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23:16。
カルデア内は消灯時間。
私のベッドを煌々と照らすライトがやけに眩しくて目が醒める。 -
ごめん、ホントは嘘。
そう。
お腹が空いた。
お腹が空いて起きたのだ、私は! -
りつか
ねえ、マシュ
起きてる? -
マシュ
はい、先輩。
何かありましたか? -
マシュ
睡眠は最も大切な休息です。
眠れないのでしたらホットミルクをお持ちしますが… -
りつか
ううん、大丈夫
ありがとう -
りつか
あのね、そうじゃなくて
…お腹、空いてない? -
マシュ
お腹…ですか?
空いたような空いていないような…?? -
りつか
マシュ!!
お腹すいた!
ラーメン食べたい! -
マシュ
ラーメンですか?
この時間のラーメンは色々とまずいです健康被害もさる事ながら…
あの… -
マシュ
エミヤさんに見つかったらどうなるか…
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りつか
大丈夫!
見つからない!大丈夫!食べたい!ラーメン!食堂!集合! -
マシュ
えええ先輩!
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マシュ
一人で行かないでください、お伴します…!
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数分後
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食堂前でマシュと落ち合う。
カルデア内は静まり返っていた。 -
りつか
だいぶ暗いよ、気をつけてねマシュ
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マシュ
はい、先輩。
暗所での活動は慣れています。
問題ありません。 -
りつか
よし、では…!
これよりSランクミッション
「夜食ラーメンを作成せよ」を遂行する! -
マシュ
了解です、マスター!
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素早く戸を開けて、綺麗に整頓されたそこから鍋を取り出す。
水を注いで、火にかける。 -
その間にマシュはインスタント麺を取り出しパッケージを開封していた。
我ながら良い連携。
いくつもの特異点を乗り越えてきた経験は伊達じゃないのだ…! -
りつか
よし、お湯沸いたよ!
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マシュ
はい、先輩!
注いでください! -
発泡スチロールの中、乾麺の上にあつあつの熱湯が注がれる。
なんとも食欲をそそる強い香りが食堂を包む。 -
マシュと顔を見合わせ、にや、と笑い合う。
真夜中のラーメン。
なんて背徳的で魅力的な響き。 -
マシュ
…部屋に帰るまでが、作戦。
ですよね、先輩? -
りつか
うん!
見つからないように、そーーっと帰るよ、マシュ! -
マシュ
了解しました、マスター!
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いたずらが成功した時のような。
どこかワクワクした笑みを浮かべて、マシュは笑った。
そんなマシュを。
そんな風に笑えるようになったマシュの姿を、嬉しく思う。 -
食堂から出る、その時。
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…目の前に立ちはだかる、赤い外套。
アーチャー・エミヤこと、オカンがそこに仁王立ちをしていた。 -
エミヤ
…こんな夜更けに何をしているのだね、マスター。マシュ。
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りつか
しまった…!オカン!
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マシュ
すみません先輩…!
接近に気づけませんでした。
完全に油断していました…! -
エミヤ
夜食とは感心しないな。
あとオカンではないぞ。 -
りつか
禁を犯してまで夜食を食べたい時だってあるのだ…!
私は!この決意を!折ることはできない! -
りつか
引いてほしい、ママミヤ!
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マシュ
私からもお願いします…!
そこをどいてください、オカンもといママミヤさん…!! -
エミヤ
構わんが…
太っても良いのかね?
マスター。
あとママミヤではないよ。 -
りつか
…う
うわああああなんて残酷なことを言うんだ! -
マシュ
ま、負けてはいけませんマスター…!
どうか、心を強く持って…!! -
りつか
ま、マシュ…!!
よし、正面突破だ…!! -
りつか
ごめん母ミヤ…!
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そう呟くと私たちは走り出す。
…振り切れただろうか。 -
マシュ
ミッション成功ですね!先輩!
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りつか
うん!マシュ!
さあ帰ってラーメン食べるぞー!! -
食堂にはひとり、呆けて立ち尽くす赤色がいたと言う。
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エミヤ
…まあ、いいか。
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エミヤ
しかし母ミヤでもないのだが…
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