【Where there is love there is life.】
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まだ私達が幼かった頃の話─。
今日はトアル村が出来た日……らしい。朝から大人達はお祝いムード。村の子どもは私とイリアとリンクくらいなので、まだ日が高い時間からお酒を飲む大人達の空気にはついていけない。
今日という日は仕事を休むか普段よりも控えてしっかり休み、そして明日から気合いを入れ直して仕事に励もう……というらしい。
誰が考えたのかは知らないが休むことは良いことだと思う。
自宅の居間ではお酒を飲むボウさんと、それを飲み過ぎないように注意しているイリアの姿があった。
ボウさんはこのトアル村の村長で道端に置き去りにされていた私を拾い養子として迎え入れてくれた方。そしてその実子であるイリアとは姉妹の関係性。彼女は私を妹のように接してくるけど同い年だ。
声が出せない私はノートに『リンクのところに行ってきてもいい?』と、イリアに尋ねる。
イリアはそれに気付くと「行ってらっしゃい。リンクのところに行くだけだから大丈夫だと思うけど……気をつけるのよ」と、穏やかな声で返事を返してくれる。
用意しておいた料理などを手に取ってからリンクの家へと向かった。
庭や其々の自宅から今日という日を満喫している明るい声を聞きながら私はリンクの家へと向かう。
トアル村の入り口に寂しげに建っているリンクの家。
梯子を登った先にある家の扉をコンコンコンッと、ノックすれば不思議そうな顔をした少年リンクが姿を見せた。
「あれ? 村長とイリアとお祝いするんじゃなかったのか?」
『色々持ってきたから一緒にお祝いしよう』
私が腕に抱えた物を見てリンクは家の中に招き入れてくれる。私が部屋に入り扉を閉めたリンクは「それ俺に貸して」と、私から荷物を受け取るとテーブルまで運んでくれた。
『ありがとう』と、書いたノートを見せると満面の笑みを見せるリンク。
部屋の中をキョロキョロと見渡す。
リンクの家は相変わらず綺麗で落ち着く空間だった。ただ、ここに来るまでの道中とは違ってリンクの家は生活音くらいでとても静かだ。
それがとても悲しくなった。
『リンクは何をしてたの?』
「特に何も。うーん……暇だったから牧場の手伝いのために動物についての本を読んでたくらいだな」
『じゃあ、泊まっていっていい?』
「えっ……。いや、俺はいいっていうか嬉しい……じゃなくて! イリアが心配するんじゃないか?」
『大丈夫! 私小さい子じゃないから。イリアはちょっと心配性なだけだよ』
「ええ……。でも、急にどうして?」
『楽しいことは共有した方が良い。特に大事な人とは』
私の言葉に、リンクはじわじわと頬を染める。
頭を思いっきり振ってリンクはいつもの優しい笑顔を浮かべると「じゃあ、今日は思いっきり楽しもう」と、手を引いてくれる。
「ありがとう」そう言葉にしたリンクの瞳は何処か寂しげな色をしていた。
『料理。イリアと一緒に頑張って作ってみたんだけどどうかな?』
「……うん! 美味い! こんな美味いなら毎日食べた……あっ、いや! えっーと……美味しかったよ!」
リンクと料理を食べた。
イリアに手伝ってもらったとはいえ自信がなかった料理をリンクはペロリと平らげてしまった。
お腹空いていたのかも……と、思ったが、以前イリアに男の子はよく食べると聞いた。
リンクもそうなのかもしれない。
『動物って臆病な子が多いんだね』
「人と違って敏感なんだ。特に小動物とかは警戒心が強い。どんな子にも驚かせないように接するのが大事なんだよな」
食後はリンクと本を読んだ。
中には難しい内容の本もあり、リンクの賢さを知れた。
本の内容もだが何よりもリンクのことをもっと知れた気がして嬉しかった。
「……あー。やっぱりそうなるよなぁ……」
『ごめん。狭かった?』
「いや! 気にしないでくれ」
「落ち着いてくれ。心臓」と、胸を押さえながら小さく呟くリンク。
同じベッドでリンクの隣で横になる。
少し触れた肩越しに伝わる温もり。リンクの体温が心地良くて段々と瞼が重くなっていく。
優しい微睡みの中へ沈んでいく中、落ち着いた声が私の中に響き溶けていった。
「おやすみ。良い夢を……」
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