この瞬間がすき
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唐突だが、名無しは中々の機械音痴だ。
「浦原さん…助けてください…」
『報告書くらい手書きで書かずに、機械で作ったらどうだネ』とマユリに言われたらしい。
苦手なパソコンを使ってウンウン唸りながら報告書を作っている。
こっちの現世に近しい世界で15年程生きていたというのに、現代っ子らしかぬ彼女を見ていると思わず笑みがこぼれた。
勿論それは小馬鹿にした…というわけではなく、彼女の欠点が知れて嬉しい・という意味なのだが。
「どしたんっスか?」
「グラフの作り方が…」
ソフトの使い方の本を見ながら一生懸命作っているが、どうやら読んでも分からなかったらしい。
とりあえず一人で頑張ってみる姿勢は素晴らしい。
それが例え、キーボードを一本指打法で頑張っているとしても、だ。
それなりにタイピングに関しては早くなっているから、逆に凄い。どうしてそれで文字が打てるのか。感心してしまう。
(もっと甘やかしたいんっスけどねぇ)
困り果てた顔でお願いしてくる姿も、一本指でポチポチとキーボードを打つ姿も、可愛いの一言に尽きた。
一見するとあざといように見えるが本人は真剣そのものだ。見ていると応援したくなる。
まぁついつい甘やかしたくなるのは、惚れた弱みというヤツだ。
この瞬間がすき#機械
唐突だが、浦原は機械に強い。
「これでどうっスか?」
「凄い!完璧です、浦原さん!」
思わず拍手を送りたくなる出来栄えだ。
流石、技術開発局初代局長。機械はお手の物らしい。
「もっと褒めてもいいんっスよ?」
「褒めたらやり方教えてくれるんですか?」
期待を込めて見上げてみるが、それはそれは完璧な笑顔で返される。
「それは内緒っス」
「えええ!そしたらまた浦原さんのお手を煩わせることになっちゃいますよ…」
そう。
毎度やり方を尋ねてみても教えてもらえないのだ。
教えるのが苦…というわけでもないらしい。
ヘルプを頼めば、それはもう嬉々とした表情で手伝ってくれる。
「煩わしいだなんてとんでもないっス。頼って欲しいから教えないんっスよ」
まるで『待っていました』と言わんばかりの表情で手伝ってくれるのはそういうことか。
納得出来る反面、それでもやはり少し意地が悪い気もした。
自分で書類を最初から最後まで作って、出来ることなら褒められたい。
『よく出来ましたね』と。
子供じみた承認欲求だと自覚している。
それでも彼は自分の目標でもあり、師である。
認められたい感情は自然なものだった。
端正な横顔を眺めながら、小さくため息をついた。
あまり肉付きがいいと言えない頬を、人差し指でプスリとつつく。これはせめてもの抗議だ。
「…十分頼ってるんですよ?これでも。」
頬杖をつきながらそう答えると、「もっと頼って欲しいんっスよ」と目の前の彼は柔らかく微笑んだ。
あぁ。そうやって彼は、私を甘やかすんだ。
「浦原さん…助けてください…」
『報告書くらい手書きで書かずに、機械で作ったらどうだネ』とマユリに言われたらしい。
苦手なパソコンを使ってウンウン唸りながら報告書を作っている。
こっちの現世に近しい世界で15年程生きていたというのに、現代っ子らしかぬ彼女を見ていると思わず笑みがこぼれた。
勿論それは小馬鹿にした…というわけではなく、彼女の欠点が知れて嬉しい・という意味なのだが。
「どしたんっスか?」
「グラフの作り方が…」
ソフトの使い方の本を見ながら一生懸命作っているが、どうやら読んでも分からなかったらしい。
とりあえず一人で頑張ってみる姿勢は素晴らしい。
それが例え、キーボードを一本指打法で頑張っているとしても、だ。
それなりにタイピングに関しては早くなっているから、逆に凄い。どうしてそれで文字が打てるのか。感心してしまう。
(もっと甘やかしたいんっスけどねぇ)
困り果てた顔でお願いしてくる姿も、一本指でポチポチとキーボードを打つ姿も、可愛いの一言に尽きた。
一見するとあざといように見えるが本人は真剣そのものだ。見ていると応援したくなる。
まぁついつい甘やかしたくなるのは、惚れた弱みというヤツだ。
この瞬間がすき#機械
唐突だが、浦原は機械に強い。
「これでどうっスか?」
「凄い!完璧です、浦原さん!」
思わず拍手を送りたくなる出来栄えだ。
流石、技術開発局初代局長。機械はお手の物らしい。
「もっと褒めてもいいんっスよ?」
「褒めたらやり方教えてくれるんですか?」
期待を込めて見上げてみるが、それはそれは完璧な笑顔で返される。
「それは内緒っス」
「えええ!そしたらまた浦原さんのお手を煩わせることになっちゃいますよ…」
そう。
毎度やり方を尋ねてみても教えてもらえないのだ。
教えるのが苦…というわけでもないらしい。
ヘルプを頼めば、それはもう嬉々とした表情で手伝ってくれる。
「煩わしいだなんてとんでもないっス。頼って欲しいから教えないんっスよ」
まるで『待っていました』と言わんばかりの表情で手伝ってくれるのはそういうことか。
納得出来る反面、それでもやはり少し意地が悪い気もした。
自分で書類を最初から最後まで作って、出来ることなら褒められたい。
『よく出来ましたね』と。
子供じみた承認欲求だと自覚している。
それでも彼は自分の目標でもあり、師である。
認められたい感情は自然なものだった。
端正な横顔を眺めながら、小さくため息をついた。
あまり肉付きがいいと言えない頬を、人差し指でプスリとつつく。これはせめてもの抗議だ。
「…十分頼ってるんですよ?これでも。」
頬杖をつきながらそう答えると、「もっと頼って欲しいんっスよ」と目の前の彼は柔らかく微笑んだ。
あぁ。そうやって彼は、私を甘やかすんだ。
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