anemone days
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次の日の朝。
浦原が上機嫌で襖を開け放つ。
「さ、名無しサン。髪を整えましょ」
「え」
anemone days#02
「何ですか、その嫌そうな声は」
「いや…浦原さんが切るのか、って思って」
「ちょっと理由がストレート過ぎやしませんか?」
「…変な髪型にしませんか?」
「しませんよぉ、大事な名無しサンの髪ですから」
本当に任せて大丈夫なのだろうか。
いや、確かに彼は手先は器用だ。それはよく知っている。
けれど彼自身の胡散臭さは100年経っても健在だ。
何故だろう、やはり少しだけ不安だ。
「…前と同じくらいの長さがいいんですけど」
「えぇー。伸ばさないんっスか?」
「長いと頭が重いんですよ」
伸ばすにせよ、この長さはやりすぎだ。
平安時代じゃないんだ。勘弁して欲しい。おかげで昨晩は風呂に入り損ねた。
「じゃあ、店先でちゃちゃっとやっちゃいましょ」
「お願いします」
***
「ほー…器用ですね」
「でしょう?」
バッサリと切られた髪。
気持ちがいいくらい首元がスースーと涼しい。
鏡で見た限り完璧だ。
「ありがとうございました。じゃあちょっとお風呂お借りしますね」
切りっぱなしの髪の毛がチクチクと浴衣の中に入って痒い。
そうだ。ついでに洗濯物もしてしまおう。
家事はずっと鉄裁がしていたのだろうか?小さい子を二人抱えて、店番しつつ子守と家事だなんて、世の中のお母さん方もビックリだろう。
起きたからには家事を手伝わなければ。
そう意気込みながら廊下を歩いていると、後ろから雛鳥のようについてくる浦原。
「いつまでついてくるんですか、浦原さん」
「いやぁ、本調子じゃないでしょうし、お風呂入るのを手伝おうかと」
「…はい?」
結局、脱衣場までついてきたかと思ったらこの発言だ。
ちょっと待った。お風呂に入るのを手伝うって、何を手伝うつもりだ。
「はいはい、脱いでくださいっス」
「う、わっ!ちょっと!」
時代劇でよくある、所謂『あーれー』を現実でされるとは思っていなかった。
寝間着用の浴衣の帯は一瞬で解かれ、ふらついた身体をしっかりと抱きとめられた。
「ほら、本調子じゃないでしょ」
「誰のせいですか。危うくこけて頭を打ったら、湯けむり殺人事件になるとこでしたよ」
はだけそうになる浴衣を必死に抑えて、じとりと睨むが彼は楽しそうに笑うだけ。
「いやぁ、しかし寝てる間に大きくなりましたね」
「…?身長は殆ど変わってないと思いますけど」
「違いますよぉ。胸の方っス」
無防備な左頬を思いきり抓れば、意外にも手触りのいい頬に少しだけ驚いた。
まぁ無精髭が指先に当たって痛痒いのだが。
「なんか前より随分スキンシップ…いや、セクハラが激しくなっていません?」
「ひのへいっふよ」
左頬を抓りながら聞いてみるが、気のせいだと答えられる。
そんなはずはない。以前は着物を着付ける時ですら目を瞑る配慮があったというのに。
悪びれる様子のない目の前の男に呆れて、すぅ…と大きく息を吸う。
この目の前の変態を罵るためではなく、最終手段を取るためだった。
「鉄裁さーーーーん!浦原さんをちょっと捕まえといてくださーーーい!」
「へぁっ、ちょ、名無しふぁん!」
「如何なされた、名無し殿」
ひょいっと可愛らしい動きで脱衣場を覗く鉄裁。
肌蹴た浴衣の私と、頬をつねられている浦原が彼の眼前に映る。
「……お邪魔でしたな」
「どうしてそうなるんですか!!!」
「いたたたた!名無しサン、頬がちぎれる!」
ちなみに、このあと無事にゆっくりと風呂に入れました。
浦原が上機嫌で襖を開け放つ。
「さ、名無しサン。髪を整えましょ」
「え」
anemone days#02
「何ですか、その嫌そうな声は」
「いや…浦原さんが切るのか、って思って」
「ちょっと理由がストレート過ぎやしませんか?」
「…変な髪型にしませんか?」
「しませんよぉ、大事な名無しサンの髪ですから」
本当に任せて大丈夫なのだろうか。
いや、確かに彼は手先は器用だ。それはよく知っている。
けれど彼自身の胡散臭さは100年経っても健在だ。
何故だろう、やはり少しだけ不安だ。
「…前と同じくらいの長さがいいんですけど」
「えぇー。伸ばさないんっスか?」
「長いと頭が重いんですよ」
伸ばすにせよ、この長さはやりすぎだ。
平安時代じゃないんだ。勘弁して欲しい。おかげで昨晩は風呂に入り損ねた。
「じゃあ、店先でちゃちゃっとやっちゃいましょ」
「お願いします」
***
「ほー…器用ですね」
「でしょう?」
バッサリと切られた髪。
気持ちがいいくらい首元がスースーと涼しい。
鏡で見た限り完璧だ。
「ありがとうございました。じゃあちょっとお風呂お借りしますね」
切りっぱなしの髪の毛がチクチクと浴衣の中に入って痒い。
そうだ。ついでに洗濯物もしてしまおう。
家事はずっと鉄裁がしていたのだろうか?小さい子を二人抱えて、店番しつつ子守と家事だなんて、世の中のお母さん方もビックリだろう。
起きたからには家事を手伝わなければ。
そう意気込みながら廊下を歩いていると、後ろから雛鳥のようについてくる浦原。
「いつまでついてくるんですか、浦原さん」
「いやぁ、本調子じゃないでしょうし、お風呂入るのを手伝おうかと」
「…はい?」
結局、脱衣場までついてきたかと思ったらこの発言だ。
ちょっと待った。お風呂に入るのを手伝うって、何を手伝うつもりだ。
「はいはい、脱いでくださいっス」
「う、わっ!ちょっと!」
時代劇でよくある、所謂『あーれー』を現実でされるとは思っていなかった。
寝間着用の浴衣の帯は一瞬で解かれ、ふらついた身体をしっかりと抱きとめられた。
「ほら、本調子じゃないでしょ」
「誰のせいですか。危うくこけて頭を打ったら、湯けむり殺人事件になるとこでしたよ」
はだけそうになる浴衣を必死に抑えて、じとりと睨むが彼は楽しそうに笑うだけ。
「いやぁ、しかし寝てる間に大きくなりましたね」
「…?身長は殆ど変わってないと思いますけど」
「違いますよぉ。胸の方っス」
無防備な左頬を思いきり抓れば、意外にも手触りのいい頬に少しだけ驚いた。
まぁ無精髭が指先に当たって痛痒いのだが。
「なんか前より随分スキンシップ…いや、セクハラが激しくなっていません?」
「ひのへいっふよ」
左頬を抓りながら聞いてみるが、気のせいだと答えられる。
そんなはずはない。以前は着物を着付ける時ですら目を瞑る配慮があったというのに。
悪びれる様子のない目の前の男に呆れて、すぅ…と大きく息を吸う。
この目の前の変態を罵るためではなく、最終手段を取るためだった。
「鉄裁さーーーーん!浦原さんをちょっと捕まえといてくださーーーい!」
「へぁっ、ちょ、名無しふぁん!」
「如何なされた、名無し殿」
ひょいっと可愛らしい動きで脱衣場を覗く鉄裁。
肌蹴た浴衣の私と、頬をつねられている浦原が彼の眼前に映る。
「……お邪魔でしたな」
「どうしてそうなるんですか!!!」
「いたたたた!名無しサン、頬がちぎれる!」
ちなみに、このあと無事にゆっくりと風呂に入れました。