この瞬間がすき
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台所に立ち、黙々と食器を洗う彼女。
ボクは気配を消すことなく背後に立ち、その可愛らしい高さの頭へ、無遠慮にも顎を乗せた。
「浦原さん、重いです。」
「いやぁ。だって丁度いい高さなんっスもん」
傍から見ればさながらトーテムポールだろうか。
名無しが忙しくしているのは百も承知だが――ちょっとだけ。
ほんの少しだけ、構って欲しくなったのだ。
ふわふわの柔らかい黒髪からは清潔感のあるシャンプーの匂いがほのかに香る。
たまらなくなって少し顔を埋めてスン、と嗅げば「何やってるんですか、もう」と呆れたような声が聞こえてきた。
「暇してるんですか?」
鬱陶しいであろうボクのちょっかいに、怒るわけでもなく呆れることもなく、小さく首を傾げながら名無しが問うてくる。
少し屈めていた腰を伸ばし柔らかい髪からそっと離れれば、無遠慮にこちらを見上げてくる彼女の視線とボクの視線が不意に絡む。
くるりとした黒い瞳。
愛嬌のある目元なのに、視線はボクを見据えて一分もブレることはない。
屈折を微塵も知らない、真摯なまでに真っ直ぐな双眸がボクは大好きだ。
「たまにはお皿洗い、手伝いましょっか?」
「流石察しがいいですねぇ。へへ、ありがとうございます」
ふっと緩む目元。
蕩けるように柔らかくなる表情、瞳。
――あぁ。今日もボクは、キミに釘付け。
この瞬間がすき#視線
ずしりと頭にのしかかっていた浦原は、二つ返事で皿洗いを手伝ってくれた。
…そういえば、このように彼と二人で台所に立つのはかなり珍しいかもしれない。
スポンジで食器を擦る手を止めず、伺い見るように隣に立つ浦原をチラリと見上げた。
少し生えた無精髭。
無駄な肉のない、スッキリとした輪郭。
無遠慮に見上げるような角度だからだろう、スっと筋の通った鼻がいかに高いかよく分かる。
やや下がり気味の目元も、時々無性に羨ましくなる長い睫毛も。
(改めて思うけど、顔もいいなぁ)
私の視線に気づいたのか、食器についた泡を丁寧に濯いでいた浦原と目が合う。
その瞬間、少しだけ楽しそうに柔らかく目元を緩ませて。
「どしたんっスか?」
浦原が腰を少し屈めれば、私の視線は少し下がる。
背丈がお世辞にも高くない私は、これが少し気恥ずかしくて照れくさくて、ちょっとだけ嬉しかった。
「今日もカッコイイな、と思っただけですよ。」
浦原の視線から逃げるように再び食器へ視線を落とせば、隣から「あー」とか「うー」とか声を上げている。
誰が・とは、言わずもがな。
「……ズルいっスよ、名無しサン。手が濡れてなければもみくちゃに抱きしめられるのに。」
「なら早く食器洗い片付けて、ゆっくりお茶でも飲みましょう?」
心底恨めしそうな声を上げる浦原が何だか可愛らしくて、ついつい声が弾んでしまう。
いつもこちらが翻弄されているのだから……まぁ、たまにはいいだろう。
あぁ、お茶にはちょっとした茶菓子も添えようか。
卓袱台を囲むように隣に座って、もう少しだけ近くなったあなたを眺めながら、茶菓子に舌鼓を打つのも悪くない。
ボクは気配を消すことなく背後に立ち、その可愛らしい高さの頭へ、無遠慮にも顎を乗せた。
「浦原さん、重いです。」
「いやぁ。だって丁度いい高さなんっスもん」
傍から見ればさながらトーテムポールだろうか。
名無しが忙しくしているのは百も承知だが――ちょっとだけ。
ほんの少しだけ、構って欲しくなったのだ。
ふわふわの柔らかい黒髪からは清潔感のあるシャンプーの匂いがほのかに香る。
たまらなくなって少し顔を埋めてスン、と嗅げば「何やってるんですか、もう」と呆れたような声が聞こえてきた。
「暇してるんですか?」
鬱陶しいであろうボクのちょっかいに、怒るわけでもなく呆れることもなく、小さく首を傾げながら名無しが問うてくる。
少し屈めていた腰を伸ばし柔らかい髪からそっと離れれば、無遠慮にこちらを見上げてくる彼女の視線とボクの視線が不意に絡む。
くるりとした黒い瞳。
愛嬌のある目元なのに、視線はボクを見据えて一分もブレることはない。
屈折を微塵も知らない、真摯なまでに真っ直ぐな双眸がボクは大好きだ。
「たまにはお皿洗い、手伝いましょっか?」
「流石察しがいいですねぇ。へへ、ありがとうございます」
ふっと緩む目元。
蕩けるように柔らかくなる表情、瞳。
――あぁ。今日もボクは、キミに釘付け。
この瞬間がすき#視線
ずしりと頭にのしかかっていた浦原は、二つ返事で皿洗いを手伝ってくれた。
…そういえば、このように彼と二人で台所に立つのはかなり珍しいかもしれない。
スポンジで食器を擦る手を止めず、伺い見るように隣に立つ浦原をチラリと見上げた。
少し生えた無精髭。
無駄な肉のない、スッキリとした輪郭。
無遠慮に見上げるような角度だからだろう、スっと筋の通った鼻がいかに高いかよく分かる。
やや下がり気味の目元も、時々無性に羨ましくなる長い睫毛も。
(改めて思うけど、顔もいいなぁ)
私の視線に気づいたのか、食器についた泡を丁寧に濯いでいた浦原と目が合う。
その瞬間、少しだけ楽しそうに柔らかく目元を緩ませて。
「どしたんっスか?」
浦原が腰を少し屈めれば、私の視線は少し下がる。
背丈がお世辞にも高くない私は、これが少し気恥ずかしくて照れくさくて、ちょっとだけ嬉しかった。
「今日もカッコイイな、と思っただけですよ。」
浦原の視線から逃げるように再び食器へ視線を落とせば、隣から「あー」とか「うー」とか声を上げている。
誰が・とは、言わずもがな。
「……ズルいっスよ、名無しサン。手が濡れてなければもみくちゃに抱きしめられるのに。」
「なら早く食器洗い片付けて、ゆっくりお茶でも飲みましょう?」
心底恨めしそうな声を上げる浦原が何だか可愛らしくて、ついつい声が弾んでしまう。
いつもこちらが翻弄されているのだから……まぁ、たまにはいいだろう。
あぁ、お茶にはちょっとした茶菓子も添えようか。
卓袱台を囲むように隣に座って、もう少しだけ近くなったあなたを眺めながら、茶菓子に舌鼓を打つのも悪くない。
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