anemone days
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「おーい、みんな。転校生だ!静かにしろー」
「う………浦原名無しです。よろしく、お願いします」
人生初の、高校生活だ。
心臓がバクバクと早鐘のように鳴っていた。
今日から空座第一高校、1年3組に転入する。
anemone days#03
「ねぇ、前はどこに住んでいたの?」
「趣味は?休日何してるの?」
休憩時間になると、怒涛の質問攻め。
転校生ってこんなに大変なのか。
「ええっと、遠い所です。趣味…趣味…お菓子作るのは好きです、けど」
趣味ってなんだっけ、と思い出すが、尸魂界にいた時は暇さえあれば和菓子・洋菓子問わず作っていた。
その前は学校が終われば祖父母の手伝いをしていた。…そう考えると趣味という趣味がないことに気がついて、少し複雑な気分になった。
「名無しさん?ちょっといいかしら」
ニコニコしながら声を掛けてきたのは、ルキアだ。
(商店に来た時とキャラが違う…)
彼女は先日、浦原商店の客としてやってきた『死神』だ。
諸事情で霊力をとある少年に全部預けてしまい、今は浦原の貸した義骸の中で霊力回復を待っているらしい。
彼女の態度に驚きつつも、囲まれていた輪から外れ廊下に出た。
慣れない質問攻めに困っていたので、少しだけホッとした。
「…どうした、突然。浦原に言われて来たのか?」
「いや、それが」
***
「名無しサン、どうっスか、これ」
ぴらっと浦原が自慢げに出してきたのは、グレーのスカートとブレザー、そして白いブラウス。
可愛らしい大きな赤いリボンが特徴的な制服だった。
「…どうっスか、って。女装の趣味があったんですか?」
「違いますよぉ。名無しサンの制服っス」
「はい?」
「明日から、空座第一高校に入学してもらうっスから、よろしくお願いします」
「はい!?」
「名無しサンに高校生活をエンジョイして頂きたくって」
「……本音は?」
「JK制服の名無しサンが見たかったからっス」
「寝言を言うにはまだ日が高いですよ、浦原さん」
完全に嘘をついている笑顔だった。
何か言いたくない理由でもあるのだろうが、きっと問い詰めても彼は答えないだろう。
「いやぁ、浦原名無しって名前を教科書やらノートに書く名無しサンを考えただけで、ボクはご飯三杯はいけるっスね」
「大丈夫、書くだけですよ。周りには苗字で呼ばないようにお願いしますから」
「酷い!」
待て。
高校生活を始めるも何も、心の準備が出来ていない。
そもそも私の最終学歴は中卒だ。
こんな中途半端な時期から高校生になって、勉強についていけるのか?
色々思うところはあるが、無情にも時間は止まるはずもなく、呆気なく今日を迎えてしまった。
***
「相変わらず良く分からん男だ」
「私もそう思う」
憐れんだ眼差しをルキアから向けられる。
あの唐突な言動に振り回されるのも慣れてきたが、今回のは流石に驚いた。
「おい、ルキア」
オレンジ色の髪色をした少年が不機嫌そうに歩いてきた。
見た目の風貌はさながら、目付きもお世辞にもいいとは言えない。
(や、ヤンキーだ!)
目をつけられないよう身構えていたら、こちらに気がついたようで目が合ってしまった。
「お。転校生。なんだ、知り合いか?」
「そんなところだ。この間の強欲商人がいただろう。そこの身内だ」
「へぇ…あの下駄帽子の。妹とかか?身内の割に、あんま似てないな」
そりゃ似るわけがない、血縁なんて皆無なのだから。
「…もしかして、噂の『黒崎サン』?」
「おぅ。ってことは、アンタもそっちの関係者か」
そっちとは、恐らく尸魂界関係と言いたいらしい。正確にはハズレだけど、ややこしくなるのでそこは黙っておこう。
「もしかして…この間の改造魂魄の件で目をつけられてんのか?」
「いやぁ…それがさっぱり理由が分からなくて。昨日、突然入学しろって言われたんですよ」
「はぁ!?また唐突だな」
「本当に」
思わず深いため息が漏れる。
なにか理由があるなら言ってほしい。彼の真意は、未だに計れないところがあるから困ったものだ。
ピピピピッ
「む、虚だ。一護、行くぞ」
「へいへい」
ルキアがそう言うと、グローブで思い切り殴られる一護。
まるで魂が勢いよく抜けるように、身体から死神の姿で出ていった。
「ルキアちゃん、今から出ていったら授業サボりになるんじゃ、」
「月物の体調不良で早退したと言っておいてくれ!」
そう言って窓から二人は飛び降りていった。
「…月物って、私がそれ言うの?」
っていうかこの抜け殻になった『黒崎サン』の身体はどうすればいいんだろう。
「う………浦原名無しです。よろしく、お願いします」
人生初の、高校生活だ。
心臓がバクバクと早鐘のように鳴っていた。
今日から空座第一高校、1年3組に転入する。
anemone days#03
「ねぇ、前はどこに住んでいたの?」
「趣味は?休日何してるの?」
休憩時間になると、怒涛の質問攻め。
転校生ってこんなに大変なのか。
「ええっと、遠い所です。趣味…趣味…お菓子作るのは好きです、けど」
趣味ってなんだっけ、と思い出すが、尸魂界にいた時は暇さえあれば和菓子・洋菓子問わず作っていた。
その前は学校が終われば祖父母の手伝いをしていた。…そう考えると趣味という趣味がないことに気がついて、少し複雑な気分になった。
「名無しさん?ちょっといいかしら」
ニコニコしながら声を掛けてきたのは、ルキアだ。
(商店に来た時とキャラが違う…)
彼女は先日、浦原商店の客としてやってきた『死神』だ。
諸事情で霊力をとある少年に全部預けてしまい、今は浦原の貸した義骸の中で霊力回復を待っているらしい。
彼女の態度に驚きつつも、囲まれていた輪から外れ廊下に出た。
慣れない質問攻めに困っていたので、少しだけホッとした。
「…どうした、突然。浦原に言われて来たのか?」
「いや、それが」
***
「名無しサン、どうっスか、これ」
ぴらっと浦原が自慢げに出してきたのは、グレーのスカートとブレザー、そして白いブラウス。
可愛らしい大きな赤いリボンが特徴的な制服だった。
「…どうっスか、って。女装の趣味があったんですか?」
「違いますよぉ。名無しサンの制服っス」
「はい?」
「明日から、空座第一高校に入学してもらうっスから、よろしくお願いします」
「はい!?」
「名無しサンに高校生活をエンジョイして頂きたくって」
「……本音は?」
「JK制服の名無しサンが見たかったからっス」
「寝言を言うにはまだ日が高いですよ、浦原さん」
完全に嘘をついている笑顔だった。
何か言いたくない理由でもあるのだろうが、きっと問い詰めても彼は答えないだろう。
「いやぁ、浦原名無しって名前を教科書やらノートに書く名無しサンを考えただけで、ボクはご飯三杯はいけるっスね」
「大丈夫、書くだけですよ。周りには苗字で呼ばないようにお願いしますから」
「酷い!」
待て。
高校生活を始めるも何も、心の準備が出来ていない。
そもそも私の最終学歴は中卒だ。
こんな中途半端な時期から高校生になって、勉強についていけるのか?
色々思うところはあるが、無情にも時間は止まるはずもなく、呆気なく今日を迎えてしまった。
***
「相変わらず良く分からん男だ」
「私もそう思う」
憐れんだ眼差しをルキアから向けられる。
あの唐突な言動に振り回されるのも慣れてきたが、今回のは流石に驚いた。
「おい、ルキア」
オレンジ色の髪色をした少年が不機嫌そうに歩いてきた。
見た目の風貌はさながら、目付きもお世辞にもいいとは言えない。
(や、ヤンキーだ!)
目をつけられないよう身構えていたら、こちらに気がついたようで目が合ってしまった。
「お。転校生。なんだ、知り合いか?」
「そんなところだ。この間の強欲商人がいただろう。そこの身内だ」
「へぇ…あの下駄帽子の。妹とかか?身内の割に、あんま似てないな」
そりゃ似るわけがない、血縁なんて皆無なのだから。
「…もしかして、噂の『黒崎サン』?」
「おぅ。ってことは、アンタもそっちの関係者か」
そっちとは、恐らく尸魂界関係と言いたいらしい。正確にはハズレだけど、ややこしくなるのでそこは黙っておこう。
「もしかして…この間の改造魂魄の件で目をつけられてんのか?」
「いやぁ…それがさっぱり理由が分からなくて。昨日、突然入学しろって言われたんですよ」
「はぁ!?また唐突だな」
「本当に」
思わず深いため息が漏れる。
なにか理由があるなら言ってほしい。彼の真意は、未だに計れないところがあるから困ったものだ。
ピピピピッ
「む、虚だ。一護、行くぞ」
「へいへい」
ルキアがそう言うと、グローブで思い切り殴られる一護。
まるで魂が勢いよく抜けるように、身体から死神の姿で出ていった。
「ルキアちゃん、今から出ていったら授業サボりになるんじゃ、」
「月物の体調不良で早退したと言っておいてくれ!」
そう言って窓から二人は飛び降りていった。
「…月物って、私がそれ言うの?」
っていうかこの抜け殻になった『黒崎サン』の身体はどうすればいいんだろう。