anemone days
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虚圏にいる滅却師を、一人残らず片付けた後。
「女、次はお前だ。以前の借りを」
「後にして」
グリムジョーの言葉を、手を上げて遮る名無し。
青筋を浮かべている彼の横を通り過ぎ、ペッシェ達が匿っている浦原達のところへ向かった。
「名無し、ちゃん…」
「織姫ちゃん。これ飲んで。」
ポケットから取り出した小さな小瓶。
いつも念の為、十二番隊から貰っていた治療薬だ。
普段使うことが殆どなかったが、備えていて本当に良かったと心から思った。
anemone days#41
「なんだ、ボロボロじゃねーか。黒崎一護はいねーのか」
「…一護は尸魂界へ向かったよ。ここにはいない」
なんとか傷が塞がった織姫が茶渡と浦原の治療にあたる。
怪我を治したあとすぐに、というのは酷なような気もするが、彼女しか今は頼みの綱がない。
浦原の返り血で赤くなった両手を見つめる名無し。
すっかり乾き赤黒くなった血は、そっと押さえれば乾いた音を立てて、少しずつ剥がれた。
「…なんだ。お前、人間らしい顔も出来るじゃねーか」
「?、…何か言った?」
「何でもねーよ」
ポケットに手を入れたまま、岩壁に背中を預けるグリムジョー。
ペッシェ達は気絶してるネルを心配そうに様子を見ている。
今なら出来るか。
重い腰を上げ、立ち上がる名無し。足取りは、少し覚束無い。
「どこに行く」
「黒腔を開く。もし黒崎くんが中で足止めされているなら、助けなきゃ」
「無駄だ。黒腔はどんだけ広いと思ってんだ」
「やってみなくちゃ、分からないよ」
穿界門を開いていた岩の上へ登る名無し。
両手を岩の上へ置き、一呼吸の後、詠唱する。
「『我が右手に界境を繋ぐ石、我が左手に実存を縛る刃。黒髪の羊飼い、縛り首の椅子、叢雲来たりて、我・鴇を打つ』」
バチッと弾ける音。
大きく口を開いた空間は、常闇だ。
辺りを覗き込んで霊圧を探るが、一護の気配は皆無だった。
「無駄だって言っただろうが。黒崎一護なら何とか抜け出してんだろ。テメーはコイツらのお守りでもしてろ」
グリムジョーが親指を刺した先は、織姫達。
彼の言うことは、もっともだ。
滅却師の援軍が来てもおかしくない。
「…そう、ね。そうする。…礼を言うよ、グリムジョー」
「はっ。腑抜けた面のテメーをぶん殴っても面白くねーだけだ」
そう言えば以前、彼の肩を抉った気がする。
あの時は敵だったとはい、少しだけ申し訳ない気持ちになった。
「腑抜けた面、か。そんな顔してる?」
「俺とやり合った時や、滅却師を殺してる時の顔の方がよっぽどマシだ。」
「…そう。浦原さんが起きるまでに、いつも通り振る舞わないとね」
膝を抱えて、顔を埋める名無し。
今の私は、どうかしてる。
すごく、なんだか…疲れてしまった。
「…?、オイ」
グリムジョーが声をかけるが、反応がない。
死んだように眠る名無し。表情は疲労の色に染まっていた。
「…チッ。おい、女。とっとと治せ。テメーらの面倒を見るなんて、俺は御免だぞ」
治療を続ける織姫に声をかけるグリムジョー。
再び岩にもたれ掛かり、織姫が治療する様子を興味無さそうに眺めている。
どうやら暫くはここにいるらしい。
素直じゃない彼の様子に小さく笑い、織姫は大きく頷いた。
「女、次はお前だ。以前の借りを」
「後にして」
グリムジョーの言葉を、手を上げて遮る名無し。
青筋を浮かべている彼の横を通り過ぎ、ペッシェ達が匿っている浦原達のところへ向かった。
「名無し、ちゃん…」
「織姫ちゃん。これ飲んで。」
ポケットから取り出した小さな小瓶。
いつも念の為、十二番隊から貰っていた治療薬だ。
普段使うことが殆どなかったが、備えていて本当に良かったと心から思った。
anemone days#41
「なんだ、ボロボロじゃねーか。黒崎一護はいねーのか」
「…一護は尸魂界へ向かったよ。ここにはいない」
なんとか傷が塞がった織姫が茶渡と浦原の治療にあたる。
怪我を治したあとすぐに、というのは酷なような気もするが、彼女しか今は頼みの綱がない。
浦原の返り血で赤くなった両手を見つめる名無し。
すっかり乾き赤黒くなった血は、そっと押さえれば乾いた音を立てて、少しずつ剥がれた。
「…なんだ。お前、人間らしい顔も出来るじゃねーか」
「?、…何か言った?」
「何でもねーよ」
ポケットに手を入れたまま、岩壁に背中を預けるグリムジョー。
ペッシェ達は気絶してるネルを心配そうに様子を見ている。
今なら出来るか。
重い腰を上げ、立ち上がる名無し。足取りは、少し覚束無い。
「どこに行く」
「黒腔を開く。もし黒崎くんが中で足止めされているなら、助けなきゃ」
「無駄だ。黒腔はどんだけ広いと思ってんだ」
「やってみなくちゃ、分からないよ」
穿界門を開いていた岩の上へ登る名無し。
両手を岩の上へ置き、一呼吸の後、詠唱する。
「『我が右手に界境を繋ぐ石、我が左手に実存を縛る刃。黒髪の羊飼い、縛り首の椅子、叢雲来たりて、我・鴇を打つ』」
バチッと弾ける音。
大きく口を開いた空間は、常闇だ。
辺りを覗き込んで霊圧を探るが、一護の気配は皆無だった。
「無駄だって言っただろうが。黒崎一護なら何とか抜け出してんだろ。テメーはコイツらのお守りでもしてろ」
グリムジョーが親指を刺した先は、織姫達。
彼の言うことは、もっともだ。
滅却師の援軍が来てもおかしくない。
「…そう、ね。そうする。…礼を言うよ、グリムジョー」
「はっ。腑抜けた面のテメーをぶん殴っても面白くねーだけだ」
そう言えば以前、彼の肩を抉った気がする。
あの時は敵だったとはい、少しだけ申し訳ない気持ちになった。
「腑抜けた面、か。そんな顔してる?」
「俺とやり合った時や、滅却師を殺してる時の顔の方がよっぽどマシだ。」
「…そう。浦原さんが起きるまでに、いつも通り振る舞わないとね」
膝を抱えて、顔を埋める名無し。
今の私は、どうかしてる。
すごく、なんだか…疲れてしまった。
「…?、オイ」
グリムジョーが声をかけるが、反応がない。
死んだように眠る名無し。表情は疲労の色に染まっていた。
「…チッ。おい、女。とっとと治せ。テメーらの面倒を見るなんて、俺は御免だぞ」
治療を続ける織姫に声をかけるグリムジョー。
再び岩にもたれ掛かり、織姫が治療する様子を興味無さそうに眺めている。
どうやら暫くはここにいるらしい。
素直じゃない彼の様子に小さく笑い、織姫は大きく頷いた。