• 始業式を終えた帰り道。クラルテはひとり住宅街を歩いていた。

  • クラルテ

    人が多いわね……どこで戻ろうかしら……

  • クラルテ

    ……!?

  • 公園を通り過ぎた頃。道端の植木を掻き分ける不審者──及びクラスメイトを見つける。

  • クラルテ

    リアム? とっくに帰ってると思ってたのに……

  • リアム

    ……ん?

  • クラルテ

    こ こんにちは

  • リアム

    クラルテちゃんだよね? 僕と同じ転入生の

  • リアム

    帰り道こっちなの?

  • クラルテ

    え ええ。そうなの

  • クラルテ

    リアム君はなにを……?

  • リアム

    あー……それがね。家で保護していた蝶々がいなくなっててさー……

  • クラルテ

    それって……!?

  • クラルテが驚くのも仕方ない。なぜならその『蝶』はクラルテなのだ。

  • リアム

    金色の不思議な蝶々なんだけど 見てない?

  • クラルテ

    見てないわね……

  • クラルテ

    ここにいるし……

  • リアム

    そっかー……

  • リアム

    ちょっと前に怪我してたところを保護したんだけど……もう飛べるようになったのかな

  • リアム

    飼ってるつもりではなかったし、元気になってくれたならそれでいいんだけど

  • 言葉とは裏腹にやや寂しげなリアムを、クラルテは内心ドキドキしながら励ます。

  • クラルテ

    き きっと散歩に出ているのよ

  • リアム

    えっ散歩?

  • クラルテ

    ええ。それに蝶は住処に戻る習慣があるって聞いたことあるし……

  • クラルテ

    多分あってるわよね……?

  • クラルテ

    窓を開けて待っていたら帰ってくるんじゃないかしら

  • リアム

    ……なんかそんな気がしてきた! お家で待ってみるね!

  • リアム

    ありがとうクラルテちゃん!

  • 元気よく小走りで自宅へと向かうリアムに、クラルテはそっと安堵の息を吐く。

  • クラルテ

    リアムとお話してみたかったから……なんて言えないけれど……

  • クラルテ

    早く『蝶』の姿で帰ってあげないと ね

  • リアム宅
  • リアム

    窓も開けたしご飯(キャベツ)も用意した

  • リアム

    ……戻ってくるかな

  • 《》

  • リアム

    あっ! 良かった〜

  • リアム

    明日クラルテちゃんにお礼言おう〜っと

  • ……良かった。笑顔になってくれて

タップで続きを読む