anemone days
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左足はなんとか歩けるようになった。
松葉杖を使えば動けないことはない。
懸命な花太郎の治療のおかげだろう。後で彼に礼を言わなければ。
「よいしょ、っと」
病院着の上から羽織を肩から掛けた。
これなら多少見栄えもマシだろう。
「バレませんように…」
使い慣れない松葉杖を使い、ゆっくりと立ち上がる。
フラフラと覚束無いが、なんとか立ち上がることができた。よし。
「『開け』」
口を開けた異空間。
行き先は、101年振りに会う、あの人の元へ。
anemone days#19
「すみません、こんなお見苦しい格好で。
ご無沙汰しています。元柳斎様」
「……おぬし、どこから来たんじゃ。まさか病室を抜け出して来たのではあるまいな」
「わわ、少しだけ!少しだけですから、怒るのは待ってください!」
最近、説教続きで辟易していた。
特に夜一の説教は、本当に長かった。
「おぬしがそのような格好で来るとは、余程火急と見える」
「はい。…浦原喜助、及び握菱鉄裁、四楓院夜一の、罪状の取り消しを嘆願しに参りました」
見たところ、夜一は瀞霊廷内を自由に歩き回っている様子だから、昔の罪状で捕縛などは、もうされないだろう。
しかし現世にいる二人はそうもいかない。
これが、尸魂界に来た目的のひとつ。
「虚化の実験は、藍染の仕業だったのじゃな」
「はい。斬魄刀の特性の、完全催眠でアリバイを作っていたようです。現場はしっかり見ていました。あの場へ私、拉致されていましたし」
そう考えると藍染に色々酷い目に合わされているな、と思い返す。…思い出したら少しだけ腹が立ってきた。
「おぬしは嘘偽りを言わぬ。嘘を言って、おぬしに利もないじゃろうしな。
…すぐに全ての罪状を取り消すよう働きかけよう」
「ありがとうございます。」
松葉杖をついたまま頭を下げると「おぬしが礼を言うことではなかろう。見抜けなかった護廷十三隊の失態じゃ」と、山本は小さくため息をついた。
「…あやつらは、尸魂界には戻って来んじゃろうな」
「必要とあらば戻るかもしれませんが、多分。
なんだかんだで向こうの生活も楽しんでますし」
「儂が言うのもおかしな話じゃが、息災で何よりじゃな」
「元気すぎて困ってますよ。浦原さんなんか歩く猥褻物ですし、鉄裁さんは完全に一家のお母さんになっちゃってますもん」
少しおどけて言うと、目の前の好々爺は孫の話を聞くように笑いながら髭を撫でた。
「罪状取り消しが完了したら、必ず伝えよう」
「ありがとうございます。その時はまた菓子折を持ってお礼に参りますね」
「それは快復したら、じゃの。
お主が作った羊羹が久しぶりに食べたい」
「ふふっ、わかりました。任せてください!」
そう言ってもらえるなら、是非とも作りたいものだ。
嬉しくて思わず笑えば、山本の目尻も柔らかく下がった。
そろそろ深夜の病室見回りに見つかる頃合だろう。
空間にするりと身を滑らし、松葉杖で山本へ大きく手を振った。
次の日、卯ノ花に「脱走は昨日限りにしてくださいね」と釘をさされたのと、罪状取り消し完了の知らせが届いた。
目標は、全部達成。
「よし」と呟き、布団の中で小さくガッツポーズをした。
ねぇ、浦原さん。
私、少しは役に立てたかな。
松葉杖を使えば動けないことはない。
懸命な花太郎の治療のおかげだろう。後で彼に礼を言わなければ。
「よいしょ、っと」
病院着の上から羽織を肩から掛けた。
これなら多少見栄えもマシだろう。
「バレませんように…」
使い慣れない松葉杖を使い、ゆっくりと立ち上がる。
フラフラと覚束無いが、なんとか立ち上がることができた。よし。
「『開け』」
口を開けた異空間。
行き先は、101年振りに会う、あの人の元へ。
anemone days#19
「すみません、こんなお見苦しい格好で。
ご無沙汰しています。元柳斎様」
「……おぬし、どこから来たんじゃ。まさか病室を抜け出して来たのではあるまいな」
「わわ、少しだけ!少しだけですから、怒るのは待ってください!」
最近、説教続きで辟易していた。
特に夜一の説教は、本当に長かった。
「おぬしがそのような格好で来るとは、余程火急と見える」
「はい。…浦原喜助、及び握菱鉄裁、四楓院夜一の、罪状の取り消しを嘆願しに参りました」
見たところ、夜一は瀞霊廷内を自由に歩き回っている様子だから、昔の罪状で捕縛などは、もうされないだろう。
しかし現世にいる二人はそうもいかない。
これが、尸魂界に来た目的のひとつ。
「虚化の実験は、藍染の仕業だったのじゃな」
「はい。斬魄刀の特性の、完全催眠でアリバイを作っていたようです。現場はしっかり見ていました。あの場へ私、拉致されていましたし」
そう考えると藍染に色々酷い目に合わされているな、と思い返す。…思い出したら少しだけ腹が立ってきた。
「おぬしは嘘偽りを言わぬ。嘘を言って、おぬしに利もないじゃろうしな。
…すぐに全ての罪状を取り消すよう働きかけよう」
「ありがとうございます。」
松葉杖をついたまま頭を下げると「おぬしが礼を言うことではなかろう。見抜けなかった護廷十三隊の失態じゃ」と、山本は小さくため息をついた。
「…あやつらは、尸魂界には戻って来んじゃろうな」
「必要とあらば戻るかもしれませんが、多分。
なんだかんだで向こうの生活も楽しんでますし」
「儂が言うのもおかしな話じゃが、息災で何よりじゃな」
「元気すぎて困ってますよ。浦原さんなんか歩く猥褻物ですし、鉄裁さんは完全に一家のお母さんになっちゃってますもん」
少しおどけて言うと、目の前の好々爺は孫の話を聞くように笑いながら髭を撫でた。
「罪状取り消しが完了したら、必ず伝えよう」
「ありがとうございます。その時はまた菓子折を持ってお礼に参りますね」
「それは快復したら、じゃの。
お主が作った羊羹が久しぶりに食べたい」
「ふふっ、わかりました。任せてください!」
そう言ってもらえるなら、是非とも作りたいものだ。
嬉しくて思わず笑えば、山本の目尻も柔らかく下がった。
そろそろ深夜の病室見回りに見つかる頃合だろう。
空間にするりと身を滑らし、松葉杖で山本へ大きく手を振った。
次の日、卯ノ花に「脱走は昨日限りにしてくださいね」と釘をさされたのと、罪状取り消し完了の知らせが届いた。
目標は、全部達成。
「よし」と呟き、布団の中で小さくガッツポーズをした。
ねぇ、浦原さん。
私、少しは役に立てたかな。