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「1泊2日で温泉にいかない?」
温泉、二人きり、温泉旅館、泊りがけ。彼女の一言でいろいろ想像したのも仕方ないと思う。浮かれる彼女に手を引かれて浮かれた俺は特急に乗り、なんなら温泉街に降り立ったときから覚悟は決めていた。
しかしながら俺の覚悟に反して普通に別湯だし部屋に露天風呂はないし、名前さんはさっさと岩盤浴に行き、帰ってきたらトランプを取り出し勝負を持ち掛け、結局熱中する俺らを見て料理を用意しに来た中居さんには笑われ、名前さんが「一生分かに食べたわ」というくらいのかにを二人で食べ、温泉に入り、卓球で戦い、負けた方がコーヒー牛乳をおごり、汗を流しにまた温泉に入り、おやつ仕入れに行こうよと誘われて夜のコンビニに連れ立っていき、帰ってきてジュースと菓子で宴会をしてくだらない話をひたすらして、午前1時、何事もなく別々の布団で就寝した。
生殺しだ。こんなの、ありかよ。いい感じに汗を流しつかれた名前さんはすやすやと俺の右隣で爆睡している。いい雰囲気には1ミリもならなかった。そもそも終始修学旅行みたいなノリだった。特急に乗った時から、なんなら誘われた時からずっとそわそわしていたのに、その期待を見事に裏切った寝息が憎らしい。俺はあんたが寝てから1時間こうして悶々としてて寝れてねえのに。
布団を這い出てペットボトルの水を飲んだ。豆電球がついているから静かに息をする名前さんの寝顔は見えた。
「……期待してた方が馬鹿みたいじゃねえか」
「何期待してたの」
「うおっあんた、起きて」
「冬馬くんがもぞもぞするから起きちゃった」
焦ってただ口を開閉することしかできない俺をよそに名前さんはけろっとしていて、俺と同じように布団から這い出てペットボトルを求めた。
「それで、何を期待したの」
布団から這い出たからか名前さんの浴衣の肩口がはだけていた。水を飲んだばっかりなのにのどがからからに乾いて、名前さんは追い打ちをかけるみたいに「ねえ、」と笑った。どうせ全部わかってやってるくせに、俺の言葉に「なんのこと?」と笑い返すところはわざとだとわかっていてもかわいくて腹が立った。
温泉、二人きり、温泉旅館、泊りがけ。彼女の一言でいろいろ想像したのも仕方ないと思う。浮かれる彼女に手を引かれて浮かれた俺は特急に乗り、なんなら温泉街に降り立ったときから覚悟は決めていた。
しかしながら俺の覚悟に反して普通に別湯だし部屋に露天風呂はないし、名前さんはさっさと岩盤浴に行き、帰ってきたらトランプを取り出し勝負を持ち掛け、結局熱中する俺らを見て料理を用意しに来た中居さんには笑われ、名前さんが「一生分かに食べたわ」というくらいのかにを二人で食べ、温泉に入り、卓球で戦い、負けた方がコーヒー牛乳をおごり、汗を流しにまた温泉に入り、おやつ仕入れに行こうよと誘われて夜のコンビニに連れ立っていき、帰ってきてジュースと菓子で宴会をしてくだらない話をひたすらして、午前1時、何事もなく別々の布団で就寝した。
生殺しだ。こんなの、ありかよ。いい感じに汗を流しつかれた名前さんはすやすやと俺の右隣で爆睡している。いい雰囲気には1ミリもならなかった。そもそも終始修学旅行みたいなノリだった。特急に乗った時から、なんなら誘われた時からずっとそわそわしていたのに、その期待を見事に裏切った寝息が憎らしい。俺はあんたが寝てから1時間こうして悶々としてて寝れてねえのに。
布団を這い出てペットボトルの水を飲んだ。豆電球がついているから静かに息をする名前さんの寝顔は見えた。
「……期待してた方が馬鹿みたいじゃねえか」
「何期待してたの」
「うおっあんた、起きて」
「冬馬くんがもぞもぞするから起きちゃった」
焦ってただ口を開閉することしかできない俺をよそに名前さんはけろっとしていて、俺と同じように布団から這い出てペットボトルを求めた。
「それで、何を期待したの」
布団から這い出たからか名前さんの浴衣の肩口がはだけていた。水を飲んだばっかりなのにのどがからからに乾いて、名前さんは追い打ちをかけるみたいに「ねえ、」と笑った。どうせ全部わかってやってるくせに、俺の言葉に「なんのこと?」と笑い返すところはわざとだとわかっていてもかわいくて腹が立った。
