林檎紅茶の余韻〜星降る夜の小品集〜
城内の広大な森を散歩する青年と少女。季節の花に春が近いことを実感する。
「……一雨きそうですね」
吹いた風に水の気配を感じ取った騎士団長シラスが言った。
「青空が見えてますのに?」
空を仰いだ王太女リゼットは、遠くに黒い雲と閃光を見た。
「あ、雷」
シラスはリゼットの手を引いた。
王宮に戻る前に本格的に降り出すだろう。近くに狩りの休憩に使う田舎風の小屋があったはずだ。
大粒の水滴が落ちてきたと思った途端、土砂降りの雨。シラスは自分のペリースマントでリゼットを覆い、雨から守る。幸い、すぐに小屋は見つかり簡単に入れた。
「リゼット様、濡れませんでしたか?」
「ええ、大丈夫。ありがとう……シラス君の言ったとおりですわね」
さすが、とリゼットは感心している。
「雨はこの辺りだけみたいですね。一、二時間で止むかと」
気温が下がったようだ。屋根に打ち付ける雨音は変わらない。シラスは暖炉に薪を入れる。
「少しの間、我慢してくださいね」
広くはない小屋をうろうしていたリゼットはタオルを見つけると、暖炉の前に戻ってきた。屈んでいたシラスの背後に立ち、彼の少し濡れた髪を優しく拭いた。
「……ありがとうございます」
シラスの隣に腰を下ろしたリゼットは微笑む。
「うふふ、こんな時間も悪くないのですわ」
暖炉の薪がパチパチと音を立て、火がふたりを赤く照らしていた。
「……一雨きそうですね」
吹いた風に水の気配を感じ取った騎士団長シラスが言った。
「青空が見えてますのに?」
空を仰いだ王太女リゼットは、遠くに黒い雲と閃光を見た。
「あ、雷」
シラスはリゼットの手を引いた。
王宮に戻る前に本格的に降り出すだろう。近くに狩りの休憩に使う田舎風の小屋があったはずだ。
大粒の水滴が落ちてきたと思った途端、土砂降りの雨。シラスは自分のペリースマントでリゼットを覆い、雨から守る。幸い、すぐに小屋は見つかり簡単に入れた。
「リゼット様、濡れませんでしたか?」
「ええ、大丈夫。ありがとう……シラス君の言ったとおりですわね」
さすが、とリゼットは感心している。
「雨はこの辺りだけみたいですね。一、二時間で止むかと」
気温が下がったようだ。屋根に打ち付ける雨音は変わらない。シラスは暖炉に薪を入れる。
「少しの間、我慢してくださいね」
広くはない小屋をうろうしていたリゼットはタオルを見つけると、暖炉の前に戻ってきた。屈んでいたシラスの背後に立ち、彼の少し濡れた髪を優しく拭いた。
「……ありがとうございます」
シラスの隣に腰を下ろしたリゼットは微笑む。
「うふふ、こんな時間も悪くないのですわ」
暖炉の薪がパチパチと音を立て、火がふたりを赤く照らしていた。
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