戦士達の休日

戦士達の休日【5】


「あ。帰って来た」

 翌日――『異世界ウル』から基地『ネビュラ』に帰還したナナとベータは、二人揃って目を丸くする。

「お帰りなさい、二人とも」
「遅かったじゃない」
「もう皆帰って来てたの⁇」

 サクラやクレアを始め、セレ、ケイス、ヴェレットの姿もあり、和やかに談話していた様子。
 ヴェレットは頬張っていたお菓子を飲み込むと、笑みを咲かせる。

「昨日の夜までには全員帰ってきたんだよ」
「えー! そうだったの〜⁉︎ じゃあ待ってれば良かった〜」

 本当にな、と半眼を向けたベータに違和感を覚えたのはケイス。

「なぁにその反応〜? もしかしてお二人さん……一緒に居たりして」
「暇だったからねっ。夜はベータの部屋で一緒で寝たんだよ」

 ヴェレットを除く一同に――最大級の激震が走る。
 好奇、憐憫宿る眼差しを浴びたベータはすぐさま否定。

「部屋が一緒だったってだけで、俺はソファーで寝たからな⁉︎」
「だから朝帰りなのね、兄さん……」
「どういう意味だよ!」
「せっかくの機会なのに何もしていないの?」
「相変わらずのヘタレね」
「うるせぇうるせー」

 実妹には引かれ、ケイスとクレアにいじられるベータ。苦笑するサクラは話題を変えるべく、ナナに話を振る。

「ナナ。用っていうのは無事に済んだの?」
「ん? うん、終わったよ」
「そういえば、用ってなんだったの?」

 首をかしげるヴェレットに、ナナは困ったように眉を曲げて。

「ごめん、それは言えないんだ。でもみんな楽しんできたみたいで良かったっ」

 太陽の光も届かない遠い宇宙の果てに、明るい笑い声が響く。
 彼らの旅路は、もう少しだけ続くのだろう――。


 お父様、お母様。
 ありがとう。
 ……さようなら。

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