【もしもこの感情に名前をつけるならば】
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05
テーブルに物を広げてポーチの中身を整理するリンク様にお茶を用意する。
話をする前に武器や素材の確認をしたかったらしい。
今までは賢者となった知り合いの手助けだけで十分だったが水の神殿にいた魔物は厄介なことに、ちょこまかと逃げられた為足止めに素材を使用したのだとか。
今後はアイテムも必要になってくるかもしれないと、リンク様はポーチ内を整理することにしたみたいだ。
「……あっ。リンク。良かったら、これ…………」
「ん? どうしたの?」
持ち物から数十個ほど溜まっていたヒダマリ草と星のかけらを取り出し、おずおずと、リンク様に差し出す。
まだ一人でフラフラしていた時に落ちていたのを拾っていたら、かなり溜まっていたらしい。
使い道がなく困っていたのだけれど、旅をしているリンク様には使える物かもしれない。
「……いいの? こんなに…………」
「私には必要のない物だから。リンクの旅の役に立つなら使ってほしい」
「ありがとう。助かるよ」
出来ることは少ないけど、こんな私に親切にしてくれるリンク様には可能な限り手助けをしてあげたいと思う。……とても恐れ多いかもしれないけれど。
「ゾーラの里に行ったらヘドロの被害で大変なことになってたんだ」
「ヘドロ……? ヘドロって水を汚すし、綺麗に浄化させるのも大変なんだよね? ゾーラは綺麗な水と共にある種族って聞いたけど……」
「シド王子……いや、今はもう王か。彼が水を浄化させて何とか保っていたんだ。数年前に共闘した時からの付き合いだけど、そんな力があるなんて知らなかったな」
「その王様? とはどんな関係なの?」
リンク様は目を瞑り、少し間を置いてから言葉を続ける。
「シドの姉のミファーの話からでいい?」と、口にされたリンク様に「勿論」とだけ返す。
「俺がまだ幼い頃が出会いの始まり。面倒見の良いミファーは俺にとって姉さんが出来たような気持ちだったよ。俺はそういう感情に鈍かったから彼女の想いを知ったのは100年後……数年前に神獣を解放した時だった。申し訳なかったよ。その想いには応えられないけど……気付いてあげられたなら彼女に出来たこともあったんじゃないかって」
「……後悔してるの?」
「これはミファーに限った話じゃないけど……後悔してる。俺がもっと強かったなら姫様が100年間厄災を封印し続けることも英傑の皆が死ぬこともなかったんじゃないかって」
リンク様は手を強く握る。
そこにはどんな想いが詰まっているんだろうか。私には計り知れない。
「リンクだって人間だよ。人には限界がある」
「それでも……っ。まだ、出来ることはあったはずなんだ…………」
彼の手を取ったなら、少しはその気持ちも和らげることが出来るのではないだろうか。
でも、その役目は私ではない。
私には苦しんでいるリンク様をただ、見つめることしか出来ないのだ。
「…………話を戻そうか。シドはミファーの弟でね。100年前はあまり接点がなかったんだ。数年前に協力して以来親しくさせてもらってる。熱いけど何処までも真っ直ぐな良い人って感じかな」
「好意的に見てるんだね」
「……そうだね。うん。友人って感じだ」
控えめに笑みを溢すリンク様。
リンク様の言葉から人との繋がりの温かさを知る。
いつか、私もそれを知ることが出来るんだろうか。