残雪とハデスの兜

【エピローグ】

ヨハンは最終的に左目と片腕(or両腕)を失い、自前の氷製の義手着けるようになる
あの日奪った命の熱さも あの日抱いた死体の冷たさも もうわからない、思い出せない
在りし日の愛するひとたちの温度を何も思い出せなくなったヨハン・エピローグ・シュニーシルト

ヨハン エピローグのすがた
顔に大きな傷(潰れた左目は基本前髪で隠してる)/氷の義手/無造作ボサボサロングヘア/ひどいクマ/やつれた頬/虚ろな眼差し
名門貴族の次男坊だし几帳面な性分だから身なりはきちんとしてたんだけど心身共にすり減りまくってくたびれた格好 相変わらず露出ほぼないけど全身傷だらけ 服は今のやつをボロボロにするでも新しくボロボロのやつを考えるでも可

エピローグヨハン、家族も仲間も友も何もかも失って、いっそ壊れてしまえば楽なのに壊れられずにいる ぼろぼろになった祖国にはまだ守りたい・守るべき民たちが残っているから
とはいえ国にいると亡くしたひとたちとの穏やかな日々を思い出して気が狂いそうになるので戦場に入り浸る しろがねとの戦いが終わって彼が消えても失われた命は戻らないし、また別の戦いが始まる 平和にはまだ手が届かない 僅かに残った守るべき国と民のために今日も戦いに身を投じる 誰より平和を愛した男は長い戦いの末に戦場でなければ正気を保てなくなった

ヨハンが戦場にこもるのは心の奥底で戦死を望んでいるから 責任感の強さと気高さ故に自死は絶対に選ばないし、「残された・残った側として散っていった彼らの思いも背負って生きていく・生きなければ」という強靭な意志でどうにか生きてるけど それはそれとして心身共にめちゃくちゃ疲弊・摩耗してる
元々守りに特化した種族で「防御上げて耐えて殴って回復の無限ループ」という戦闘スタイルだったから尚更守れなかったことに打ちのめされてる 自分の傷はいくらでも治せるのに目の前で苦しむ誰かは治してあげられない 義手つけ始めたのはこの辺の感情も絡んでそう
終戦後は「ねむる」が使えなくなるしろくに眠れなくなってひどいクマができる 毎晩魘されては「冥界にはみんないるぜ?お前も来いよ」というバリオスの声が幾度となく脳裏を過ぎる これ自体は幻聴だけど似たような言葉を生前バリオスに言われてる

***

しろがねがせっせと集めて閉じ込めてた夥しい数の魂たちは2代目分霊の手で輪廻の輪に戻される その流れで「朔友/バリオス」だった魂も次の肉体へ転生する 当然ながらしろがねの加護がないので記憶は引き継いでないし、そもそもしろがねはもう何処にもいないので引き継ぐような記憶もない

いつかどこかの時間軸 フワンテの群れ

 少年はずっと不思議だった。
 心にぽっかり穴があいている。ような気がする。
 家族や仲間に名前を呼ばれる度、ほんの少し違和感を覚える。ような気がする。
 よくわからないけれど何か足りない。何かを、誰かを、ずっと探しているような──。

〝   〟

 風が耳を撫でる。少年は振り向かない。その名は既に彼のものではなく、あの声は世界から消えてしまったのだから。
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