残雪とハデスの兜

【ヨハンVSバリオス】

「バリオス。お前のことも、お前がしたことも、決して許すことはできない。だが……」ぐっと歯を噛みしめ、まっすぐ見つめる
「それでも私は、今もお前を友だと思っている」
「くう~~ッ泣かせるねえ。俺もさ……って言いてえとこだが、こう見えて一途でな」ふと真顔になって
「俺のダチはしろがねだけだ」

「生きてたって辛えこと苦しいことばっかりだろ?だからあいつの国で、一緒に面白おかしく穏やかに暮らそうぜ」「冥界なら誰も死にやしねえ。なんせもう死んでるからな」
「……ならば。お前は何故、生きている」
「しろがねがこっちに居るからだ」一瞬真顔になるけどすぐへらりと笑って「あいつ寂しがりだからさ。俺がそばにいてやんねえとダメなのよ」「こう見えて俺、何度も死んでるんだぜ。その度にいろんな体に生まれ変わったんだ」

「冥界っていいトコだぜ。お前も来いよ。お前の嫁さんも坊主も、ドロシーだっている」
「──断る!!」
「……そうか。残念だ。なら……無理矢理連れてくしかねえな!お前の家族みてえによ!!」

死闘の末にいよいよ決着 お互いに大技を放ち、斬りあって背中合わせ(?)みたいな構図
「……あーあ。お前も、こっち側ならよかったのに。そしたら──」
 ――お前ともダチになれたのによ。
血を吐き、ドサリとうつ伏せに倒れるバリオス これ以上は浮気になるので口にしない 文字通り墓まで持っていく

「……しろ、がね」「ごめんなぁ……俺、負けて……肉体うつわもダメにして……またお前を、ひとりに……しちまうな……」「次起きたら……現世か冥界、どっちにいるか、わかんねえけど……また……ずっと……お前の、そばに……」
少しずつ虚空へ手を伸ばすが途中で事切れる バリオスの最期を無言で見届け、ぐっと唇を噛みしめて踵を返す 目指すは冥府の王の根城

バリオスの魂を本拠地の巨大な鏡で迎え入れたしろがね、鏡に額をつけて微笑む
「謝らないで。君は今回もすごく頑張ってくれたよ」「ありがとう、朔友。少し休んでいて。またすぐに会おうね」
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