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私は空を見上げていた。
何の変哲もないいつも通りの星空。厄災復活の予言がされて、ミファー・ダルケル・リーバル・ウルボザが神獣の繰り手となった。そして、厄災封印の要であるゼルダとリンクは仲が悪い。──いや、ゼルダが一方的にリンクを嫌がっているだけでリンクはゼルダを守る役目を真っ当しているだけだ。
共通の知り合いということで私が二人の間に入っているが……双方のストレスが心配だった。
ゼルダの方は力が目醒める気配がない心配はあるものの、リンクの件に関しては、リンクの人柄を伝えて悪気がないことを説明したり、フルーツケーキを用意したり、休みの日は自由に出掛けたりもしている。修行のことにも口を挟んでいるので、本来よりは負担が軽くなっているはずだ。
問題はリンクの方だ。
彼は健啖家だから美味しいものを振る舞う……だけでは足りないだろう。それにリンクに向けられた好奇の目。リンクには「嫌なことは見なくていいし、聞かなくていい」とは言ってあるものの、真面目なリンクのことだ。嫌なことも受け入れてしまっている姿が容易に想像がつく。
それに、それが出来ていたら感情を表に出しづらくなるなんてこともなかったはずだ。
私はフワリと体を浮かす。
夜の静けさに包まれた城内を探索してリンクの姿を探した。
しかし、城の中にリンクの姿は見当たらなかった。城の外側の方にでもいるのだろうかと外に出ると、その姿はすぐに見つかった。
城壁で空を見上げているリンク。サラサラと風に揺れる髪、その奥にある長い睫毛の隙間から覗く碧眼は憂いを帯びていた。
リンクの感情なんて読めない。けど、わかりやすい子だ。
「……やあ、そこの少年。星の瞬く良い夜だね。私とデートしないかい?」
ストンと、ゆったりとした所作でリンクの前に着地する。
リンクは私の存在に気付いていたようで驚く様子はない。
「珍しいね。アオイがそんなこと言うなんて。……あと、俺はもう少年なんて年齢じゃないよ」
「ごめん、ごめん。子ども扱いして悪かったね。……たまにはこういうのも悪くないかと思ってさ」
リンクの頭をポンポンと撫でれば、リンクは無表情のままご機嫌斜めな様子だった。
「リンクはデートする時間無かった?」
と、聞きながら手を差し出せば、
「少しだけなら……」
そう返事をしながら私の手を握り返すリンク。
リンクの手をしっかり握りながら空中に浮く。
「では、空中散歩としますか」
「……これ、落ちたりしないよね?」
「私から離れたら落ちるから手離さないでね」
私の言葉に、握る手の力が増す。リンクの方を見れば、少し赤くなった頬。
「ごめん。寒かった?」
「ううん。そうじゃなくて……今は暑い」
今日はいつもより気温低いくらいなんだけどな……。目立たないように周りから見えなくなる視界遮断の魔法を使う。
「リンクは空好き?」
「……好きか嫌いかで言ったら好きかな。アオイは?」
「私も好きだよ。だって空は国も時代も世界も超えて繋がっているからね」
「別世界は流石に繋がってないんじゃないかな?」
「……繋がっているさ。私はそう信じてる」
納得のいってなさそうなリンクに
「だって、そうだったら良いなって思わない?」
と、聞けば
「……思う」
リンクは何か思案しながら言葉を漏らす。
私の横を穏やかな風が吹き抜けた。
「またしようね。デート」
「アオイ。今度は普通のにしてね」