#12.5 short story
名前変換
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ボクが知っている彼女のこと。
名前は名無し。歳は十五。女の子。
理由はよく分からないけど、霊力だけは驚く程に有り余っている。
が、コントロールは壊滅的に下手。持て余していると言えばいいのだろうか。
特技は料理。これは本当に無茶苦茶美味しい。
嫌いなものは雨。理由は、分からない。
これくらいしか、ボクは彼女のことを知らない。
「名無しサン、」
衝立一枚向こう。
まだ買ってからそこまで日が経ってない布団にくるまって彼女は眠っていた。
はずだった。
眠りながら泣いているから、本当に驚いた。
悪夢に魘されている・といった雰囲気ではなく、本当に静かに涙を流していた。
嗚咽すら漏らさない様子は、年相応にはとてもじゃないが見えなかった。
「浦原さん、」
「嫌な夢でも、見たんっスか?」
親指で涙を拭ってやれば、自分が泣いていることに驚いたらしい。
眠気眼でとろりとしていた黒い双眸が、意外そうに大きく見開かれた。
「嫌な夢じゃ、ないですよ」
ただの、思い出です。
そう言って彼女は困ったように笑う。
達観したような雰囲気は、時々少女とはかけ離れた空気を纏っていた。
頑固で、真っ直ぐで、物怖じを知らない。
それでいて時々見せる表情はどこか儚く、朧気で。
「話したらスッキリしたりしませんかね?」
「大丈夫です。亡くなった、祖父母のことを思い出していただけですから。」
窓の外は雨だ。
硝子窓を叩きつける雨音は、未だに鳴り止まない。
静かな夜をぬうように鳴り響く雨音は、余計大きな音のように聞こえてしまった。
「泣いたって、仕方がないのは分かってるんですけどね」
どこか諦めたように苦笑いを浮かべる名無しの顔を見て、ボクはどうしようもなく胸が締め付けられた。
もっともっと、君を知りたい
いつかキミが抱える寂しさを、そっと抱きしめてあげれたら。
名前は名無し。歳は十五。女の子。
理由はよく分からないけど、霊力だけは驚く程に有り余っている。
が、コントロールは壊滅的に下手。持て余していると言えばいいのだろうか。
特技は料理。これは本当に無茶苦茶美味しい。
嫌いなものは雨。理由は、分からない。
これくらいしか、ボクは彼女のことを知らない。
「名無しサン、」
衝立一枚向こう。
まだ買ってからそこまで日が経ってない布団にくるまって彼女は眠っていた。
はずだった。
眠りながら泣いているから、本当に驚いた。
悪夢に魘されている・といった雰囲気ではなく、本当に静かに涙を流していた。
嗚咽すら漏らさない様子は、年相応にはとてもじゃないが見えなかった。
「浦原さん、」
「嫌な夢でも、見たんっスか?」
親指で涙を拭ってやれば、自分が泣いていることに驚いたらしい。
眠気眼でとろりとしていた黒い双眸が、意外そうに大きく見開かれた。
「嫌な夢じゃ、ないですよ」
ただの、思い出です。
そう言って彼女は困ったように笑う。
達観したような雰囲気は、時々少女とはかけ離れた空気を纏っていた。
頑固で、真っ直ぐで、物怖じを知らない。
それでいて時々見せる表情はどこか儚く、朧気で。
「話したらスッキリしたりしませんかね?」
「大丈夫です。亡くなった、祖父母のことを思い出していただけですから。」
窓の外は雨だ。
硝子窓を叩きつける雨音は、未だに鳴り止まない。
静かな夜をぬうように鳴り響く雨音は、余計大きな音のように聞こえてしまった。
「泣いたって、仕方がないのは分かってるんですけどね」
どこか諦めたように苦笑いを浮かべる名無しの顔を見て、ボクはどうしようもなく胸が締め付けられた。
もっともっと、君を知りたい
いつかキミが抱える寂しさを、そっと抱きしめてあげれたら。