ファーストドライブ!
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東京から車を走らせること、一時間半程。
最初に到着した場所は、箱根の代表的な観光地である芦ノ湖。
外周19kmもあるカルデラ湖の周りには、かの有名な箱根関所、九頭龍神社、箱根神社と歴史の深い観光地が点在している。
「わぁ…富士山ですよ、富士山。大っきいですね!」
ロープウェイに乗った名無しは声を抑えてはいるものの、子供のような表情で無邪気にはしゃいでいた。
「そんな珍しいものかな?だって新幹線からもよく見えるし」
「そりゃ五条さんは出張多いですから。私は滅多に見れないんですぅー」
彼女の事情もあって、確かに県外の任務は他の術師や生徒に比べて控えめだ。
新幹線に乗る機会も少なければ当然、富士山を生で見る機会は更に少ないだろう。
「こうロープウェイってさ、落ちたらどうしよ〜!って思わない?」
「思わなくもないですけど、それを口にするのは野暮ですよ。今は景色を楽しんでいるんですから。」
ツーンと口先を尖らせた名無しは可愛い。
ついわざと彼女の機嫌を損ねるようなことを言ってしまうあたり、我ながら小学生男子みたいだと笑いそうになる。
「この辺り、秋になったら紅葉綺麗だろうね。ちょっと勿体ないなかったかな?」
「今も緑が眩しくて気持ちがいいですよ。そりゃあ、紅葉の方が風情あるんでしょうけど…」
今の時期、登山鉄道の方は紫陽花がさぞかし綺麗に咲いていることだろう。
今回は日帰り旅行ということで、そちらまで足を伸ばすことが出来ないのが少し残念だ。
青紫に染まった山道をスイッチバックで登る電車に乗れば、きっと名無しは目を輝かせるだろうから。
「秋も来ちゃう?」
「そんな時間ありますかね。」
ファーストドライブ!#04
ご尤も。
伊地知を泣かせば何とかなるかもしれないが、それこそしっかり者の名無しに呆れられてしまうだろう。
──きっとそんな顔も可愛いんだろうな、なんて。
恋愛末期患者のような思考が過ぎって、僕は隠すとなく口元をそっと緩めた。
最初に到着した場所は、箱根の代表的な観光地である芦ノ湖。
外周19kmもあるカルデラ湖の周りには、かの有名な箱根関所、九頭龍神社、箱根神社と歴史の深い観光地が点在している。
「わぁ…富士山ですよ、富士山。大っきいですね!」
ロープウェイに乗った名無しは声を抑えてはいるものの、子供のような表情で無邪気にはしゃいでいた。
「そんな珍しいものかな?だって新幹線からもよく見えるし」
「そりゃ五条さんは出張多いですから。私は滅多に見れないんですぅー」
彼女の事情もあって、確かに県外の任務は他の術師や生徒に比べて控えめだ。
新幹線に乗る機会も少なければ当然、富士山を生で見る機会は更に少ないだろう。
「こうロープウェイってさ、落ちたらどうしよ〜!って思わない?」
「思わなくもないですけど、それを口にするのは野暮ですよ。今は景色を楽しんでいるんですから。」
ツーンと口先を尖らせた名無しは可愛い。
ついわざと彼女の機嫌を損ねるようなことを言ってしまうあたり、我ながら小学生男子みたいだと笑いそうになる。
「この辺り、秋になったら紅葉綺麗だろうね。ちょっと勿体ないなかったかな?」
「今も緑が眩しくて気持ちがいいですよ。そりゃあ、紅葉の方が風情あるんでしょうけど…」
今の時期、登山鉄道の方は紫陽花がさぞかし綺麗に咲いていることだろう。
今回は日帰り旅行ということで、そちらまで足を伸ばすことが出来ないのが少し残念だ。
青紫に染まった山道をスイッチバックで登る電車に乗れば、きっと名無しは目を輝かせるだろうから。
「秋も来ちゃう?」
「そんな時間ありますかね。」
ファーストドライブ!#04
ご尤も。
伊地知を泣かせば何とかなるかもしれないが、それこそしっかり者の名無しに呆れられてしまうだろう。
──きっとそんな顔も可愛いんだろうな、なんて。
恋愛末期患者のような思考が過ぎって、僕は隠すとなく口元をそっと緩めた。