君色カトラリー
うちの本丸では遠征が実は人気任務だ。
なぜって。
そりゃあ…
狐色ランチボックス
明日の遠征のメンバーは、俺と安定、薬研と乱、あとは次郎太刀と小狐丸の六振。
隊長は、
「やっと俺の番ってね」
遠征の隊長はローテーションだ。
誰でも満遍なく経験を積ませる、という先代の主からの意向で、今もそれは先代の孫娘である今の主にも引き継がれている。
隊長を任されるのは名誉なことだ。
確かに誇らしくもある。が、それだけが理由ではない。
「おや、加州殿が今回の隊長ですか」
「そ。主に何をリクエストしようかな〜」
そう、隊長になった刀のリクエストのおかずが遠征用の弁当に詰められるのだ。
俺の少し後ろで、遠征メンバーを貼り出した紙を覗き込んでいた小狐丸が声をかけてきた。
「そろそろ私の番かと思いましたが…順番が待ち遠しいですな」
「小狐丸は次、なにリクエストするの」
「五目飯の入った稲荷寿司でございます。鳴狐殿が以前頼まれておりまして。ぬしさまの作られた稲荷は最高に美味でしたな…」
狐組は本当に油揚げが好きなんだな、と納得したような、予想通りというか。
というか、主が作るご飯は全て美味い。
ここの本丸の連中はほぼ全員が胃袋掴まれている。食事ってホントすごい。
顕現しなかったらこんな体験絶対できない。肉体を持つって面倒だ…って言うヤツもいるけどさ、俺にとってはいい事づくめだ。
「さぁて、何頼もうかな」
浮き足立つ気持ちをおさえつつ、主が執務をしているであろう部屋へ足を向けた。
***
「はぁー、ボクお腹すいちゃったよぉ」
遠征当日。
安土城の警備に向かった遠征部隊。
日も高くなってきた頃、乱がくたびれたように声を上げた。
「よし、じゃあお昼にしよっか」
「さすが加州!」
嬉しそうに声を上げる乱。確かに昼時の頃合だろう。
「清光、お昼何頼んだの?」
「筑前煮」
そう、煮物を食べたい口だったのだ。
お洒落なメニューも考えたんだけど、やっぱり食べたいもの頼まなきゃね。
主の煮物は最高に美味しい。
沖田くんも新撰組にいた頃、煮物は柔らかく食べやすかったからか、他の献立より好んで食べていた気がする。
「あと、五目稲荷寿司」
弁当を開けた小狐丸が満面の笑みでこちらを見てくる。
あまりにも嬉しそうな顔をしてるから、少しだけ照れくさくて片手を軽くあげて返事をした。
「さて、お昼にしよっか」
(俺達の主の弁当は、世界一!)
「いやぁ、煮物食べてたら酒飲みたくなっちゃうねぇ」
「何言ってんだ、次郎の旦那は何食べたって酒を飲みたくなるんだろ?」
「主のご飯ならなんでもねぇ。この間、大倶利伽羅が頼んでた唐揚げ、今度の晩酌のメニューで頼もっかなぁ」
「唐揚げかぁ。僕は揚げ物だったら蓮根とひき肉のはさみ揚げがお気に入りだな。あれ美味しかったね、清光」
「衣がサクサクで美味しかったよね。その時に物吉が『家康公も天ぷら好きだったんですよ』って言ってたな」
「唐揚げは初めて頂きた時は衝撃的でしたな…鶏肉を揚げるなんて、いやはや」
「意外と三条の人達、揚げ物好きだよねぇ。そうだ!今度ボク、主とドーナツ作る約束してるから、その時はちゃーんとお裾分けするから待っててね!」
「おや、良いでなぁ。三日月殿達と楽しみにしております」
なぜって。
そりゃあ…
狐色ランチボックス
明日の遠征のメンバーは、俺と安定、薬研と乱、あとは次郎太刀と小狐丸の六振。
隊長は、
「やっと俺の番ってね」
遠征の隊長はローテーションだ。
誰でも満遍なく経験を積ませる、という先代の主からの意向で、今もそれは先代の孫娘である今の主にも引き継がれている。
隊長を任されるのは名誉なことだ。
確かに誇らしくもある。が、それだけが理由ではない。
「おや、加州殿が今回の隊長ですか」
「そ。主に何をリクエストしようかな〜」
そう、隊長になった刀のリクエストのおかずが遠征用の弁当に詰められるのだ。
俺の少し後ろで、遠征メンバーを貼り出した紙を覗き込んでいた小狐丸が声をかけてきた。
「そろそろ私の番かと思いましたが…順番が待ち遠しいですな」
「小狐丸は次、なにリクエストするの」
「五目飯の入った稲荷寿司でございます。鳴狐殿が以前頼まれておりまして。ぬしさまの作られた稲荷は最高に美味でしたな…」
狐組は本当に油揚げが好きなんだな、と納得したような、予想通りというか。
というか、主が作るご飯は全て美味い。
ここの本丸の連中はほぼ全員が胃袋掴まれている。食事ってホントすごい。
顕現しなかったらこんな体験絶対できない。肉体を持つって面倒だ…って言うヤツもいるけどさ、俺にとってはいい事づくめだ。
「さぁて、何頼もうかな」
浮き足立つ気持ちをおさえつつ、主が執務をしているであろう部屋へ足を向けた。
***
「はぁー、ボクお腹すいちゃったよぉ」
遠征当日。
安土城の警備に向かった遠征部隊。
日も高くなってきた頃、乱がくたびれたように声を上げた。
「よし、じゃあお昼にしよっか」
「さすが加州!」
嬉しそうに声を上げる乱。確かに昼時の頃合だろう。
「清光、お昼何頼んだの?」
「筑前煮」
そう、煮物を食べたい口だったのだ。
お洒落なメニューも考えたんだけど、やっぱり食べたいもの頼まなきゃね。
主の煮物は最高に美味しい。
沖田くんも新撰組にいた頃、煮物は柔らかく食べやすかったからか、他の献立より好んで食べていた気がする。
「あと、五目稲荷寿司」
弁当を開けた小狐丸が満面の笑みでこちらを見てくる。
あまりにも嬉しそうな顔をしてるから、少しだけ照れくさくて片手を軽くあげて返事をした。
「さて、お昼にしよっか」
(俺達の主の弁当は、世界一!)
「いやぁ、煮物食べてたら酒飲みたくなっちゃうねぇ」
「何言ってんだ、次郎の旦那は何食べたって酒を飲みたくなるんだろ?」
「主のご飯ならなんでもねぇ。この間、大倶利伽羅が頼んでた唐揚げ、今度の晩酌のメニューで頼もっかなぁ」
「唐揚げかぁ。僕は揚げ物だったら蓮根とひき肉のはさみ揚げがお気に入りだな。あれ美味しかったね、清光」
「衣がサクサクで美味しかったよね。その時に物吉が『家康公も天ぷら好きだったんですよ』って言ってたな」
「唐揚げは初めて頂きた時は衝撃的でしたな…鶏肉を揚げるなんて、いやはや」
「意外と三条の人達、揚げ物好きだよねぇ。そうだ!今度ボク、主とドーナツ作る約束してるから、その時はちゃーんとお裾分けするから待っててね!」
「おや、良いでなぁ。三日月殿達と楽しみにしております」