Spectral Color
エアコンの効いた涼しい部屋で、俺は持ち帰り仕事。それが終わるのを待っているうちに、ベッドで寝てしまった瑞貴。昼までには終わらせるつもりだったのに、もう午後をすぎてしまった。
「終わったよ……」
と、眠る彼に一応声を掛けてみるが、起きる気配はない。俺も起こす気がない声量で声を掛けているのだから当然といえば当然だ。彼と向かい合うように寝そべって、彼の亜麻色の髪を撫でる。
さらさら。さらさら。指をすり抜けていく柔らかい髪。
「なんでこんなに髪綺麗なの……?」
起きるわけがないのに、そう呟く。
『同じシャンプー使ってるのに、俺の髪と全然手触りが違う。おかしい』と、以前彼に言ったら『僕は安慈の髪、好きだよ』と返されてしまったことを思い出す。
「あの返しは狡い……」
そう呟いて、彼の髪をまた指で梳いていると、彼の手が俺の頭に伸びてきた。
「狡くないよ」
彼の手が、俺の耳の辺りの髪を梳いていく。
「だって、安慈の髪も綺麗だもん。さらさらだよ」
「瑞貴、起きてたの?」
「安慈がベッドに乗ってきたあたりから起きてたよ。何するのかなって、様子みてた」
そう言って小さく笑う彼。独り言も全部聞かれていたのか……。
「なんだ、早く起きてくれれば良かったのに」
「仕事持って帰ってきたのはどっち?」
「ハイ、ごめんなさい」
ムッとした表情を浮かべた瑞貴に速攻で謝ると、彼が笑った。その笑顔に少しだけホッとしていると、頭を引き寄せられて、唇が重なった。
「仕事お疲れ様。出掛けようか」
ニッコリと笑って彼がそう言った。この雰囲気のまま、ベッドにいるのも悪くないなぁと思っていたのだけど、この笑顔は裏切れない。
「うん。お待たせ致しました。どこに行こうか?」
「新しいシャンプー探しに行く?」
「サラサラになるやつね」
「いい香りのやつも欲しい。あと、その前にランチする」
「そうだね」
二人でクスクスと笑いながら、ベッドから起き上がって支度を始めた。
こういうの、小さな幸せだな……なんて、俺は密かに心の中で思っていた。
「終わったよ……」
と、眠る彼に一応声を掛けてみるが、起きる気配はない。俺も起こす気がない声量で声を掛けているのだから当然といえば当然だ。彼と向かい合うように寝そべって、彼の亜麻色の髪を撫でる。
さらさら。さらさら。指をすり抜けていく柔らかい髪。
「なんでこんなに髪綺麗なの……?」
起きるわけがないのに、そう呟く。
『同じシャンプー使ってるのに、俺の髪と全然手触りが違う。おかしい』と、以前彼に言ったら『僕は安慈の髪、好きだよ』と返されてしまったことを思い出す。
「あの返しは狡い……」
そう呟いて、彼の髪をまた指で梳いていると、彼の手が俺の頭に伸びてきた。
「狡くないよ」
彼の手が、俺の耳の辺りの髪を梳いていく。
「だって、安慈の髪も綺麗だもん。さらさらだよ」
「瑞貴、起きてたの?」
「安慈がベッドに乗ってきたあたりから起きてたよ。何するのかなって、様子みてた」
そう言って小さく笑う彼。独り言も全部聞かれていたのか……。
「なんだ、早く起きてくれれば良かったのに」
「仕事持って帰ってきたのはどっち?」
「ハイ、ごめんなさい」
ムッとした表情を浮かべた瑞貴に速攻で謝ると、彼が笑った。その笑顔に少しだけホッとしていると、頭を引き寄せられて、唇が重なった。
「仕事お疲れ様。出掛けようか」
ニッコリと笑って彼がそう言った。この雰囲気のまま、ベッドにいるのも悪くないなぁと思っていたのだけど、この笑顔は裏切れない。
「うん。お待たせ致しました。どこに行こうか?」
「新しいシャンプー探しに行く?」
「サラサラになるやつね」
「いい香りのやつも欲しい。あと、その前にランチする」
「そうだね」
二人でクスクスと笑いながら、ベッドから起き上がって支度を始めた。
こういうの、小さな幸せだな……なんて、俺は密かに心の中で思っていた。