【ゼルダ無双/短編】
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「アオイ」
「ん?……えっ!?リンク!!??ど、どうしたの!?」
ハイラル軍の野営地。その救護用テントの1つに見慣れた顔を見つけて声を掛ける。他に人はいない。備品などの最終確認の為に残っていたのだろう。
普段訪れることがないからか、その人物……俺の幼馴染みのアオイは慌てた様子だった。
「け、怪我したとか…?痛い所は?えっと、頭が痛いとか気持ちが悪いとかの症状はある?」
「大丈夫だから。最近忙しくて会えなかっただろ?アオイに会いに来ただけ」
だから身体中ペタペタ触るのはやめてくれ。
アオイは看護婦だ。怪我などがないか触診しているだけなんだろうが、流石に好きな子に体を触られるのは恥ずかしいというか……。
「そっか。……んー、でも3日前に会ったよね?」
「俺は毎日アオイに会わないと元気出ないんだよ」
そう言ってからアオイを優しく抱きしめる。
柔らかい感触を堪能しつつ、肩に顔を埋めれば石鹸と薬品の香り。そこにほんの僅かに血の臭いが混ざっていた。
それはそうだ。仕事が落ち着いたらであろうタイミング……怪我をした兵士達の治療後だろうから。
「アオイ補充中……」
「もう、リンクったら。ちょっと擽ったいよー」
「勇者ってのは疲れるんだよ。もうちょっとだけ、ダメ?」
「まぁ、別に良いだけどさ。疲れてるなら無理しちゃダメだよ?他に代わりなんていないんだからさ」
「……勇者には?」
「リンクだよ。私にとってキミは勇者じゃなくてリンクなの。昔から真っ直ぐな私の幼馴染み。……たまに調子に乗っちゃうけどね!」
「うっ、それは……!ちゃんと反省してるから!」と言えば、「可愛いと思うけどね。リンクのそういうところ」と返される。
頬の温度が高くなっていく感覚。
アオイの性格から、揶揄って言ってるわけじゃないだろう。
可愛い。可愛い……か。男に言う言葉じゃないだろとは思いつつも、どんな風でも好意的に見られているなら悪くないと思ってしまう自分もいる。
「俺よりもアオイの方が、か、か……可愛い」
「例えばどんなところ?」
「え!?えー……、明るく笑顔なところ、とか?」
「へへっ、リンクもそう思ってくれているだね。ありがとう…!」
単純に褒められたことが嬉しいのか口元が緩みきっているアオイ。そんなところも可愛くて愛おしい。
……待て。今、リンク"も"って言ってなかったか?
「アオイ。それ、他にも誰かに言われたのか?」
「うん?手当てした兵士さんの中に何人かいたよー」
アオイの肩を掴み、真っ直ぐと見つめれば、不思議そうな表情で見つめ返してくるアオイ。
「た、例えばどういう人…?」
「え?……んー、そうだなぁ。上は結構なご年齢の方から下は私達と同じくらい、かな。上の人達は娘だったら良かったのに…って言ってた!」
「そ、そうか。……で、俺達と同じ歳くらいの奴らは?」
「えっと、好きです!って言われた!」
絶対、異性として見られてる!
俺よりも先にアオイに告白した奴がいると知り、まるで雷に打たれたようなショックを覚える。
両手で顔を塞ぎ、その場に蹲る。
そいつ、イケメンだったりしないよな?顔で俺に勝てる奴は早々いない……と思う。性格だって悪くない、よな?俺の劣っているとこ「私はリンクが1番好きですって言っておいたよ」が、悪いとかか?でも、えっ………………えっ、今、アオイ、な…………なん、……て。
「まっ、アオイ。も、もう1回」
「ダメだよ、リンク。人の話はちゃんと聞かなくちゃ」
バッと、顔を見上げれば笑顔のアオイの姿。
ただ、少し頬に赤みが差していた。
「リンク」
アオイに両手を差し出され、立つように促される。そのまま立ち上がるが、手はアオイの手に乗せるような形にしたままだ。
「キミの口から聞きたいだけど?」
「……今言わなきゃダメ?」
「リンク格好良かった……って言わさせてくれないんだ?」
そう言わせちゃってる時点で格好悪いだろ。
ヘタレな自分に嫌気が差すも、気持ちを整理したからアオイに向き直る。
「アオイ」
アオイの片手を掬うように持ち、自分に寄せる。
「貴女を誰よりも愛してます」
その手の甲に唇を落とす。
……やっぱり、恥ずかしいな。
「リンク」
アオイの方を見れば、頬を赤らめて嬉しそうに笑っていた。
「格好良かったよ。私も……愛してる」
嗚呼、やっぱりアオイの事好きだ。大好きだ。
改めてそう思った─。
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