Richromatic
今夜は鍋パーティー。今日は彼の親友も一緒だ。
三人で鍋の材料やら、お酒やらを買い込んできた帰り道。
ちょっと散歩も兼ねていつもと違うルートを歩いていると、大きな坂道に出た。
「こんなとこに坂あるんだ」
「あぁ、うちのマンションの裏に出るよ。駐輪場の出口が裏側だから、自転車使う人はよく使ってるみたい。俺はあんまり使わないけどね」
「よーし……」
彼の親友は、持っていた荷物を僕に預けて、下ろしていた髪を手首につけていたゴムで結いた。
「坂道ダッシュ!先に登った方が勝ちね。負けた方が全部荷物持つ!」
……どうしてこいつはいつも子供みたいなことをするのだろう……?小さく溜息をついて、僕がパートナーの方を見ると、彼が『ちょっと持ってて』と、僕に荷物を渡してきた。
「え? ちょっと二人とも?」
「上で待ってるから、君はゆっくり登ってきてね」
彼はニコニコしながらそう言って、地面にしゃがんだ。それを見て、アイツもしゃがむ。わざわざクラウチングスタートで走るらしい。
「位置について、よーい! ドン!」
二人でそう掛け声をかけて坂道を全力で駆けて行った。
アイツと一緒だと、彼が童心に返る。楽しそうで何よりだと思うけれど、悪く言えば、アイツのアホが感染る。
「もぉ〜……どっちが勝ってもいいけどさぁ……」
僕は溜息混じりにそう言って、二人に手渡された買い物袋を持ち直して、坂道を登り始める。
そして、小さくなっていく二人の背中に叫んだ。
「今、僕が荷物全部持ってるんだからねー!! 重いよー!!」
一拍置いて『ごめんねぇー‼︎』と、返ってきた。
勝負はどっちが勝ったのかは分からないけど、結局二人して戻ってきた。
もう、ホント子供みたいだなぁ、と苦笑いするけれど、これはこれで僕も楽しんでいるのだった。
三人で鍋の材料やら、お酒やらを買い込んできた帰り道。
ちょっと散歩も兼ねていつもと違うルートを歩いていると、大きな坂道に出た。
「こんなとこに坂あるんだ」
「あぁ、うちのマンションの裏に出るよ。駐輪場の出口が裏側だから、自転車使う人はよく使ってるみたい。俺はあんまり使わないけどね」
「よーし……」
彼の親友は、持っていた荷物を僕に預けて、下ろしていた髪を手首につけていたゴムで結いた。
「坂道ダッシュ!先に登った方が勝ちね。負けた方が全部荷物持つ!」
……どうしてこいつはいつも子供みたいなことをするのだろう……?小さく溜息をついて、僕がパートナーの方を見ると、彼が『ちょっと持ってて』と、僕に荷物を渡してきた。
「え? ちょっと二人とも?」
「上で待ってるから、君はゆっくり登ってきてね」
彼はニコニコしながらそう言って、地面にしゃがんだ。それを見て、アイツもしゃがむ。わざわざクラウチングスタートで走るらしい。
「位置について、よーい! ドン!」
二人でそう掛け声をかけて坂道を全力で駆けて行った。
アイツと一緒だと、彼が童心に返る。楽しそうで何よりだと思うけれど、悪く言えば、アイツのアホが感染る。
「もぉ〜……どっちが勝ってもいいけどさぁ……」
僕は溜息混じりにそう言って、二人に手渡された買い物袋を持ち直して、坂道を登り始める。
そして、小さくなっていく二人の背中に叫んだ。
「今、僕が荷物全部持ってるんだからねー!! 重いよー!!」
一拍置いて『ごめんねぇー‼︎』と、返ってきた。
勝負はどっちが勝ったのかは分からないけど、結局二人して戻ってきた。
もう、ホント子供みたいだなぁ、と苦笑いするけれど、これはこれで僕も楽しんでいるのだった。