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白秋
隼人くん、読書中にごめんね。
前に言ってたオススメの本、持ってきたから渡したくて。
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隼人あー、ありがとうございます。
おお、『エトワールの対話 ― 心を照らす七つの問い』……?
哲学書か。俺にわかるかな。 -
白秋
哲学は、自分の心の形を知るための先人たちの叡智だから。
理解しようとするよりも、感じることが大切なんじゃないかな。
あまり好みじゃなかった?
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隼人いや、ぱーくんのセンス、結構好きなんで。読んでみるっす。
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白秋
……ふふ。
隼人くんの本を読む時の表情、すごく落ち着いてる。
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隼人……別に普通じゃないっすか。
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白秋
雰囲気がすごく変わるなぁって、いつも思ってたんだ。もちろん、良い意味でね。
君は、静かにページめくるよね。すごく優しく本を扱っていて、本当に読書が好きなんだな、って感心するんだ。
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隼人……暇だったし、他に娯楽もなかったからな。
ずっと本ばかり読んでましたよ。
でも、あんまり他の連中には言わないで欲しい。 -
白秋
どうして?

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隼人何か言われたら、うるせぇっしょ?
特に、梨っちゃんあたり “隼人が本〜?!” って驚きそうだし。 -
白秋
ふふ、なるほど。
じゃあ、俺たちの秘密にしておこっか。
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梨也
おーい、隼人。今日の練習の――
……はッ!?
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隼人……チッ。
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梨也
隼人が……
本なんか読んどるやと?!?
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隼人言ったじゃんほら!こうなるって!!
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白秋
梨っちゃん、そんなに驚くことかな?

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梨也
ビビるに決まっとるやろが!!
しかも……紙のや!!活字のやで!??
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隼人うっせぇな!驚きすぎだろ!
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梨也
いやごめんて……
お前が本なんか読んどる姿、想像すらできへんかったんや……
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白秋
俺はもう見慣れたけどねぇ。

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隼人……チッ……!!」
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白秋
ところで、さっきまで何を読んでたの?

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隼人推理小説。短編集のやつ。
読みやすくて好きなんすよ。 -
白秋
へぇ。
だったら、俺の好きな一冊、貸してあげる。
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隼人いつもすんません。
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白秋
“本の世界を共有する”って、けっこう素敵なことだよね。
俺も、隼人くんと話題を共有できるのは楽しいし、嬉しいんだ。
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梨也
……ちょい待てや!
なんでお前ら急に文系男子みたいな空気出しとんねん!!
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隼人アンタは黙ってろ!!!
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白秋
梨っちゃんも読む?貸すよ?

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梨也
いやぁ……梨也、漫画くらいしか読んだことあらへんねん……

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隼人アンタに文学を嗜む知性があるとは思えないっすけどねぇ?
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梨也
黙らんかい、アホガキ!!
誰が単細胞の筋肉ゴリラや言うとるんじゃ、ワレ!!
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隼人言ってねぇわ!!
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白秋
ふふふ。

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