短いお話
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「クロウ……」
アリアがリップを持ってくる。
それは塗って欲しいというおねだり。と思いきや、キスのおねだりだったりする。
随分遠回しなお願いなことだ、と思いながらもクロウはそれに応じる。もちろん満更でもないからだ。
「ほれ、貸してみ」
「ん…」
手を差し出すと嬉しそうな表情で渡されるリップクリーム。
うわ、色付きじゃねえか、とげんなりするが此処で違うのを持ってくるように言っても雰囲気ぶち壊しだ。
「目、瞑って」
素直に目を瞑りじっとしているアリア。
伏せられた長いまつげを見ながらこんな甘えん坊でこの先自分無しで生きていけるのかと心配になってしまう。
顎を掴み、アリアの唇に丁寧にリップクリームを塗っていく。これからその唇に自分のものを重ねるのは不思議な心地だと思いながら色づいていくアリアの唇を見ていた。
塗り終わってすぐにキスをするのがお約束だ。
仕方がないとはいえ色が付いてしまったであろう自分の唇を思うと恥ずかしくなってくる。
すぐに拭ってしまおうと唇を離すと、目を見開き驚いた表情のアリアが視界に入り思わず眉を顰めるクロウ。
「なに、どしたの」
「えと、そういうつもりじゃなかったから…」
頬を染め、恥ずかしそうに視線を逸らしながらティッシュでクロウの唇を拭くアリア。ごめんね、という小さな呟きにクロウは勝手におねだりだと思い込んでキスしたことに恥ずかしさを感じる。よくよく思えばアリアがおねだりのときに持ってくるのは決まって無色の薬用リップだった。
「でも、色付きでもちゅーしてくれるの嬉しい」
「ばっばか、早く言えよ…」
「ふふ…ちゅーしていい?」
「だめに決まってんだろ、色が付く」
そうぶっきらぼうに言い、アリアの手から再びリップクリームを引ったくると改めて綺麗に塗り直していく。
あまりのばつの悪さにクロウは視線を逸らしたが、アリアのピンクダイヤの瞳が本当に本当に幸せそうに綻ぶのに観念して額に口付けを落とすのだった。
◆
アリアがリップを持ってくる。
それは塗って欲しいというおねだり。と思いきや、キスのおねだりだったりする。
随分遠回しなお願いなことだ、と思いながらもクロウはそれに応じる。もちろん満更でもないからだ。
「ほれ、貸してみ」
「ん…」
手を差し出すと嬉しそうな表情で渡されるリップクリーム。
うわ、色付きじゃねえか、とげんなりするが此処で違うのを持ってくるように言っても雰囲気ぶち壊しだ。
「目、瞑って」
素直に目を瞑りじっとしているアリア。
伏せられた長いまつげを見ながらこんな甘えん坊でこの先自分無しで生きていけるのかと心配になってしまう。
顎を掴み、アリアの唇に丁寧にリップクリームを塗っていく。これからその唇に自分のものを重ねるのは不思議な心地だと思いながら色づいていくアリアの唇を見ていた。
塗り終わってすぐにキスをするのがお約束だ。
仕方がないとはいえ色が付いてしまったであろう自分の唇を思うと恥ずかしくなってくる。
すぐに拭ってしまおうと唇を離すと、目を見開き驚いた表情のアリアが視界に入り思わず眉を顰めるクロウ。
「なに、どしたの」
「えと、そういうつもりじゃなかったから…」
頬を染め、恥ずかしそうに視線を逸らしながらティッシュでクロウの唇を拭くアリア。ごめんね、という小さな呟きにクロウは勝手におねだりだと思い込んでキスしたことに恥ずかしさを感じる。よくよく思えばアリアがおねだりのときに持ってくるのは決まって無色の薬用リップだった。
「でも、色付きでもちゅーしてくれるの嬉しい」
「ばっばか、早く言えよ…」
「ふふ…ちゅーしていい?」
「だめに決まってんだろ、色が付く」
そうぶっきらぼうに言い、アリアの手から再びリップクリームを引ったくると改めて綺麗に塗り直していく。
あまりのばつの悪さにクロウは視線を逸らしたが、アリアのピンクダイヤの瞳が本当に本当に幸せそうに綻ぶのに観念して額に口付けを落とすのだった。
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