけ目が光る。
「ごめん、肉じゃがのつもりだった。カレーにする?」
「……いや、今度の休みに作るつもりだったんだよ」
私の視線を感じてか少し恥ずかしそうに目線がそらされ、ペットボトルの中身が一気に消えた。いい飲みっぷりだ。
「圧力鍋だからすぐできるよ。お風呂はいってきたら?」
「なんか手伝えることねぇか?思ったより早く終わったからイマイチ不完全燃焼なんだよな」
「うーん、今日お味噌汁飲んだ?まだ飲んでないなら冬馬くんのお味噌汁、久しぶりに飲みたいな……」
「よっしゃ、任せとけ!」
瞬間湯沸かし器のスイッチを入れ私の使っていたまな板に冬馬くんが入って、大根を薄く刻み、茹でておいた菜の花の入ったタッパーを冷蔵庫から取り出す。湧いたお湯で油揚げの油抜きをして、細く刻んだ。
その光景をぼんやり見ていたかったけど、私も慌てて切った野菜を炒めた肉と一緒に鍋に入れ、調味料を入れてから蓋をした。
ゴミを捨てて手を洗うと冬馬くんは手早く出汁をとった鍋に大根を入れた。菜の花と油揚げはあとで入れるらしい。感心するほどに手慣れている。彼が楽勝、と呟いたのは無意識だろうから言わないでおく。
火が通るまで手が空いたからか冬馬くんは冷蔵庫の中を物色した。貰い物のゼリーか何かがあったはず。デザートにするかお腹が空いてるようなら先に食べてしまってもいいかもしれない。そのことを伝えると冷蔵庫からそれを見つけ出して素早く閉めた。
「億疋屋じゃねぇか!」と箱を見て明るい声が上がる。
億疋屋といえば冬馬くんご贔屓のクリームソーダでお馴染みのお店だ。以前バラエティに出た時に翔太くんが嬉々としてその話をしたところ、Jupiterの差し入れにとそのお店のお菓子をよくいただくようになった。
「あんたはどっちがいい?」
声のわくわくが抑えきれない様子に思わずにやにやしてしまう。
開けるぞ、と言葉の途端広がる保冷剤のひんやりした空気に2人して目を細めた。
「どっちでもいいかな。あ、でも私メロン食べられないからどっちにしても冬馬くんにあげます」
「いいのか?」
「まあ、苦手なので」
「イチゴのババロアと、プリンアラモード……」
真剣に悩むところが面白くてずっと見ていようかなと思ったけれどそっと保冷剤を抜き取り後ろ手に隠す。首に押し当ててやろうと思って。
そんな行動にも気づかず冬馬くんは箱の中身を凝視している。甘いものに執着するタイプではないみたいだけど今日のこれはお気に入りの高級店のそれだから特別なのだろう。
「決めたぜ。ほら、あんたも味わって食えよな」
ババロアが差し出されありがたく受け取る。せっかくなので専用のスプーンで一口掬うとぷるぷる揺れた。冬馬くんも同じようにスプーンの上のプリンに見惚れている。さすが高級店。それから、一口。
「……うめぇ!」
「……ババロアも一口食べる?まだ口つけてないよ」
そうしてスプーンを持ち上げると冬馬くんが瞬時に狼狽して、ちょっと顔を赤くした。間接キスじゃないから恥ずかしくないのに。ここで、あーんされるのが嫌なのかと気づきババロアをスプーンごと押しやるも押し返された。
「ほ、ほら……」
わたしの差し出したババロアを食べる前にまさかの冬馬くんからのおすそ分け。
スプーンはちょっと震えてるし、目線はこっちを見てないし、さっきよりずっと顔は赤い。
「食べていいの?」
「俺だけもらうのは…不公平だと思っただけだ!……いいから、さっさと食えよ」
そんなに照れられるとこっちまで恥ずかしくなってしまう。小さな声でいただきます、と言って食いついた。口の中でカラメルとプリン、甘い生クリームの味が混ざる。
「……おいしかったです、ありがとう」
「……お、おう」
お返しのババロアはなんとなく気まずくて、入れ物ごと差し出した。冬馬くんはそれをさっと取って一口食べてつっけんどんに押し返した。
「……うまかった」
「さすが億疋屋だよね」
「ああ……って、味噌汁!煮立っちまう!」
放置していた味噌汁は煮立っており、慌てて火を弱めて菜の花と油揚げを投入した。焦りすぎているのか菜の花は絞ったときのまま、ほぐれ切っていない。
ぐるぐると無心で鍋をかき混ぜる様子を見てそっと握ったままの保冷剤を手放した。これだけ動揺してるから、首筋に押し付けるのはやめておこう。
冬馬くんは料理が得意だから先に帰ってきたときとか時間のあるときはいつも名前の言えないような凝った料理を作ってくれて私を待っている。くたくたになって帰宅した私を、リビングで勉強したり台本を読んだりして待ってくれるのは案外心地いいし、「おかえり。夕飯できてるぜ」って顔を上げてくれるのが嬉しくて残業さえも苦にならない。
凝った料理ばかりかと思えば家庭的な料理もお手の物で、時には翔太くんにあげるおやつを作ったりだとか研究に余念がない。とっても凝り性なのだと思う。
今日は私の方が先に帰ってきたので、じゃがいも玉ねぎ人参それから牛肉でオーソドックスな料理を作ろうと思う。この4点で作れる料理は無限大で、たいへん便利なので家にはだいたいじゃがいもと玉ねぎが冷暗所にある。暇な時に冬馬くんが芽を取っては美味しい料理に変えてくれる。
「ただいま」
「おかえりなさーい」
玄関が開いて、姿は見えないながらただいまの声がした。
「お、夕飯ありがとな」
「私も今帰ってきたところだからこれからだよ」
冬馬くんは冷蔵庫のミネラルウォーターを取って、それからまた私の後ろに帰ってきた。
「カレーか?」
ちらっとまな板の上の野菜を見てちょっとだけ目が光る。
「ごめん、肉じゃがのつもりだった。カレーにする?」
「……いや、今度の休みに作るつもりだったんだよ」
私の視線を感じてか少し恥ずかしそうに目線がそらされ、ペットボトルの中身が一気に消えた。いい飲みっぷりだ。
「圧力鍋だからすぐできるよ。お風呂はいってきたら?」
「なんか手伝えることねぇか?思ったより早く終わったからイマイチ不完全燃焼なんだよな」
「うーん、今日お味噌汁飲んだ?まだ飲んでないなら冬馬くんのお味噌汁、久しぶりに飲みたいな……」
「よっしゃ、任せとけ!」
瞬間湯沸かし器のスイッチを入れ私の使っていたまな板に冬馬くんが入って、大根を薄く刻み、茹でておいた菜の花の入ったタッパーを冷蔵庫から取り出す。湧いたお湯で油揚げの油抜きをして、細く刻んだ。
その光景をぼんやり見ていたかったけど、私も慌てて切った野菜を炒めた肉と一緒に鍋に入れ、調味料を入れてから蓋をした。
ゴミを捨てて手を洗うと冬馬くんは手早く出汁をとった鍋に大根を入れた。菜の花と油揚げはあとで入れるらしい。感心するほどに手慣れている。彼が楽勝、と呟いたのは無意識だろうから言わないでおく。
火が通るまで手が空いたからか冬馬くんは冷蔵庫の中を物色した。貰い物のゼリーか何かがあったはず。デザートにするかお腹が空いてるようなら先に食べてしまってもいいかもしれない。そのことを伝えると冷蔵庫からそれを見つけ出して素早く閉めた。
「億疋屋じゃねぇか!」と箱を見て明るい声が上がる。
億疋屋といえば冬馬くんご贔屓のクリームソーダでお馴染みのお店だ。以前バラエティに出た時に翔太くんが嬉々としてその話をしたところ、Jupiterの差し入れにとそのお店のお菓子をよくいただくようになった。
「あんたはどっちがいい?」
声のわくわくが抑えきれない様子に思わずにやにやしてしまう。
開けるぞ、と言葉の途端広がる保冷剤のひんやりした空気に2人して目を細めた。
「どっちでもいいかな。あ、でも私メロン食べられないからどっちにしても冬馬くんにあげます」
「いいのか?」
「まあ、苦手なので」
「イチゴのババロアと、プリンアラモード……」
真剣に悩むところが面白くてずっと見ていようかなと思ったけれどそっと保冷剤を抜き取り後ろ手に隠す。首に押し当ててやろうと思って。
そんな行動にも気づかず冬馬くんは箱の中身を凝視している。甘いものに執着するタイプではないみたいだけど今日のこれはお気に入りの高級店のそれだから特別なのだろう。
「決めたぜ。ほら、あんたも味わって食えよな」
ババロアが差し出されありがたく受け取る。せっかくなので専用のスプーンで一口掬うとぷるぷる揺れた。冬馬くんも同じようにスプーンの上のプリンに見惚れている。さすが高級店。それから、一口。
「……うめぇ!」
「……ババロアも一口食べる?まだ口つけてないよ」
そうしてスプーンを持ち上げると冬馬くんが瞬時に狼狽して、ちょっと顔を赤くした。間接キスじゃないから恥ずかしくないのに。ここで、あーんされるのが嫌なのかと気づきババロアをスプーンごと押しやるも押し返された。
「ほ、ほら……」
わたしの差し出したババロアを食べる前にまさかの冬馬くんからのおすそ分け。
スプーンはちょっと震えてるし、目線はこっちを見てないし、さっきよりずっと顔は赤い。
「食べていいの?」
「俺だけもらうのは…不公平だと思っただけだ!……いいから、さっさと食えよ」
そんなに照れられるとこっちまで恥ずかしくなってしまう。小さな声でいただきます、と言って食いついた。口の中でカラメルとプリン、甘い生クリームの味が混ざる。
「……おいしかったです、ありがとう」
「……お、おう」
お返しのババロアはなんとなく気まずくて、入れ物ごと差し出した。冬馬くんはそれをさっと取って一口食べてつっけんどんに押し返した。
「……うまかった」
「さすが億疋屋だよね」
「ああ……って、味噌汁!煮立っちまう!」
放置していた味噌汁は煮立っており、慌てて火を弱めて菜の花と油揚げを投入した。焦りすぎているのか菜の花は絞ったときのまま、ほぐれ切っていない。
ぐるぐると無心で鍋をかき混ぜる様子を見てそっと握ったままの保冷剤を手放した。これだけ動揺してるから、首筋に押し付けるのはやめておこう。
