anemone days
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
気がつけば、四番隊のベッドだった。
『食事くらい出来るように、右手は動かせるようにしておいてあげよう』
そう言って右手以外の骨を粉砕されたところで記憶が途切れる。
「…次会ったら、絶対に殺してやる」
こんな口調を聞いたら、私の中の『彼』はきっと怒るだろう。
あぁ、それより無茶な戦い方をしたことをまず真っ先に怒るだろうな。
「…負けた、んだなぁ」
捨て身での攻撃も、僅かに届いただけ。
勝算は少なかった。むしろゼロだったかもしれない。
それでも、
「…結構、悔しいものね」
生きていればまた会うだろう。
正直嫌いなので会いたくないが、その予感は殆ど確信に近かった。
あれだけ戦いの中ではドロドロとした感情が渦巻いていたのに、今ではすっかり空っぽだ。
悔しさと、情けなさで、少しだけ涙が出そうだった。
「…浦原さん、何してるのかな」
ポツリと名前を呟いただけなのに、無性に彼に会いたくなった。
anemone days#18
「名無し、起きたのか!?」
「く、黒崎さん!病室ではお静かに…」
「あ…わ、悪ィ、花太郎…」
一護がバタバタと足音を立て、病室へやってきた。
この調子だと通り過ぎていった他の病室にいる患者からも怪訝に思われただろう。
…後で卯ノ花さんに小言、言われなければいいんだけど。
「どうなんだ、調子は…っつっても、ボロボロだな」
「ははは、分かってていってるでしょ」
「わ、悪ィ…」
「…一発殴れたから目標達成してるようなもんだけど…。
あーーー悔しいなぁ、もう。百年修行してたら私が勝ったかもしれないのに」
なんだか虚しくなった。
分かっている。負けた事実は覆せない。
「…負けたんだなぁ」
「死んでねーんだから、負けじゃねぇよ。次に借りをキッチリ返しとけ」
頭をポンッと叩かれ、顔を上げると一護が笑っていた。
「…そうだね。次こそは、」
「あぁ、でも次あんな危なっかしい戦い方すんなよ」
「ナンノコトデショウ」
「とぼけんなよ!意識あったから見てんだよ、最初から最後まで。普通自分の腕、切り落とすか!?トカゲか、お前は!」
絶対誰かに怒られると思ったけど、やはり怒られた。
…一護がこれだけ怒っているのだ、恐らく夜一からの説教は倍だろう。覚悟しておこう。
「ついうっかり」
「変な薬まで用意してて何がうっかりだ。嘘ならもう少しマシな嘘つけ」
「あれは保険のつもりだったんだよ?言っておくけど最初から自分の腕を切り落とすなんて発想してなかったから!だから『つい』なの。」
「バカか。それこそ腕切り落とす気満々だったらヤバイ奴じゃねーか」
究極のマゾだなぁ、それは。
言っておくが痛いのは好きじゃないし、あれも仕方なかったと思う。
反省はあまりしていないけれど、肝には命じておこう。『反撃が出来ない』ということを。
「そういえば、名無し。全快したら気をつけろよ」
「何が?」
「いや…更木剣八ってヤツがな。強いヤツに興味津々で」
「なるほど」
「…気をつけろよ?じゃあな」
「どうして二回言ったの。あ、オイ、こら待て黒崎くん!」
そそくさと逃げるように病室を出る一護。
「…花太郎くん、更木剣八ってそんなにヤバい人なの?」
「戦うのがすごく好きな、その…かなり怖い隊長さんです…」
「うわ」
全快復する前に尸魂界を出て行きたい。
そう願わずにはいられない、名無しだった。
『食事くらい出来るように、右手は動かせるようにしておいてあげよう』
そう言って右手以外の骨を粉砕されたところで記憶が途切れる。
「…次会ったら、絶対に殺してやる」
こんな口調を聞いたら、私の中の『彼』はきっと怒るだろう。
あぁ、それより無茶な戦い方をしたことをまず真っ先に怒るだろうな。
「…負けた、んだなぁ」
捨て身での攻撃も、僅かに届いただけ。
勝算は少なかった。むしろゼロだったかもしれない。
それでも、
「…結構、悔しいものね」
生きていればまた会うだろう。
正直嫌いなので会いたくないが、その予感は殆ど確信に近かった。
あれだけ戦いの中ではドロドロとした感情が渦巻いていたのに、今ではすっかり空っぽだ。
悔しさと、情けなさで、少しだけ涙が出そうだった。
「…浦原さん、何してるのかな」
ポツリと名前を呟いただけなのに、無性に彼に会いたくなった。
anemone days#18
「名無し、起きたのか!?」
「く、黒崎さん!病室ではお静かに…」
「あ…わ、悪ィ、花太郎…」
一護がバタバタと足音を立て、病室へやってきた。
この調子だと通り過ぎていった他の病室にいる患者からも怪訝に思われただろう。
…後で卯ノ花さんに小言、言われなければいいんだけど。
「どうなんだ、調子は…っつっても、ボロボロだな」
「ははは、分かってていってるでしょ」
「わ、悪ィ…」
「…一発殴れたから目標達成してるようなもんだけど…。
あーーー悔しいなぁ、もう。百年修行してたら私が勝ったかもしれないのに」
なんだか虚しくなった。
分かっている。負けた事実は覆せない。
「…負けたんだなぁ」
「死んでねーんだから、負けじゃねぇよ。次に借りをキッチリ返しとけ」
頭をポンッと叩かれ、顔を上げると一護が笑っていた。
「…そうだね。次こそは、」
「あぁ、でも次あんな危なっかしい戦い方すんなよ」
「ナンノコトデショウ」
「とぼけんなよ!意識あったから見てんだよ、最初から最後まで。普通自分の腕、切り落とすか!?トカゲか、お前は!」
絶対誰かに怒られると思ったけど、やはり怒られた。
…一護がこれだけ怒っているのだ、恐らく夜一からの説教は倍だろう。覚悟しておこう。
「ついうっかり」
「変な薬まで用意してて何がうっかりだ。嘘ならもう少しマシな嘘つけ」
「あれは保険のつもりだったんだよ?言っておくけど最初から自分の腕を切り落とすなんて発想してなかったから!だから『つい』なの。」
「バカか。それこそ腕切り落とす気満々だったらヤバイ奴じゃねーか」
究極のマゾだなぁ、それは。
言っておくが痛いのは好きじゃないし、あれも仕方なかったと思う。
反省はあまりしていないけれど、肝には命じておこう。『反撃が出来ない』ということを。
「そういえば、名無し。全快したら気をつけろよ」
「何が?」
「いや…更木剣八ってヤツがな。強いヤツに興味津々で」
「なるほど」
「…気をつけろよ?じゃあな」
「どうして二回言ったの。あ、オイ、こら待て黒崎くん!」
そそくさと逃げるように病室を出る一護。
「…花太郎くん、更木剣八ってそんなにヤバい人なの?」
「戦うのがすごく好きな、その…かなり怖い隊長さんです…」
「うわ」
全快復する前に尸魂界を出て行きたい。
そう願わずにはいられない、名無しだった。