浦原隊長の食卓シリーズ
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「浦原さん、これどうしたんですか!?」
ボクが持って帰ってきたお土産に、彼女は目を丸くして驚く。
何って、
「見たまんまっスよぉ」
「いや、それは分かりますけど」
彼女が手にしているのは松茸。部屋中に独特の香りが広がっていた。
まぁ貰い物だ。
ちゃんと贈答用の箱に入っているところからして、恐らく高価なものだろう。
「うわぁ…いい香り」
「そっスねぇ。
あ。そうだ名無しサン、これで明日お夕飯作ってくださいよォ」
料理上手な彼女だ。
きっと何か美味しいものを作ってくれるのだろう。
少し考え込んで「分かりました」と難なく答えるあたり、本当に料理が得意なんっスねぇ・とボクはぼんやり思ったのだった。
***
次の日の夕方。
ボクは手早く仕事を終わらせ、隊首私室へ向かっていた。
松茸をはじめとする高級食材に、実の所あまり興味がなかった。
けれど嫌いという訳でもなく、ご同伴に預かれるなら喜んで・といったところだ。
滅多に口にすることがない食材で楽しみ、というものあるが、やはり一番は彼女が料理するからだろう。
マユリが『尸魂界で食堂開いたらどうだネ?』と勧めるくらいには、周りの死神達の胃袋を掴んでいた。
部屋の前に立てば、ふわふわと香ってくる上品な出汁と、松茸の匂い。
絶対これ美味しいやつだ。
「ただいまっス」
「あ、おかえりなさい。浦原さん」
「なんじゃ、喜助。今日は早いのぅ」
台所から顔を出したのは名無し…と、夜一だ。
大方この匂いに釣られてきたのだろう。
「えぇ~夜一サンももしかして夕飯食べていくんっスか?」
「なんじゃ、たまにはよかろう」
「あれ?浦原さんがお呼びしたって聞きましたけど、っむぐ、」
目を丸くして首をかしげる名無しの口元を、それは美しい褐色の御手で咄嗟に塞ぐ夜一。
なるほど、だからちゃんと三人分用意されている・と。
「まぁいいっスけど。夜一サン、屋敷で松茸なんて毎日出るんじゃないんっスか?」
「莫迦者。わしは『名無しの作った食事』を食べに来たのじゃ」
四大貴族の胃袋をガッチリ掴むあたり、もう食の力で尸魂界を支配できるのでは?
ボクは「はぁ、そっスか」と息をつきながら、隊長羽織を椅子へ掛けた。
「ところで名無しサン。それって」
「はい。土瓶蒸しです!」
そろそろ頃合だったのか。
蒸し器の蓋を開ければ、ふわりと立ち込める湯気。
上品な出汁と松茸の香りは、食欲をそそるには十分だった。
「網焼きじゃないんっスねぇ」
「カサが開きかけていたので、香りを楽しめる方がいいかと思って」
なるほど。
「もう少し待っててくださいね。今日は『秋ご飯』ですから!」
自信満々に笑う彼女を見て、ボクもつられて笑うのであった。
***
「豪勢じゃのぅ」
「でしょう?」
目の前に配膳されたのは、栗ご飯・秋刀魚と秋野菜の天ぷら・土瓶蒸し、諸々だ。
「でも貰い物が多いんですけどね」
栗は八百屋の女将に貰ったらしい。
というか、名無しはよくお裾分けをされる。彼女の人当たりの良さそうな雰囲気故だろうか。
「「「いただきまーす」」」
行儀よく手を合わせて、ボクはいつもより賑やかな食卓を囲った。
浦原隊長の食卓#松茸
「土瓶蒸し…最高でしたねぇ」
「それは何よりです。松茸美味しかったですね」
「いやぁ、ボク庶民派ご飯の方が好きなんっスけど…名無しサンのご飯は何でも美味しいっスね」
大衆食堂で食べるような食事の方が『食べた感』があって好みだが、やはり彼女のご飯は上品な和食でも別格だ。食べた後の満足感が違う。
「秋刀魚の天ぷらもサクフワでしたし。」
「夜一さんは天ぷらの方がお気に召したみたいでしたね」
「まぁ魚好きっスから」
一緒に出されたレンコンやカボチャの天ぷらも美味しかった。
抹茶塩もいいが、大根おろしと天つゆであっさり頂くのがやはり天ぷらの王道か。
「栗ご飯、まだ余ってますから明日の朝ごはんにしましょうね」
「あーいいっスねぇ」
ホクホクの栗ご飯。
朝はきっとホカホカの味噌汁も出てくるのだろう、楽しみだ。
「浦原さん。今日も一日お疲れ様でした」
美味しいご飯。
帰りを待ってくれる可愛い同居人。
あぁ。今日も我が家の食卓は平和だ。
ボクが持って帰ってきたお土産に、彼女は目を丸くして驚く。
何って、
「見たまんまっスよぉ」
「いや、それは分かりますけど」
彼女が手にしているのは松茸。部屋中に独特の香りが広がっていた。
まぁ貰い物だ。
ちゃんと贈答用の箱に入っているところからして、恐らく高価なものだろう。
「うわぁ…いい香り」
「そっスねぇ。
あ。そうだ名無しサン、これで明日お夕飯作ってくださいよォ」
料理上手な彼女だ。
きっと何か美味しいものを作ってくれるのだろう。
少し考え込んで「分かりました」と難なく答えるあたり、本当に料理が得意なんっスねぇ・とボクはぼんやり思ったのだった。
***
次の日の夕方。
ボクは手早く仕事を終わらせ、隊首私室へ向かっていた。
松茸をはじめとする高級食材に、実の所あまり興味がなかった。
けれど嫌いという訳でもなく、ご同伴に預かれるなら喜んで・といったところだ。
滅多に口にすることがない食材で楽しみ、というものあるが、やはり一番は彼女が料理するからだろう。
マユリが『尸魂界で食堂開いたらどうだネ?』と勧めるくらいには、周りの死神達の胃袋を掴んでいた。
部屋の前に立てば、ふわふわと香ってくる上品な出汁と、松茸の匂い。
絶対これ美味しいやつだ。
「ただいまっス」
「あ、おかえりなさい。浦原さん」
「なんじゃ、喜助。今日は早いのぅ」
台所から顔を出したのは名無し…と、夜一だ。
大方この匂いに釣られてきたのだろう。
「えぇ~夜一サンももしかして夕飯食べていくんっスか?」
「なんじゃ、たまにはよかろう」
「あれ?浦原さんがお呼びしたって聞きましたけど、っむぐ、」
目を丸くして首をかしげる名無しの口元を、それは美しい褐色の御手で咄嗟に塞ぐ夜一。
なるほど、だからちゃんと三人分用意されている・と。
「まぁいいっスけど。夜一サン、屋敷で松茸なんて毎日出るんじゃないんっスか?」
「莫迦者。わしは『名無しの作った食事』を食べに来たのじゃ」
四大貴族の胃袋をガッチリ掴むあたり、もう食の力で尸魂界を支配できるのでは?
ボクは「はぁ、そっスか」と息をつきながら、隊長羽織を椅子へ掛けた。
「ところで名無しサン。それって」
「はい。土瓶蒸しです!」
そろそろ頃合だったのか。
蒸し器の蓋を開ければ、ふわりと立ち込める湯気。
上品な出汁と松茸の香りは、食欲をそそるには十分だった。
「網焼きじゃないんっスねぇ」
「カサが開きかけていたので、香りを楽しめる方がいいかと思って」
なるほど。
「もう少し待っててくださいね。今日は『秋ご飯』ですから!」
自信満々に笑う彼女を見て、ボクもつられて笑うのであった。
***
「豪勢じゃのぅ」
「でしょう?」
目の前に配膳されたのは、栗ご飯・秋刀魚と秋野菜の天ぷら・土瓶蒸し、諸々だ。
「でも貰い物が多いんですけどね」
栗は八百屋の女将に貰ったらしい。
というか、名無しはよくお裾分けをされる。彼女の人当たりの良さそうな雰囲気故だろうか。
「「「いただきまーす」」」
行儀よく手を合わせて、ボクはいつもより賑やかな食卓を囲った。
浦原隊長の食卓#松茸
「土瓶蒸し…最高でしたねぇ」
「それは何よりです。松茸美味しかったですね」
「いやぁ、ボク庶民派ご飯の方が好きなんっスけど…名無しサンのご飯は何でも美味しいっスね」
大衆食堂で食べるような食事の方が『食べた感』があって好みだが、やはり彼女のご飯は上品な和食でも別格だ。食べた後の満足感が違う。
「秋刀魚の天ぷらもサクフワでしたし。」
「夜一さんは天ぷらの方がお気に召したみたいでしたね」
「まぁ魚好きっスから」
一緒に出されたレンコンやカボチャの天ぷらも美味しかった。
抹茶塩もいいが、大根おろしと天つゆであっさり頂くのがやはり天ぷらの王道か。
「栗ご飯、まだ余ってますから明日の朝ごはんにしましょうね」
「あーいいっスねぇ」
ホクホクの栗ご飯。
朝はきっとホカホカの味噌汁も出てくるのだろう、楽しみだ。
「浦原さん。今日も一日お疲れ様でした」
美味しいご飯。
帰りを待ってくれる可愛い同居人。
あぁ。今日も我が家の食卓は平和だ。