この瞬間がすき
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小春日和。
ここ最近雨が降り続けて、洗濯物が大変なことになっていた。
しかし鉄裁やジン太達は外出していたり学校に行っていたため、ひとりで洗濯物を独楽鼠のように動き、先程やっと干し終えた。
雨の後の気持ちのいい青空に映える、白いシーツの海。風に煽られて大きくうねる様は、まるで波のようだった。
大きな洗濯カゴをいくつか重ね、抱えたまま縁側へ向かう。
そこには先程まではいなかった浦原が縁側にて涅槃のポーズで舟を漕いでいた。
昨晩はずっと何やらまた変なものを作っていたようで、遅くまで研究室の明かりがついていた。
朝食を食べた後また研究室に篭っていたが、数時間後の現在に至る。
飽きたのか、煮詰まったのか、はたまた完成したのか。
彼の様子からして、恐らく仮眠というより熟睡コースだろう。
小さくため息をついて、洗濯カゴを仕舞う。
座布団と薄手の毛布を持って縁側へ戻れば、涅槃のポーズは完全に行き倒れた格好になっていた。なんて無防備な。
「浦原さん、頭起こしてください」
そう声をかければ、恐らく起きた時覚えていないのだろうが、ムニャムニャと言いながら数センチほど頭を床板から上げる。
滑り込ませるように二つ折りにした座布団を敷けば、立派な簡易枕だ。
暖かい陽気にご機嫌なのか、幸せそうな顔ですやすやと寝息を立てる様子は、立派な成人男性なのに可愛いと思ってしまう。
適当な時に気まぐれで剃る無精髭は、いつもより少しだけ長い。起きた時に剃るように言おう。
そっと顎を触れば、野球少年の頭のような感触。不思議な感触で、思わず小さく笑みがこぼれた。
気持ちのいい陽気。
戦いとは無縁の、穏やかな小春日和。
子供のようなあなたの寝顔。
込み上げる幸福感を噛み締めながら、彼の肩まで包み込むように、ふわふわとした毛布を掛けた。
この瞬間がすき#うたた寝
「ん…」
目を覚ませば空はすっかり茜色に染まっていた。日中はあんなに暖かかったのに、夕暮れになればやはり冷える。
気怠く身体を起こせば、肩から落ちる毛布。
頭の下には見覚えのない座布団が、自分の頭の形にへこんでいた。
朝食を食べて、もう一度研究室に戻って、仕上げをした。
その後、名無しの姿が見えないので家中を探せば彼女は中庭にいた。
踊るシーツの波を掻き分けながら一生懸命洗濯物を干す姿は、可愛いの一言に尽きた。
手伝えば良かったのかもしれないが、あまりにも縁側が暖かく、横になれば一瞬にして睡魔に襲われた。あれは反則っス。
で、起きたらこの時間だ。
うたた寝のつもりが完全に熟睡してしまった。
座布団枕と、毛布は恐らく名無しの仕業だろう。彼女なりの優しさに思わず頬が綻んだ。
ぐぅ、と鳴る腹の虫。
寝ていてもしっかり腹は減るらしい。
家の中から漂う、食欲そそる出汁の香りがきっと一番の原因だ。
『名無しサン、今日のお夕飯は何です?』
そう言って後ろから抱きしめれば、きっと無遠慮に見上げて来るのだろう。
そしてきっと、『おはようございます』と少しの嫌味を込めて、笑いながら彼女は言うんだ。
そう思えば、行き先は自然と決まった。
早く、彼女の顔が見たい。
寝起きにも関わらず、心なしか軽い足取りで台所へボクは向かった。
ここ最近雨が降り続けて、洗濯物が大変なことになっていた。
しかし鉄裁やジン太達は外出していたり学校に行っていたため、ひとりで洗濯物を独楽鼠のように動き、先程やっと干し終えた。
雨の後の気持ちのいい青空に映える、白いシーツの海。風に煽られて大きくうねる様は、まるで波のようだった。
大きな洗濯カゴをいくつか重ね、抱えたまま縁側へ向かう。
そこには先程まではいなかった浦原が縁側にて涅槃のポーズで舟を漕いでいた。
昨晩はずっと何やらまた変なものを作っていたようで、遅くまで研究室の明かりがついていた。
朝食を食べた後また研究室に篭っていたが、数時間後の現在に至る。
飽きたのか、煮詰まったのか、はたまた完成したのか。
彼の様子からして、恐らく仮眠というより熟睡コースだろう。
小さくため息をついて、洗濯カゴを仕舞う。
座布団と薄手の毛布を持って縁側へ戻れば、涅槃のポーズは完全に行き倒れた格好になっていた。なんて無防備な。
「浦原さん、頭起こしてください」
そう声をかければ、恐らく起きた時覚えていないのだろうが、ムニャムニャと言いながら数センチほど頭を床板から上げる。
滑り込ませるように二つ折りにした座布団を敷けば、立派な簡易枕だ。
暖かい陽気にご機嫌なのか、幸せそうな顔ですやすやと寝息を立てる様子は、立派な成人男性なのに可愛いと思ってしまう。
適当な時に気まぐれで剃る無精髭は、いつもより少しだけ長い。起きた時に剃るように言おう。
そっと顎を触れば、野球少年の頭のような感触。不思議な感触で、思わず小さく笑みがこぼれた。
気持ちのいい陽気。
戦いとは無縁の、穏やかな小春日和。
子供のようなあなたの寝顔。
込み上げる幸福感を噛み締めながら、彼の肩まで包み込むように、ふわふわとした毛布を掛けた。
この瞬間がすき#うたた寝
「ん…」
目を覚ませば空はすっかり茜色に染まっていた。日中はあんなに暖かかったのに、夕暮れになればやはり冷える。
気怠く身体を起こせば、肩から落ちる毛布。
頭の下には見覚えのない座布団が、自分の頭の形にへこんでいた。
朝食を食べて、もう一度研究室に戻って、仕上げをした。
その後、名無しの姿が見えないので家中を探せば彼女は中庭にいた。
踊るシーツの波を掻き分けながら一生懸命洗濯物を干す姿は、可愛いの一言に尽きた。
手伝えば良かったのかもしれないが、あまりにも縁側が暖かく、横になれば一瞬にして睡魔に襲われた。あれは反則っス。
で、起きたらこの時間だ。
うたた寝のつもりが完全に熟睡してしまった。
座布団枕と、毛布は恐らく名無しの仕業だろう。彼女なりの優しさに思わず頬が綻んだ。
ぐぅ、と鳴る腹の虫。
寝ていてもしっかり腹は減るらしい。
家の中から漂う、食欲そそる出汁の香りがきっと一番の原因だ。
『名無しサン、今日のお夕飯は何です?』
そう言って後ろから抱きしめれば、きっと無遠慮に見上げて来るのだろう。
そしてきっと、『おはようございます』と少しの嫌味を込めて、笑いながら彼女は言うんだ。
そう思えば、行き先は自然と決まった。
早く、彼女の顔が見たい。
寝起きにも関わらず、心なしか軽い足取りで台所へボクは向かった。
1/13ページ