この瞬間がすき
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ええっと、2367円…っと…」
財布の小銭入れを開けて一生懸命小銭を出している名無し。
どうやらお釣の小銭を少なくするためにチマチマと数えているようだった。
余談だが、彼女はあまり数字に強くない。
頭はいいし回転も早いのだが、如何せん数字には弱かった。
ひょこりと小銭入れの中を覗き込めば、あまり沢山入っていないようだった。
「2522円出せばいいんじゃないっスか?」
「ええっと…」
トレーの上に言われるままに小銭を出す名無し。
慌てて出す姿も可愛いと持ってしまうのは、我ながら重症だと思う。
「155円のお返しと、レシートになります」
店員さんから丁寧におつりを受け取ると「おぉ」と小さく感嘆の声を上げる。
こんな些細なことですら喜ぶのだから、本当に彼女は可愛い。
「浦原さん凄いですね!いつもぱっと出てこないんですよねぇ…おつりの計算」
「そりゃもう、駄菓子屋の店長っスからぁ」
計算はお手の物だ。
こういう時、理数系の頭をしていて本当によかったと思う。
そりゃあ、好きな子から羨望の眼差しで見られて、気分が良くならないわけがない。
こんな小さなことで感動する名無しを見て、些細な幸せを感じられる・というのは、やはりいいものだ。
あぁ、こんな日がずっと続くといい。
この瞬間がすき#買い物
スーパーの帰り道。
牛乳が入った買い物袋を当たり前かのように浦原にとられてしまった。
「筋トレですから、持ちますよ」と言っても彼は頑なに渡してくれない。
ほんの少しの申し訳ない気持ちと、ふとした瞬間に女の子扱いされるのが嬉しくて、何だか擽ったかった。
私の左手には卵とレタスが入った買い物袋。
浦原の右手には牛乳をはじめ、肉や魚が入ったエコバッグ。
さりげなく車道側を歩いてくれるのも、何だかむず痒くて言葉にならなかった。
「名無しサン。」
名前を呼ばれて支線を彼に向ければ、自然と差し出される左手。
あぁ、こんなに幸せでバチが当たらないだろうか。
込み上げる幸福感で胸が締め付けられるようだった。
「もう、なんというか、浦原さん。そういうとこですよ」
「えぇっ、突然なんっスかぁ」
指先から伝わる浦原の体温がやさしくて、目眩がしそうだった。
ああ、こんな日がずっと続くといいな。
財布の小銭入れを開けて一生懸命小銭を出している名無し。
どうやらお釣の小銭を少なくするためにチマチマと数えているようだった。
余談だが、彼女はあまり数字に強くない。
頭はいいし回転も早いのだが、如何せん数字には弱かった。
ひょこりと小銭入れの中を覗き込めば、あまり沢山入っていないようだった。
「2522円出せばいいんじゃないっスか?」
「ええっと…」
トレーの上に言われるままに小銭を出す名無し。
慌てて出す姿も可愛いと持ってしまうのは、我ながら重症だと思う。
「155円のお返しと、レシートになります」
店員さんから丁寧におつりを受け取ると「おぉ」と小さく感嘆の声を上げる。
こんな些細なことですら喜ぶのだから、本当に彼女は可愛い。
「浦原さん凄いですね!いつもぱっと出てこないんですよねぇ…おつりの計算」
「そりゃもう、駄菓子屋の店長っスからぁ」
計算はお手の物だ。
こういう時、理数系の頭をしていて本当によかったと思う。
そりゃあ、好きな子から羨望の眼差しで見られて、気分が良くならないわけがない。
こんな小さなことで感動する名無しを見て、些細な幸せを感じられる・というのは、やはりいいものだ。
あぁ、こんな日がずっと続くといい。
この瞬間がすき#買い物
スーパーの帰り道。
牛乳が入った買い物袋を当たり前かのように浦原にとられてしまった。
「筋トレですから、持ちますよ」と言っても彼は頑なに渡してくれない。
ほんの少しの申し訳ない気持ちと、ふとした瞬間に女の子扱いされるのが嬉しくて、何だか擽ったかった。
私の左手には卵とレタスが入った買い物袋。
浦原の右手には牛乳をはじめ、肉や魚が入ったエコバッグ。
さりげなく車道側を歩いてくれるのも、何だかむず痒くて言葉にならなかった。
「名無しサン。」
名前を呼ばれて支線を彼に向ければ、自然と差し出される左手。
あぁ、こんなに幸せでバチが当たらないだろうか。
込み上げる幸福感で胸が締め付けられるようだった。
「もう、なんというか、浦原さん。そういうとこですよ」
「えぇっ、突然なんっスかぁ」
指先から伝わる浦原の体温がやさしくて、目眩がしそうだった。
ああ、こんな日がずっと続くといいな。
10/13ページ