anemone days
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
探知しなくても分かるほどの霊圧。
虚に近い。けど、少しだけ違う。
スマホを改造した伝令神機が即座に鳴る。
浦原からだった。
『名無しサン、真っ直ぐ店へ帰ってきてください』
「でも、」
『今から夜一サンとボクで向かいますから。大丈夫、すぐ終わります』
そう言って手早く通話は切られた。
「…マユリさん、まだ治らないんですか」
左腕に視線を落としても、誰からも返事が返ってくるはずがなかった。
anemone days#25
それが、五日前の出来事。
ボロボロの織姫と茶渡、一護が商店に担ぎ込まれてきた。
唯一無傷だったのは浦原だけ。
平気そうな顔をしていたが、夜一の左手足もダメージがあった。
「マユリさん。いつになったら私の腕、治るんですか」
『はて。何のことかネ』
「とぼけないでください。明らかに治りが遅いんです。…補肉剤に、何をしたんですか」
伝令神機でマユリへ連絡を入れて、問い詰める。
電波越しの声でも、彼が諦めたようにため息をついたのが分かった。
『やれやれ…。察しがいいネ。そこは霊圧を一気に解放出来るところかネ?』
「?…いえ。」
『では後で左腕に集中して、霊圧を込めたまえ。そうしたらギブスは外れるヨ』
呆気ない返答に、思わず沈黙が流れる。
先に声を上げたのは名無しだった。
「…それだけです?」
『話は最後まで聞きたまえ。以前、鬼道を使ったら込めた霊圧と威力が釣り合わない、と言っていたネ』
「はい」
確かに、言った気がする。
それは補肉剤を作っていた最中に漏らしたボヤきだった。
『よく覚えているな』と思わず感心してしまう。
『理由は簡単。それが人間の霊力だからだヨ。補肉剤に少しばかり細工をしてネ。
使った際、霊力が一気に吸い取られただろう。君の腕を死神と同じ細胞に組み替えたからネ』
「…えっと、つまり?」
『左腕から放つ鬼道は、込めた霊圧の通りに使えるはずだヨ。体に負担が大きかった九十番台も大丈夫だろう。保障はしないがネ』
なるほど。
保障しない、と彼は言うが、恐らく大丈夫だろう。なぜならマユリの技術への信頼は山より高い。
「大丈夫です。ありがとうございます、マユリさん」
『…肉体改造を勝手に行ったのに礼を言うなんて、おかしな娘だよキミは』
「これで強くなれるなら、微々たる問題ですよ」
呆れたような声のマユリに、思わず電話越しだというのに笑いがこぼれた。
通信を終えて、急いで修行部屋へ降りる名無し。
善は急げだ。もたもたする理由なんかないのだから。
「さて。」
ありったけの霊圧を込めるために、すぅと息を肺いっぱいに込める。
左腕に集中して霊力を込めれば、ぞわりと粟立つ肌。いつもと、違う。
バチンッ!と弾けた音と共に外れるギブス。
無惨にちぎれた三角巾がはらりと地面に落ちた。
見た目は今までと変わらないのに、霊力の込める加減が全然別物だ。
手始めに、撃ったのは
「破道の三十一『赤火砲』」
普段と同じような霊圧を込めて放てば、枯れ木に飛び火して大炎上した。
酸素という酸素を喰らい尽くして、下手したら地下室が燃えてしまいそうな火の勢いだ。
「うわ、っわわ!水!水!!」
慌てて消し止めることになり、これはまた練習が必要だな、と名無しは内心溜息を吐いた。
虚に近い。けど、少しだけ違う。
スマホを改造した伝令神機が即座に鳴る。
浦原からだった。
『名無しサン、真っ直ぐ店へ帰ってきてください』
「でも、」
『今から夜一サンとボクで向かいますから。大丈夫、すぐ終わります』
そう言って手早く通話は切られた。
「…マユリさん、まだ治らないんですか」
左腕に視線を落としても、誰からも返事が返ってくるはずがなかった。
anemone days#25
それが、五日前の出来事。
ボロボロの織姫と茶渡、一護が商店に担ぎ込まれてきた。
唯一無傷だったのは浦原だけ。
平気そうな顔をしていたが、夜一の左手足もダメージがあった。
「マユリさん。いつになったら私の腕、治るんですか」
『はて。何のことかネ』
「とぼけないでください。明らかに治りが遅いんです。…補肉剤に、何をしたんですか」
伝令神機でマユリへ連絡を入れて、問い詰める。
電波越しの声でも、彼が諦めたようにため息をついたのが分かった。
『やれやれ…。察しがいいネ。そこは霊圧を一気に解放出来るところかネ?』
「?…いえ。」
『では後で左腕に集中して、霊圧を込めたまえ。そうしたらギブスは外れるヨ』
呆気ない返答に、思わず沈黙が流れる。
先に声を上げたのは名無しだった。
「…それだけです?」
『話は最後まで聞きたまえ。以前、鬼道を使ったら込めた霊圧と威力が釣り合わない、と言っていたネ』
「はい」
確かに、言った気がする。
それは補肉剤を作っていた最中に漏らしたボヤきだった。
『よく覚えているな』と思わず感心してしまう。
『理由は簡単。それが人間の霊力だからだヨ。補肉剤に少しばかり細工をしてネ。
使った際、霊力が一気に吸い取られただろう。君の腕を死神と同じ細胞に組み替えたからネ』
「…えっと、つまり?」
『左腕から放つ鬼道は、込めた霊圧の通りに使えるはずだヨ。体に負担が大きかった九十番台も大丈夫だろう。保障はしないがネ』
なるほど。
保障しない、と彼は言うが、恐らく大丈夫だろう。なぜならマユリの技術への信頼は山より高い。
「大丈夫です。ありがとうございます、マユリさん」
『…肉体改造を勝手に行ったのに礼を言うなんて、おかしな娘だよキミは』
「これで強くなれるなら、微々たる問題ですよ」
呆れたような声のマユリに、思わず電話越しだというのに笑いがこぼれた。
通信を終えて、急いで修行部屋へ降りる名無し。
善は急げだ。もたもたする理由なんかないのだから。
「さて。」
ありったけの霊圧を込めるために、すぅと息を肺いっぱいに込める。
左腕に集中して霊力を込めれば、ぞわりと粟立つ肌。いつもと、違う。
バチンッ!と弾けた音と共に外れるギブス。
無惨にちぎれた三角巾がはらりと地面に落ちた。
見た目は今までと変わらないのに、霊力の込める加減が全然別物だ。
手始めに、撃ったのは
「破道の三十一『赤火砲』」
普段と同じような霊圧を込めて放てば、枯れ木に飛び火して大炎上した。
酸素という酸素を喰らい尽くして、下手したら地下室が燃えてしまいそうな火の勢いだ。
「うわ、っわわ!水!水!!」
慌てて消し止めることになり、これはまた練習が必要だな、と名無しは内心溜息を吐いた。