anemone days
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はらり、はらり。
終末の時は、近い。
anemone days#43
浦原がモニターを設置し、スイッチを入れる。
画面には尸魂界の郊外が映し出された。
生き残っている隊長達と、一護と、知らない隊長羽織を羽織った死神が五名。
『どぉーもォ!イヤー良かったよかった、ナイスタイミング!皆サンお揃いのようっスねェ!!』
いつもより少しばかりテンションの高い浦原。
少し遠巻きに眺める名無し。
右足が、僅かに震えていた。正確には右足から伸びる影が。
(…?、一ツ目?)
「イヤー、ようやく繋がりましたよォ。心配したでしょう?ご覧の通り、こちらは無事なのでご心配なく!」
心配なんかするか、という顔のマユリがモニターに映っている。
浦原を心底嫌そうに見る姿は久しぶりに見た気がする。懐かしい。
「あれ?浦原さん何してるんですか?」
織姫が天蓋から覗き、顔を出す。
名無しが黙って指を指した先には一護が映っていた。
「あ!黒崎くんだ、わーい!よかった、ケガしてるけど元気そう!茶渡くん、黒崎くんだよ!」
織姫が茶渡を呼べば、一護も安心した表情を見せた。
友人同士、顔を合わせばいつも通りの表情になる三人。その瞬間だけはいつもの日常を切り取ったような光景で、名無しの表情も僅かに綻んだ。
「あァ?何やってんだ、お前ら」
テントから顔を出したのはグリムジョー。
…これは、マズいのでは。
「この声、黒崎か!黒崎、テメェそこに居やがるんだな!?」
「わーー!いません!いませんから!」
慌ててモニターを体で隠す浦原。
茶渡と織姫がよく分からないテープでテントの入口を塞ぎ、グリムジョーを強引に外へ追い出した。
少しだけ彼に同情する。
彼を追い出した後、虚圏への助けは不要だと浦原が一護に告げる。
好きなように動きなさい。自分が本当にどう動きたいか、と。
『ところで、後ろにおるのは名無しか』
黙って話を聞いていた、住職のような男が口を開く。
どうして名前を、と思ったが、まぁ個人情報は恐らくダダ漏れなのだろう。気にしだしたら負けだ。
「あなたは?」
『兵主部一兵衛と申す。まなこ和尚と呼ばれておる。好きに呼ぶといい』
「はぁ…。私に何か御用ですか?」
『お主も霊王宮へ来い。いや、来るべきと言った方が良いのぅ』
たっぷりとした髭を撫でながら、和尚は告げる。
彼の言葉に、浦原の顔が僅かに強ばる。
名無しはモニターから視線を外さず、そっと右足の影を撫でた。
――震えている。
恐らく、この死神達が、
「いえ、御遠慮しておきます」
『なぜじゃ?おぬし、このままだと』
「ご心配なく。
…本当は私の心配なんて、されていないのでしょう?万が一の時のための『スペア』ですか?」
にこっ、とそれはそれは綺麗な笑顔で名無しは答えた。
面食らったような顔をして、和尚が僅かに目を見開く。
『豪胆な娘じゃな』
「それはどうも。こちらには手出し無用です。お気遣いなく。
…それにこれは私の意思でもありますが、『彼』の意思でもあることを、お忘れなきよう」
そう言って名無しはモニターの電源を落とした。
「あらら。名無しサン、いいんっスか?零番隊に喧嘩売って」
「一ツ目が酷く嫌がっていたので。それに、浦原さんも『マズい』って顔をしてましたよ」
「あちゃー、顔に出てました?」
「凄く。」
右足の影を撫でれば、震えは止まっていた。
彼にとって、王族特務である零番隊は恐らく恐怖の対象なのだろう。仕打ちを考えれば当然だった。
「どうせ、どこに行ってもこの体調は治らないんでしょう?治る見込みがあるなら、浦原さんが最初から提案しているでしょうし」
「流石、よく分かっていらっしゃる」
終末の時は、近い。
anemone days#43
浦原がモニターを設置し、スイッチを入れる。
画面には尸魂界の郊外が映し出された。
生き残っている隊長達と、一護と、知らない隊長羽織を羽織った死神が五名。
『どぉーもォ!イヤー良かったよかった、ナイスタイミング!皆サンお揃いのようっスねェ!!』
いつもより少しばかりテンションの高い浦原。
少し遠巻きに眺める名無し。
右足が、僅かに震えていた。正確には右足から伸びる影が。
(…?、一ツ目?)
「イヤー、ようやく繋がりましたよォ。心配したでしょう?ご覧の通り、こちらは無事なのでご心配なく!」
心配なんかするか、という顔のマユリがモニターに映っている。
浦原を心底嫌そうに見る姿は久しぶりに見た気がする。懐かしい。
「あれ?浦原さん何してるんですか?」
織姫が天蓋から覗き、顔を出す。
名無しが黙って指を指した先には一護が映っていた。
「あ!黒崎くんだ、わーい!よかった、ケガしてるけど元気そう!茶渡くん、黒崎くんだよ!」
織姫が茶渡を呼べば、一護も安心した表情を見せた。
友人同士、顔を合わせばいつも通りの表情になる三人。その瞬間だけはいつもの日常を切り取ったような光景で、名無しの表情も僅かに綻んだ。
「あァ?何やってんだ、お前ら」
テントから顔を出したのはグリムジョー。
…これは、マズいのでは。
「この声、黒崎か!黒崎、テメェそこに居やがるんだな!?」
「わーー!いません!いませんから!」
慌ててモニターを体で隠す浦原。
茶渡と織姫がよく分からないテープでテントの入口を塞ぎ、グリムジョーを強引に外へ追い出した。
少しだけ彼に同情する。
彼を追い出した後、虚圏への助けは不要だと浦原が一護に告げる。
好きなように動きなさい。自分が本当にどう動きたいか、と。
『ところで、後ろにおるのは名無しか』
黙って話を聞いていた、住職のような男が口を開く。
どうして名前を、と思ったが、まぁ個人情報は恐らくダダ漏れなのだろう。気にしだしたら負けだ。
「あなたは?」
『兵主部一兵衛と申す。まなこ和尚と呼ばれておる。好きに呼ぶといい』
「はぁ…。私に何か御用ですか?」
『お主も霊王宮へ来い。いや、来るべきと言った方が良いのぅ』
たっぷりとした髭を撫でながら、和尚は告げる。
彼の言葉に、浦原の顔が僅かに強ばる。
名無しはモニターから視線を外さず、そっと右足の影を撫でた。
――震えている。
恐らく、この死神達が、
「いえ、御遠慮しておきます」
『なぜじゃ?おぬし、このままだと』
「ご心配なく。
…本当は私の心配なんて、されていないのでしょう?万が一の時のための『スペア』ですか?」
にこっ、とそれはそれは綺麗な笑顔で名無しは答えた。
面食らったような顔をして、和尚が僅かに目を見開く。
『豪胆な娘じゃな』
「それはどうも。こちらには手出し無用です。お気遣いなく。
…それにこれは私の意思でもありますが、『彼』の意思でもあることを、お忘れなきよう」
そう言って名無しはモニターの電源を落とした。
「あらら。名無しサン、いいんっスか?零番隊に喧嘩売って」
「一ツ目が酷く嫌がっていたので。それに、浦原さんも『マズい』って顔をしてましたよ」
「あちゃー、顔に出てました?」
「凄く。」
右足の影を撫でれば、震えは止まっていた。
彼にとって、王族特務である零番隊は恐らく恐怖の対象なのだろう。仕打ちを考えれば当然だった。
「どうせ、どこに行ってもこの体調は治らないんでしょう?治る見込みがあるなら、浦原さんが最初から提案しているでしょうし」
「流石、よく分かっていらっしゃる」