Spectral Color
僕には、未だに解明できない謎がある。
それは、コイツ。
「バーベキューのセットはトランクに積んであるし、クーラーボックスもOK!あとは途中で中身買うだけ!」
「じゃあ、まずは買い出しだね。途中に大きいスーパーある?」
「あるよ!いつも寄ってるとこ!」
彼の親友である、翔 。初めて会った時なんか、子供みたいにどんぐり拾って遊んでたし、喋るとアホなことばっかり言うなと思ったら、ピアノはとんでもなく上手で別人になるし、コンビニに行く感覚で海外旅行に行こうとする変な奴。
何故、僕のパートナーは、こんなぶっ飛んでる奴と付き合っているのだろうか……。翔がおかしなことを言っても『うん、面白いね』ってニコニコしながら返事をするんだ。あぁ、これもちょっとした謎だね。
昨晩、安慈に翔から『明日休みなら遊ぼう』と連絡があって、特に僕達も用事がなかったからOKしたのだけど、今日、早くに家に来るなり開口一番。
「川行こう! バーベキューしよ!」
で、今に至る。
今日は翔が車を出してくれるみたいだけど、この行動力。家の中で大人しくしていることあるのかな? そんなことを思いながら、三人で車に乗り込んだ。
運転は翔。僕とパートナーが後部座席に座った。意気揚々と翔が車を走らせ、車内には軽快なリズムの音楽が流れる。翔は運転しながら、機嫌良さそうに曲に合わせて歌っていた。
車窓から見える空は快晴。気が滅入るくらいギラギラした日差しだった。
「この下でバーベキューするの……暑そう……。僕倒れちゃうよ……」
「大丈夫。川のそばは、こんなに日差し強くないよ」
僕の独り言を隣に座る安慈が拾ってそう答えた。
「なんでそんなに冷静なの……?朝からハイテンションにいきなりバーベキューやろうって言われて戸惑わない?」
「まぁ、いつものことだなって。もし、二人だけだったら川も行かないし、バーベキューもしないしね。突発イベントは楽しまなきゃ」
安慈はそう言って笑った。突発イベントって、アイツが持ってくるアクティビティは、安慈にとってはゲーム感覚なのか……。
僕は、小さくため息をついてから、思い切って運転する翔に訊いてみた。
「ねーぇ。なんで、やたらと僕たちを外に連れ出すの?夏の昼間なんて日差しも強いし、暑いし、熱中症になっちゃうじゃん」
「あー、ほら。そうやってすぐ引き篭ろうとする!」
バックミラー越しに僕の顔を見て、翔が口を尖らせてそう言った。
「だってー、オレが二人を外に出して日光浴させてあげないと、ほっといたら二人してどんどんモヤシみたいになっちゃうでしょ!二人は仕事で散々屋内に引きこもってるんだから、休みの日くらい外で遊ぼうよ!」
「モヤシって……」
「まぁ、一理あるよねぇ。こうやって連れ出してもらえなかったらまともに日光浴びないもの」
翔の言葉に、そう言って笑った安慈。
いや、待ってよ。何なの、その使命感。
コイツは、僕たちを外に出さないとカビでも生えると思ってるの?
「それに、ちゃんと日光浴びないと、背伸びないよ?」
ミラー越しにまた僕の顔を見て、翔がそう言った。
「う、うるさいなぁ!小学生じゃないんだから、これ以上外に出ても成長しないよ!」
「分かんないよー?男の子はまだ伸びるって」
「ちょっと小さいからって子供扱いするなー!同い年でしょ!」
僕がそう言うと、二人がゲラゲラ笑った。
翔が僕たちを外に連れ出そうとしていたのは、日光浴させて背を伸ばす為?
いや、まさか、本気でそんなこと思ってないだろう。
やっぱり、僕にはコイツのことはよく分からない。
分からないけど、まぁ、良い奴だからいいか。
僕は小さく溜息を吐くと、また窓の外に広がる真っ青な空を見上げたのだった。
それは、コイツ。
「バーベキューのセットはトランクに積んであるし、クーラーボックスもOK!あとは途中で中身買うだけ!」
「じゃあ、まずは買い出しだね。途中に大きいスーパーある?」
「あるよ!いつも寄ってるとこ!」
彼の親友である、
何故、僕のパートナーは、こんなぶっ飛んでる奴と付き合っているのだろうか……。翔がおかしなことを言っても『うん、面白いね』ってニコニコしながら返事をするんだ。あぁ、これもちょっとした謎だね。
昨晩、安慈に翔から『明日休みなら遊ぼう』と連絡があって、特に僕達も用事がなかったからOKしたのだけど、今日、早くに家に来るなり開口一番。
「川行こう! バーベキューしよ!」
で、今に至る。
今日は翔が車を出してくれるみたいだけど、この行動力。家の中で大人しくしていることあるのかな? そんなことを思いながら、三人で車に乗り込んだ。
運転は翔。僕とパートナーが後部座席に座った。意気揚々と翔が車を走らせ、車内には軽快なリズムの音楽が流れる。翔は運転しながら、機嫌良さそうに曲に合わせて歌っていた。
車窓から見える空は快晴。気が滅入るくらいギラギラした日差しだった。
「この下でバーベキューするの……暑そう……。僕倒れちゃうよ……」
「大丈夫。川のそばは、こんなに日差し強くないよ」
僕の独り言を隣に座る安慈が拾ってそう答えた。
「なんでそんなに冷静なの……?朝からハイテンションにいきなりバーベキューやろうって言われて戸惑わない?」
「まぁ、いつものことだなって。もし、二人だけだったら川も行かないし、バーベキューもしないしね。突発イベントは楽しまなきゃ」
安慈はそう言って笑った。突発イベントって、アイツが持ってくるアクティビティは、安慈にとってはゲーム感覚なのか……。
僕は、小さくため息をついてから、思い切って運転する翔に訊いてみた。
「ねーぇ。なんで、やたらと僕たちを外に連れ出すの?夏の昼間なんて日差しも強いし、暑いし、熱中症になっちゃうじゃん」
「あー、ほら。そうやってすぐ引き篭ろうとする!」
バックミラー越しに僕の顔を見て、翔が口を尖らせてそう言った。
「だってー、オレが二人を外に出して日光浴させてあげないと、ほっといたら二人してどんどんモヤシみたいになっちゃうでしょ!二人は仕事で散々屋内に引きこもってるんだから、休みの日くらい外で遊ぼうよ!」
「モヤシって……」
「まぁ、一理あるよねぇ。こうやって連れ出してもらえなかったらまともに日光浴びないもの」
翔の言葉に、そう言って笑った安慈。
いや、待ってよ。何なの、その使命感。
コイツは、僕たちを外に出さないとカビでも生えると思ってるの?
「それに、ちゃんと日光浴びないと、背伸びないよ?」
ミラー越しにまた僕の顔を見て、翔がそう言った。
「う、うるさいなぁ!小学生じゃないんだから、これ以上外に出ても成長しないよ!」
「分かんないよー?男の子はまだ伸びるって」
「ちょっと小さいからって子供扱いするなー!同い年でしょ!」
僕がそう言うと、二人がゲラゲラ笑った。
翔が僕たちを外に連れ出そうとしていたのは、日光浴させて背を伸ばす為?
いや、まさか、本気でそんなこと思ってないだろう。
やっぱり、僕にはコイツのことはよく分からない。
分からないけど、まぁ、良い奴だからいいか。
僕は小さく溜息を吐くと、また窓の外に広がる真っ青な空を見上げたのだった。