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「たっだいまー」
うー寒い寒いと次郎さんが帰ってきた。
「お帰りなさい、ご飯できてますよ」
「あっもしかして窓拭いてくれた?ゴメンね、今年大掃除ぜんぶ任しちゃって……」
「次郎さん日頃からちゃんとお掃除してるからあんまり大変じゃなかったよ……お掃除してたからお夕飯は頑張ってないけど……」
「ううん、今年は大掃除無理かと思ってたから助かった……おっうまそう」
仕事のまま髪は崩さずに帰ってきたらしく、私服なのに前髪をセンターで分けた次郎さんは新鮮だった。
「座って座って!これからメインディッシュ出てくるから」
「メインディッシュ?そんな頑張ってくれたの?」
「じゃじゃーん!天道さんからお歳暮にいただきました蟹でーす!今日も次郎さんお疲れさま!」
「うお、でかっ!!」
立派な足の蟹はボイルされて綺麗な紅色をしていた。
「いやーすごいね、天道さん太っ腹!さすが弁護士先生!」
「くーっ!!!お仕事頑張ってよかった……!」
いただきますと手を合わせ、取り合うように蟹の身を剥いた。次郎さんは蟹の身がちょっと残ったのを殻からほじりながら本日の念願だったお仕事の話やお正月にお仕事が入って明日からまた忙しい話をした。
「先生辞めても、やっぱり年末からしばらく忙しいんですね」
「この時期就職組はだいたい決まってたけど進学する子たちはセンター試験に二次試験……そのすぐ後に卒業だから先生たちも休んでる暇はなかったよねえ。アイドルもお仕事がもらえるだけありがたいことだけどさ」
この立派な蟹は北海道にお仕事に行った後天道さんが食べた蟹を気に入って、お歳暮用に頼んでくれたのだという。もう一年も経つのかと、次郎さんの忙しさには驚くばかりだ。
「名前ちゃんは明日実家に戻るんだよね」
「一応その予定で……でも次郎さん、しばらくお仕事だから帰ってきてご飯とかお風呂とか大変ですよね。やっぱり残ろうかな……」
「それなんだけど」
蟹をお皿におろし、手を拭いて次郎さんは神妙な顔で私を見た。そんなかっこいい顔をされたらなんだろうとドキドキしてしまうしちょっと期待もしてしまう。
「名前ちゃんはやっぱり実家に帰って。それで、本番終わってからになっちゃうんだけど年明け、名前ちゃんのご家族に挨拶しに行きたいな~なんて……」
や、やっぱりこんなおじさんが突然新年の家族団欒に乱入したらまずいか……と次郎さんは視線を外してたはは、と笑った。
「その後、お仕事は忙しくない?きっとうちの人たち大喜びするからお仕事終わりなのに余計に疲れちゃうかも」
「えっいいの?」
「だめじゃないよ。あんまりかっこいいからうちの家族びっくりするかもしれないけど」
自分で言ったのに次郎さんはほっとして口元からゆるゆるになって、よかった~と言った。
「うわー緊張する……何着てくべきか……」
「次郎さん何きてもかっこいいんだから好きなの着なよぉ」
「うっ褒め殺し」
それから私たちは黙々と蟹を食べ、天道さんにお礼の連絡をいれ、次郎さんはお仕事に備えて台本を読んだりちょっと高いコーヒーを飲んだりしてゆっくりとした2人きりの年末を一瞬だけ過ごした。次郎さんは寝る前に私に「ありがとうね」と優しく言って、私はなんだか恥ずかしくて「こっちこそありがとう」としか返せなかった。もっと言いたいことも聞きたいこともあったのに。
翌朝私が起きた時には次郎さんはもう完全防備(この防備っていうのは寒さ対策とバレ対策という面での話だ)で行ってきますと家を出ていった。私は1人で実家に帰り、家族と年末特番でまた無理な企画を全力でこなす315プロの面々を見て、年明けはニュースで次郎さんの参加した音楽イベントの盛況ぶりを知った。
その晩うちの実家を訪れた次郎さんはかっこよすぎるスーツでキメていて前髪もお仕事仕様で、お土産の他に小さな薔薇の花束まで携えて、私が卒倒しかけたのはいうまでもない。
うー寒い寒いと次郎さんが帰ってきた。
「お帰りなさい、ご飯できてますよ」
「あっもしかして窓拭いてくれた?ゴメンね、今年大掃除ぜんぶ任しちゃって……」
「次郎さん日頃からちゃんとお掃除してるからあんまり大変じゃなかったよ……お掃除してたからお夕飯は頑張ってないけど……」
「ううん、今年は大掃除無理かと思ってたから助かった……おっうまそう」
仕事のまま髪は崩さずに帰ってきたらしく、私服なのに前髪をセンターで分けた次郎さんは新鮮だった。
「座って座って!これからメインディッシュ出てくるから」
「メインディッシュ?そんな頑張ってくれたの?」
「じゃじゃーん!天道さんからお歳暮にいただきました蟹でーす!今日も次郎さんお疲れさま!」
「うお、でかっ!!」
立派な足の蟹はボイルされて綺麗な紅色をしていた。
「いやーすごいね、天道さん太っ腹!さすが弁護士先生!」
「くーっ!!!お仕事頑張ってよかった……!」
いただきますと手を合わせ、取り合うように蟹の身を剥いた。次郎さんは蟹の身がちょっと残ったのを殻からほじりながら本日の念願だったお仕事の話やお正月にお仕事が入って明日からまた忙しい話をした。
「先生辞めても、やっぱり年末からしばらく忙しいんですね」
「この時期就職組はだいたい決まってたけど進学する子たちはセンター試験に二次試験……そのすぐ後に卒業だから先生たちも休んでる暇はなかったよねえ。アイドルもお仕事がもらえるだけありがたいことだけどさ」
この立派な蟹は北海道にお仕事に行った後天道さんが食べた蟹を気に入って、お歳暮用に頼んでくれたのだという。もう一年も経つのかと、次郎さんの忙しさには驚くばかりだ。
「名前ちゃんは明日実家に戻るんだよね」
「一応その予定で……でも次郎さん、しばらくお仕事だから帰ってきてご飯とかお風呂とか大変ですよね。やっぱり残ろうかな……」
「それなんだけど」
蟹をお皿におろし、手を拭いて次郎さんは神妙な顔で私を見た。そんなかっこいい顔をされたらなんだろうとドキドキしてしまうしちょっと期待もしてしまう。
「名前ちゃんはやっぱり実家に帰って。それで、本番終わってからになっちゃうんだけど年明け、名前ちゃんのご家族に挨拶しに行きたいな~なんて……」
や、やっぱりこんなおじさんが突然新年の家族団欒に乱入したらまずいか……と次郎さんは視線を外してたはは、と笑った。
「その後、お仕事は忙しくない?きっとうちの人たち大喜びするからお仕事終わりなのに余計に疲れちゃうかも」
「えっいいの?」
「だめじゃないよ。あんまりかっこいいからうちの家族びっくりするかもしれないけど」
自分で言ったのに次郎さんはほっとして口元からゆるゆるになって、よかった~と言った。
「うわー緊張する……何着てくべきか……」
「次郎さん何きてもかっこいいんだから好きなの着なよぉ」
「うっ褒め殺し」
それから私たちは黙々と蟹を食べ、天道さんにお礼の連絡をいれ、次郎さんはお仕事に備えて台本を読んだりちょっと高いコーヒーを飲んだりしてゆっくりとした2人きりの年末を一瞬だけ過ごした。次郎さんは寝る前に私に「ありがとうね」と優しく言って、私はなんだか恥ずかしくて「こっちこそありがとう」としか返せなかった。もっと言いたいことも聞きたいこともあったのに。
翌朝私が起きた時には次郎さんはもう完全防備(この防備っていうのは寒さ対策とバレ対策という面での話だ)で行ってきますと家を出ていった。私は1人で実家に帰り、家族と年末特番でまた無理な企画を全力でこなす315プロの面々を見て、年明けはニュースで次郎さんの参加した音楽イベントの盛況ぶりを知った。
その晩うちの実家を訪れた次郎さんはかっこよすぎるスーツでキメていて前髪もお仕事仕様で、お土産の他に小さな薔薇の花束まで携えて、私が卒倒しかけたのはいうまでもない。
