夢と現と妄想と〜Rêve et réalité et illusion et〜
今日は、久しぶりに友達に会う。由貴人と、レイさん以外の人に会うのは久しぶりだ。
これから会う友達……綺子 は、子供の頃からの友達だから、もう20年くらいの付き合い。
お互い仕事や、彼女は結婚して家庭のこともあるから、それなりに忙しいので、会うのも年に数回。会うときは大抵、美味しいランチして、カラオケに行ったり、ショッピングしたり。
なので、今日も美味しいランチからスタート。
「ランチビールいただきまーす♡」
「どんどん飲んじゃってー♡」
ビールを喉に流し込む。ランチビールって上品なグラスじゃなくて、ジョッキにしてくれてもいいのにって、いつも思う。
最近はどうなの?
から始まる会話は、大抵、私の仕事か、彼女の旦那さんの話とか、私の恋話とか。
「で、彼氏さん……由貴人さんだっけ?元気なの?」
綺子にそう言われて気付いた。そう言えば、話してなかったか。綺子に言うの忘れてた。
「あ、ついこの間、別れた。あの野郎、記念日は忘れるわ、そのお詫びだって言って立てた予定もすっぽかした」
「えぇぇぇぇ……」
私が、吐き捨てるようにそう言ったら、綺子がドン引きしている。まぁ、そうよね。
「それで、別れちゃったの?」
「うん。私からサヨナラした。もう、頻繁に会ってたわけじゃなかったし、そんなに私に関心がないなら、解放してくれと思って」
そこまで言って、ビールを飲んだ。そのまま空のグラスを店員さんに渡して、おかわりを頼む。
「やだ。華音ってば、男前……」
「いや、まぁ……男前か……ははは」
綺子の言葉に思わず苦笑いしてしまったが、あっさり別れたという点は、男前なのかもしれない。
「じゃあ、暫くはお一人様を楽しむの?」
「まぁ………………そうかな」
「なんか、妙な間が有りましたけど……」
綺子は、とても察しが良くて、頭の回転も早いので、私が敢えて黙ってることに気付いたのだろう。
「さては、もう次の獲物がいるな」
「獲物とか言うな!私はそんな獰猛な生き物じゃない!」
「えっ……まさか、年下の小動物みたいな男の子とか?」
「私を猛禽類か何かと思ってる?それに、年下の小動物みたいな子なんてどこで出会ったらいいの」
とは、言ってみたものの、彼と出会ったのだって、色んな人が繋いだ先の結果だった。そのうち年下の小動物みたいな可愛い男の子にも繋がるかもしれない。それはそれで美味しいなぁ……。
「なーんか、怪しいなー。実はもう付き合ってるとか?」
綺子の探りは終わらない。これ、全部言うまで帰してもらえないやつかな?
「……付き合ってはない。たまに会うくらい」
「ふーん。それで? どんな人なの?」
「うーん……」
LuarのギターのREIさん。
と、言ってしまえば楽だけど、それでは色んな人に迷惑をかけるので……。
「私好みのすっごい綺麗な大人」
と、言っておいた。
「えぇぇぇ……華音好みとか、それこそ二次元レベルの王子様とかじゃないの?」
きっと彼女の中で、どこかの国の王子様みたいな人が描かれてると思う。
「ふふっ……まぁ、まだウチにある元彼の物、片付けてないんだわぁ。あっという間に年末になるし、ついでに家中を大掃除しようと思って……。別に目につく所に置いてるわけじゃないからね」
「いいと思うよー。仕事も結構入ってるんでしょ?」
「うん。再来週の真ん中が、今の所、予約入ってないからそこで休もうかなと思ってる」
そうこうしていたら、私のビールが運ばれてきた。とりあえず、今日はこの女子会を楽しもう。余計なことは考えなくていい。
ひとつ考えなきゃいけないのは、彼の正体がバレないように彼女の質問に答えることだけ……。そう思いながら、二杯目のビールを口にした。
***
「はぁ、楽しかったぁ」
家に帰り、荷物を置いてソファに座る。
結構遅くまで遊んじゃったな。綺子は、旦那さんの帰りは遅いから平気って言ってたけど、大丈夫かな。
一息ついたところで、スマホが震える。綺子、家に着いたかな?
そう思って、スマホの画面を見る。
「あれ?」
《久しぶりになっちゃったね。再来週なら少し時間ありそうなんだ。どうかな?》
レイさんからのメッセージだった。
《お久しぶりです。再来週でしたら、今の所、水曜木曜が予約が入っていないので、そこでしたら私も空いてます》
そう、メッセージを返した。……それまでに全部片付けよう。
でも、レイさんと、こうやって会い続けるのもどうなんだろな……。
「こっちも清算しなきゃ、ダメかな……」
そう、呟いた。
何度も、終わりにしよう、と思っていたのに、いざ決断を下すとなると怯む。
それは、きっと、心が彼にくっついているからなのだろう。
でも、あまりにもリスクが大きすぎるから、遅かれ早かれ、サヨナラはしなければならない。
「次……会ったら……言わなきゃね」
そう、自分に言い聞かせるように言った。
もうすぐ冬が来る。夏の火遊びはそろそろ消さなければ。
スマホをテーブルに置いた。明日も仕事だ。連休までしっかり働こう。そう思いながら、バスルームへ向かった。
これから会う友達……
お互い仕事や、彼女は結婚して家庭のこともあるから、それなりに忙しいので、会うのも年に数回。会うときは大抵、美味しいランチして、カラオケに行ったり、ショッピングしたり。
なので、今日も美味しいランチからスタート。
「ランチビールいただきまーす♡」
「どんどん飲んじゃってー♡」
ビールを喉に流し込む。ランチビールって上品なグラスじゃなくて、ジョッキにしてくれてもいいのにって、いつも思う。
最近はどうなの?
から始まる会話は、大抵、私の仕事か、彼女の旦那さんの話とか、私の恋話とか。
「で、彼氏さん……由貴人さんだっけ?元気なの?」
綺子にそう言われて気付いた。そう言えば、話してなかったか。綺子に言うの忘れてた。
「あ、ついこの間、別れた。あの野郎、記念日は忘れるわ、そのお詫びだって言って立てた予定もすっぽかした」
「えぇぇぇぇ……」
私が、吐き捨てるようにそう言ったら、綺子がドン引きしている。まぁ、そうよね。
「それで、別れちゃったの?」
「うん。私からサヨナラした。もう、頻繁に会ってたわけじゃなかったし、そんなに私に関心がないなら、解放してくれと思って」
そこまで言って、ビールを飲んだ。そのまま空のグラスを店員さんに渡して、おかわりを頼む。
「やだ。華音ってば、男前……」
「いや、まぁ……男前か……ははは」
綺子の言葉に思わず苦笑いしてしまったが、あっさり別れたという点は、男前なのかもしれない。
「じゃあ、暫くはお一人様を楽しむの?」
「まぁ………………そうかな」
「なんか、妙な間が有りましたけど……」
綺子は、とても察しが良くて、頭の回転も早いので、私が敢えて黙ってることに気付いたのだろう。
「さては、もう次の獲物がいるな」
「獲物とか言うな!私はそんな獰猛な生き物じゃない!」
「えっ……まさか、年下の小動物みたいな男の子とか?」
「私を猛禽類か何かと思ってる?それに、年下の小動物みたいな子なんてどこで出会ったらいいの」
とは、言ってみたものの、彼と出会ったのだって、色んな人が繋いだ先の結果だった。そのうち年下の小動物みたいな可愛い男の子にも繋がるかもしれない。それはそれで美味しいなぁ……。
「なーんか、怪しいなー。実はもう付き合ってるとか?」
綺子の探りは終わらない。これ、全部言うまで帰してもらえないやつかな?
「……付き合ってはない。たまに会うくらい」
「ふーん。それで? どんな人なの?」
「うーん……」
LuarのギターのREIさん。
と、言ってしまえば楽だけど、それでは色んな人に迷惑をかけるので……。
「私好みのすっごい綺麗な大人」
と、言っておいた。
「えぇぇぇ……華音好みとか、それこそ二次元レベルの王子様とかじゃないの?」
きっと彼女の中で、どこかの国の王子様みたいな人が描かれてると思う。
「ふふっ……まぁ、まだウチにある元彼の物、片付けてないんだわぁ。あっという間に年末になるし、ついでに家中を大掃除しようと思って……。別に目につく所に置いてるわけじゃないからね」
「いいと思うよー。仕事も結構入ってるんでしょ?」
「うん。再来週の真ん中が、今の所、予約入ってないからそこで休もうかなと思ってる」
そうこうしていたら、私のビールが運ばれてきた。とりあえず、今日はこの女子会を楽しもう。余計なことは考えなくていい。
ひとつ考えなきゃいけないのは、彼の正体がバレないように彼女の質問に答えることだけ……。そう思いながら、二杯目のビールを口にした。
***
「はぁ、楽しかったぁ」
家に帰り、荷物を置いてソファに座る。
結構遅くまで遊んじゃったな。綺子は、旦那さんの帰りは遅いから平気って言ってたけど、大丈夫かな。
一息ついたところで、スマホが震える。綺子、家に着いたかな?
そう思って、スマホの画面を見る。
「あれ?」
《久しぶりになっちゃったね。再来週なら少し時間ありそうなんだ。どうかな?》
レイさんからのメッセージだった。
《お久しぶりです。再来週でしたら、今の所、水曜木曜が予約が入っていないので、そこでしたら私も空いてます》
そう、メッセージを返した。……それまでに全部片付けよう。
でも、レイさんと、こうやって会い続けるのもどうなんだろな……。
「こっちも清算しなきゃ、ダメかな……」
そう、呟いた。
何度も、終わりにしよう、と思っていたのに、いざ決断を下すとなると怯む。
それは、きっと、心が彼にくっついているからなのだろう。
でも、あまりにもリスクが大きすぎるから、遅かれ早かれ、サヨナラはしなければならない。
「次……会ったら……言わなきゃね」
そう、自分に言い聞かせるように言った。
もうすぐ冬が来る。夏の火遊びはそろそろ消さなければ。
スマホをテーブルに置いた。明日も仕事だ。連休までしっかり働こう。そう思いながら、バスルームへ向かった。