晴着に花めく
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「いえーい、飲んでる?名無し。」
「頂いていますよ。何飲まれているんですか?」
「僕?僕はぁ〜カシオレ♡」
女子が好むようなカクテルを、女子よりも可愛らしく答える五条さん。
白い頬が桜色に染まっており『顔がいい人がほろ酔いになると色々心配になるなぁ』なんて名無しはぼんやり考えた。
「名無し全然いける口じゃん。どっかの雑魚下戸男とは大違い。」
「下戸?どなたがですか?」
「五条。」
「えっ!?」
硝子さんの名指しに、ニコニコ笑う彼を二度見する。
ふわふわとした表情の五条さんの周りには、確かにソフトドリンクのグラスばかり空いていた。
「お酒飲めると思った?」
「そういう場が多いかと思ったので…」
「ま、僕はNoと言える日本人だから。」
私の持っていたグラスと、カクテルが並々と入ったグラスを合わせ「カンパーイ」と何度目かの乾杯を交わす。
まるで乾杯したいだけの酔っ払いだ。私が思っている以上に、五条さんは下戸なのかもしれない。
ハラハラと焦る私の心を読み解いたのか、ウイスキーを傾けていた七海さんが溜息混じりに教えてくれる。
「家入さんの言葉を借りるようですが、本当に五条さんの下戸は酷いですよ。」
「随分な言いようじゃん、七海。復帰祝いに祝杯交わした仲だろ?」
「メインの料理が届く前に『今日はいける気がする』と調子に乗ってグラスホッパーを飲んだ挙句、私のスーツに嘔吐したのはどなたでしたっけ?」
「スーツ良いヤツ、金払ってやっただろぉ〜!まだネチネチ言ってんのかよ。」
グラスホッパー。確かメニュー表にあった、生クリームを混ぜたカクテルだ。
……乳製品の混ざった吐瀉物とか、控えめに言って最悪じゃないか。
もうそれは復帰祝いどころじゃない。きっとロクに飲んだり食べたりする前に、五条さんの介護からの解散ルートが安易に想像出来た。
この話題は七海さんにとって鬼門だ。詳しく聞きたいが、それはまたの機会にしよう。
「……えっと、伊地知さんは飲める方なんですか?」
「人並みですよ。疲れてる時は酔いが回りやすいので、程々にしますが…」
「スケジュールに空きがある時、ぜひ宅飲みましょう。硝子さんも一緒に。
……あ、寮が気まずかったら医務室とか、お外でも。私、仮免は取れたのでもう少ししたら運転できますから。その時はノンアルで楽しく飲むので、ご安心を」
見つかったら煩そうな五条さんは七海さんに任せて、伊地知さんへこっそり耳打ちする。
五条悟被害者の会が、ついにアルコールを添えて開催されることとなってしまいそうだ。今までより愚痴が弾みそうな予感しかしない。
伊地知さんと肩を寄せて話していると、硝子さんがひょこりと顔を出す。
日本酒が並々注がれた升を片手に私の隣へ腰を下ろした。
「名無し、カクテル平気そうだね」
「はい。ジュースみたいで美味しいです」
「そう来なくちゃな。次、気になるのは?」
「硝子さんに頂きましたし、今のうちに日本酒に慣れておこうかと。」
「じゃあ、辛口と甘口両方行くか。余ったら私が飲む」
オススメの銘柄があるのだろう。
メニュー表を一瞥すると、近くを通りかかった店員さんを呼び止めて、硝子さんはスラスラと注文を伝える。…お酒の注文が二種類以上あるので、恐らく彼女はまだ飲むのだろう。
「アテは?」
「ほっけの藁焼きがいいです」
「ん。」
メニューの写真が既に美味しそうだ。
少し冷めてしまった厚焼き玉子を頬張りながら、注文したほっけの藁焼きに思いを馳せた。藁焼きとか、絶対美味しい。
「名無しがどんどん飲兵衛になってく…」
「大丈夫です。頭がふわふわしてきたらお水飲みますから。」
斜め向かいの席の五条さんが不服そうに口先を尖らせている。
顔が赤く見えるのは、居酒屋の内装に使われている電球のせいだけじゃないだろう。
呆れ返った顔で七海さんがお冷を差し出しているが、五条さんはカシスオレンジのカクテルを握りしめたままだった。
「もし『五条さ〜ん、酔っちゃった♡』ってなったら、僕が高専まで連れて帰ってあげるね♡あっ、それとも近くのホテルがいい?」
アルコールが入っているからか、発言のジャッジがかなり際どい。
というより、むしろ。
晴着に花めく#05
「七海さん、ジャッジをお願いします。」
「アウトでしょう。今から警察に突き出しますか?」
「酷〜い!僕の生徒と後輩が辛辣ゥ〜〜〜」
「頂いていますよ。何飲まれているんですか?」
「僕?僕はぁ〜カシオレ♡」
女子が好むようなカクテルを、女子よりも可愛らしく答える五条さん。
白い頬が桜色に染まっており『顔がいい人がほろ酔いになると色々心配になるなぁ』なんて名無しはぼんやり考えた。
「名無し全然いける口じゃん。どっかの雑魚下戸男とは大違い。」
「下戸?どなたがですか?」
「五条。」
「えっ!?」
硝子さんの名指しに、ニコニコ笑う彼を二度見する。
ふわふわとした表情の五条さんの周りには、確かにソフトドリンクのグラスばかり空いていた。
「お酒飲めると思った?」
「そういう場が多いかと思ったので…」
「ま、僕はNoと言える日本人だから。」
私の持っていたグラスと、カクテルが並々と入ったグラスを合わせ「カンパーイ」と何度目かの乾杯を交わす。
まるで乾杯したいだけの酔っ払いだ。私が思っている以上に、五条さんは下戸なのかもしれない。
ハラハラと焦る私の心を読み解いたのか、ウイスキーを傾けていた七海さんが溜息混じりに教えてくれる。
「家入さんの言葉を借りるようですが、本当に五条さんの下戸は酷いですよ。」
「随分な言いようじゃん、七海。復帰祝いに祝杯交わした仲だろ?」
「メインの料理が届く前に『今日はいける気がする』と調子に乗ってグラスホッパーを飲んだ挙句、私のスーツに嘔吐したのはどなたでしたっけ?」
「スーツ良いヤツ、金払ってやっただろぉ〜!まだネチネチ言ってんのかよ。」
グラスホッパー。確かメニュー表にあった、生クリームを混ぜたカクテルだ。
……乳製品の混ざった吐瀉物とか、控えめに言って最悪じゃないか。
もうそれは復帰祝いどころじゃない。きっとロクに飲んだり食べたりする前に、五条さんの介護からの解散ルートが安易に想像出来た。
この話題は七海さんにとって鬼門だ。詳しく聞きたいが、それはまたの機会にしよう。
「……えっと、伊地知さんは飲める方なんですか?」
「人並みですよ。疲れてる時は酔いが回りやすいので、程々にしますが…」
「スケジュールに空きがある時、ぜひ宅飲みましょう。硝子さんも一緒に。
……あ、寮が気まずかったら医務室とか、お外でも。私、仮免は取れたのでもう少ししたら運転できますから。その時はノンアルで楽しく飲むので、ご安心を」
見つかったら煩そうな五条さんは七海さんに任せて、伊地知さんへこっそり耳打ちする。
五条悟被害者の会が、ついにアルコールを添えて開催されることとなってしまいそうだ。今までより愚痴が弾みそうな予感しかしない。
伊地知さんと肩を寄せて話していると、硝子さんがひょこりと顔を出す。
日本酒が並々注がれた升を片手に私の隣へ腰を下ろした。
「名無し、カクテル平気そうだね」
「はい。ジュースみたいで美味しいです」
「そう来なくちゃな。次、気になるのは?」
「硝子さんに頂きましたし、今のうちに日本酒に慣れておこうかと。」
「じゃあ、辛口と甘口両方行くか。余ったら私が飲む」
オススメの銘柄があるのだろう。
メニュー表を一瞥すると、近くを通りかかった店員さんを呼び止めて、硝子さんはスラスラと注文を伝える。…お酒の注文が二種類以上あるので、恐らく彼女はまだ飲むのだろう。
「アテは?」
「ほっけの藁焼きがいいです」
「ん。」
メニューの写真が既に美味しそうだ。
少し冷めてしまった厚焼き玉子を頬張りながら、注文したほっけの藁焼きに思いを馳せた。藁焼きとか、絶対美味しい。
「名無しがどんどん飲兵衛になってく…」
「大丈夫です。頭がふわふわしてきたらお水飲みますから。」
斜め向かいの席の五条さんが不服そうに口先を尖らせている。
顔が赤く見えるのは、居酒屋の内装に使われている電球のせいだけじゃないだろう。
呆れ返った顔で七海さんがお冷を差し出しているが、五条さんはカシスオレンジのカクテルを握りしめたままだった。
「もし『五条さ〜ん、酔っちゃった♡』ってなったら、僕が高専まで連れて帰ってあげるね♡あっ、それとも近くのホテルがいい?」
アルコールが入っているからか、発言のジャッジがかなり際どい。
というより、むしろ。
晴着に花めく#05
「七海さん、ジャッジをお願いします。」
「アウトでしょう。今から警察に突き出しますか?」
「酷〜い!僕の生徒と後輩が辛辣ゥ〜〜〜」