anemone days
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王鍵の創生。
浦原商店にやったきた乱菊から聞かされた話は現実味がなく、突拍子のないものだった。
しかし、霊的に異質な土地が重霊地と言われ、それが空座町だと言われ合点がいった。
それなら出現する虚の多さも、霊力の高い人間が多いのも頷けた。
しかし、何故だろう。
『霊王』
その名前が出た途端、少しだけ中の霊力がザワついた。
その変化に気がついたのは、彼女唯ひとり。
anemone days#29
「阿散井くん遅い!捨て身で来い、使えるものは全部使え!!
茶渡くんは拳を振るうのを躊躇うな!私を敵だと思って、頭を撃ち抜け!」
恋次が放つ蛇尾丸の剣戟を鬼道で撃ち落とす。
大技を打ってこないあたり、茶渡もおそらくまだ腹を括りきれていない。
小さく舌打ちをし、目を覚まさせるようにパァンッ!と手をひとつ打った。
「やめたやめた。頭で考えてもダメだよね、そりゃそうだ。
こうしよう。二人がかりで私に傷一つ付けられないなら、ルキアちゃんか、黒崎くん。どちらかを空間の歪に放り込む」
「なっ」
「名無し、何を」
「本気よ。ほら、早くしないと大切なもの、私がどっか持っていくよ」
そう宣言すれば、恋次と茶渡の目付きが変わる。
やればできるじゃん。と満足そうに名無しは笑った。
「吠えろ、蛇尾丸!」
蛇行しながら鋭く伸びる刃。
動きは見切っている。
刃節を曲げれる角度から、最長まで。
瞬歩で躱した。はずだった。
「つか、まえたァ!」
刃の隙間をぬってタックルをしてくる恋次。
蛇尾丸の斬撃は、斬魄刀を手放したからか、ただの浅打に戻った。
「行け、茶渡!」
「悪い、名無し。『巨人の一撃』」
霊子による、衝撃波。
あぁ、これはマズい。
「『開け!』」
開いた空間に飲み込まれる衝撃波。
それは僅かに飲み込みきれず、名無しの頬を鋭く切り裂いた。
衝撃波は近くにあった岩の近くへ移されたらしく、名無しと恋次の真後ろの岩が音を立てて粉砕された。
「…おお、危なっ!
さ、阿散井くん。とっとと離してね。破道の三十一『赤火砲』」
左手に纏う炎。
腰を掴んだままの恋次へ、渾身の一撃をお見舞いした。
「ってぇ!あちぃ!!」
「大丈夫か、阿散井!」
頬を抑えながら叫ぶ恋次の元へ、茶渡が走る。
名無しは名無しで「あちち」と言いながら左手を振っていた。
「出せるじゃん、新技。」
「あ…」
茶渡が右腕を見遣れば、今までと違う形状をしていた。排熱を出すように肩からは煙が僅かに立ち上る。
「阿散井くんもいい判断だった。白打が苦手って言ったこと、よく覚えてたね。私、接近戦が苦手なの。懐に入ってしまえばなんて事はないでしょ」
ケラケラと笑って名無しは恋次と茶渡の側に座り込む。
「嘘つけ、オマエ白打は全くダメって言っていたじゃねぇか。なんだ今の」
「修行の賜物。でもダメだなぁ。牽制くらいにしか使えないから、やっぱり実戦向きじゃないや」
鬼道よりやっぱり空間操作をのせて右手で殴る…でも扱い難しいし…。
手を口元に当て、唸りながら考え始める名無し。
先程とは打って変わったように別人のようだった。
「…はっ、んなことはどうでもいいんだよ!名無し、怪我!」
「ん?あぁ、忘れてた」
「すまない、名無し!俺が…」
「何謝ってるの、脳天狙えって言ったのは私よ、茶渡くん。阿散井くんもギャーギャーうるさい。こんなもん唾つけとけば治…」
「女の顔だぞ!ルキアに殺される!俺が!」
そう恋次が言うと同時に、茶渡に担がれた。
「鉄裁さんのところに連れていく」
「う、わ!ちょっと!おろして!」
名無しの抗議は虚しく、勉強部屋に響いて溶けていった。
浦原商店にやったきた乱菊から聞かされた話は現実味がなく、突拍子のないものだった。
しかし、霊的に異質な土地が重霊地と言われ、それが空座町だと言われ合点がいった。
それなら出現する虚の多さも、霊力の高い人間が多いのも頷けた。
しかし、何故だろう。
『霊王』
その名前が出た途端、少しだけ中の霊力がザワついた。
その変化に気がついたのは、彼女唯ひとり。
anemone days#29
「阿散井くん遅い!捨て身で来い、使えるものは全部使え!!
茶渡くんは拳を振るうのを躊躇うな!私を敵だと思って、頭を撃ち抜け!」
恋次が放つ蛇尾丸の剣戟を鬼道で撃ち落とす。
大技を打ってこないあたり、茶渡もおそらくまだ腹を括りきれていない。
小さく舌打ちをし、目を覚まさせるようにパァンッ!と手をひとつ打った。
「やめたやめた。頭で考えてもダメだよね、そりゃそうだ。
こうしよう。二人がかりで私に傷一つ付けられないなら、ルキアちゃんか、黒崎くん。どちらかを空間の歪に放り込む」
「なっ」
「名無し、何を」
「本気よ。ほら、早くしないと大切なもの、私がどっか持っていくよ」
そう宣言すれば、恋次と茶渡の目付きが変わる。
やればできるじゃん。と満足そうに名無しは笑った。
「吠えろ、蛇尾丸!」
蛇行しながら鋭く伸びる刃。
動きは見切っている。
刃節を曲げれる角度から、最長まで。
瞬歩で躱した。はずだった。
「つか、まえたァ!」
刃の隙間をぬってタックルをしてくる恋次。
蛇尾丸の斬撃は、斬魄刀を手放したからか、ただの浅打に戻った。
「行け、茶渡!」
「悪い、名無し。『巨人の一撃』」
霊子による、衝撃波。
あぁ、これはマズい。
「『開け!』」
開いた空間に飲み込まれる衝撃波。
それは僅かに飲み込みきれず、名無しの頬を鋭く切り裂いた。
衝撃波は近くにあった岩の近くへ移されたらしく、名無しと恋次の真後ろの岩が音を立てて粉砕された。
「…おお、危なっ!
さ、阿散井くん。とっとと離してね。破道の三十一『赤火砲』」
左手に纏う炎。
腰を掴んだままの恋次へ、渾身の一撃をお見舞いした。
「ってぇ!あちぃ!!」
「大丈夫か、阿散井!」
頬を抑えながら叫ぶ恋次の元へ、茶渡が走る。
名無しは名無しで「あちち」と言いながら左手を振っていた。
「出せるじゃん、新技。」
「あ…」
茶渡が右腕を見遣れば、今までと違う形状をしていた。排熱を出すように肩からは煙が僅かに立ち上る。
「阿散井くんもいい判断だった。白打が苦手って言ったこと、よく覚えてたね。私、接近戦が苦手なの。懐に入ってしまえばなんて事はないでしょ」
ケラケラと笑って名無しは恋次と茶渡の側に座り込む。
「嘘つけ、オマエ白打は全くダメって言っていたじゃねぇか。なんだ今の」
「修行の賜物。でもダメだなぁ。牽制くらいにしか使えないから、やっぱり実戦向きじゃないや」
鬼道よりやっぱり空間操作をのせて右手で殴る…でも扱い難しいし…。
手を口元に当て、唸りながら考え始める名無し。
先程とは打って変わったように別人のようだった。
「…はっ、んなことはどうでもいいんだよ!名無し、怪我!」
「ん?あぁ、忘れてた」
「すまない、名無し!俺が…」
「何謝ってるの、脳天狙えって言ったのは私よ、茶渡くん。阿散井くんもギャーギャーうるさい。こんなもん唾つけとけば治…」
「女の顔だぞ!ルキアに殺される!俺が!」
そう恋次が言うと同時に、茶渡に担がれた。
「鉄裁さんのところに連れていく」
「う、わ!ちょっと!おろして!」
名無しの抗議は虚しく、勉強部屋に響いて溶けていった。