イニティウム
『エターナルスター』を発見したその晩、クレアはルアのもとを訪れていた。
「今日はありがとうございました。お姉様達のおかげで、明日の儀式は当初の予定通りに行えそうです」
鏡台に映るルアの表情は晴れ晴れとしており、憂いの影は跡形もなく消えていた。彼女の髪を
「それなら良かったわ」
その微笑みの裏で起きた出来事など、義姉を純粋に信じている彼女は知る由もない。
クレアは
「明日、頑張ってね」
「ふふ、頑張ります。もう慣れたものですけどね」
「そうよね。ルア女王」
ぽんっと軽く肩を叩いて遠のく義姉に、ルアは期待を胸に立ち上がっては振り返る。
「あの、お姉様。明日……」
「ごめんなさい。見ていくつもりだったのだけれど、済ませないといけない用があるのよ」
遮るようにクレアはルアの申し出を断った。
断られると薄々感じてはいたものの大きく落胆したルアは肩を落とす。
「今夜はアナタの好意に甘えて泊まっていくけれど、明日以降は気にしなくていいわ。そのまま戻るだろうし」
最後にクレアはルアの頭をひと撫で。
「また会いに来るわ。今度は用なんて関係なしに、ね」
まるで子供をあやすようなクレアに、ルアは頬を
「や、約束ですよ」
「ええもちろん」
交わした口約束を封じるかのように。クレアはルアの額に軽く口付け、おやすみなさいと部屋を去った。