Between the Heat Haze
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
プロローグ
私はアオイ。至って普通の女子高校生…でありたかった。何故そう思うのかって?普通の人なら見えないものが見えてしまうから。
周りを見れば、腕を組んで歩くカップル。男の隣には女性が2人。片方は頬を染めながら嬉しそうにしている。もう片方はしがみつく形で憎しみを込めて男を睨みつけていた。
"ああいうもの"が見えてしまっても気付かない振りをするしかない。
私は見えるだけで祓ったりはできない。
"そういう体質"の人間は"あちら側の存在"を引き寄せやすい上、気付いていることに気付かれたら終わりだと思いなさい、と祖母からよく聞かされた。
「はぁ……。生きづらすぎでしょ」
ぼやいた独り言も空へと溶けて消えていった──。
厄災を倒し、ゼルダ様を救ったあの日から"声"が聞こえてこない。
100年の眠りから覚めた時、「おはようございまーす!リンク君!」と、まだ幼さを感じる女性の声が聞こえた。
ゼルダ様の美しい女性の声とは違う、親しみやすい声だと思った。彼女の声は俺にしか聞こえていないらしい。
旅の最中、その声はずっと俺に届いていた。
上手く登れず壁から落ちれば「わっ!?ごめん!!痛くなかった…?」全然大丈夫。これくらい擦り傷だよ。
色んな道具や方法で敵を倒してみせると「はわー、凄い。リンク……もう!めちゃくちゃ褒めてあげたい!!私の下手プレイで傷だらけにさせちゃってごめんね。君は凄いんだね」プレイ…っていうのはよくわからないけど、褒めてくれているんだよね?嬉しいよ。もっと頑張ったらその分褒めてくれるかな?
記憶を取り戻す為、ウツシエの場所での出来事や英傑たちとの記憶を取り戻せば「……本当にこれでいいのかな?知りたい気持ちもある。けど、リンクにとってこの記憶は本当に大事なのかな…?」正直、俺にもわからない。どちらかと言えば、記憶を取り戻す度に辛かった。けど、関わりのあった人たちの悲しむ顔を見て、俺は記憶を取り戻す決断をした。
大丈夫。この痛みは「良いんだよ。嫌なものは嫌って言っても。私は君のことを知りたくてこうしたけど、リンクは好きに生きた方が良いと思うよ」……ねぇ。俺の声、本当は届いてたりしないかな。
そして厄災を倒し、ゼルダ様を助けたあの日。
ハイラル城から背を向け、歩き出した時。「うぅっ、ふ、2人共お幸せにっ!」ちょっ、ちょっと待って!!その結婚でもするかのような言い方も気になるけど、もうお別れみたいな雰囲気出さないでよ!まだ、君の名前も知らないし、もっと知りたいことや知ってほしいこともあるのに──!
それを最後に彼女の声は途絶えた。
やるべきことを一通り終えたある日。俺はゼルダ様に相談することにした。
「──ということがありまして…」
「その女性を探したい。そういうことですね?リンク。……そうですね。今の私に貴方に与えられる褒美は休暇くらいしかありませんからね。私は暫くはカカリコ村に滞在していますから貴方が納得するまで存分に調べ尽くして下さい。中途半端な所で投げ出したりしたら許しませんからね!」
「ゼルダ様……。ありがとうございます」
ゼルダ様の懐の深さに感謝しつつ、俺は馬に跨り平原を駆け出した。
それが3日前のこと。
駆け出したはいいが、一体どこから?何を調べれば彼女に辿り着けるのか。
考えに考えた結果。現在地、知恵の泉…の山頂。だって、高い所から見た方が見つかることもあるって聞いたし、知恵の泉だったら、こう、知力的パワーが発揮されてヒントとか教えてくれたりするかもだし…?
「……他を探そう」
そう思った瞬間。ツルッと、滑る足元。浮く身体。パラセールもあるし焦ることもないと思っていた。落下地点を見るまでは。
ユラユラと揺れた大きな"穴"。
布のような穴は大きく広がると、自由落下している俺の身体を包み込んだ──。
2/3ページ