ファーストドライブ!
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「じゃん!見てください!」
可愛い生徒が見せてきたのは、緊張した面持ちの証明写真と鮮やかな水色のラインが入った一枚のカード。
なんてことはない。ありふれた運転免許証だった。
彼女自身の体質のせいで失念しがちだが、目の前のななし名無しという少女は立派な成人だ。
免許の一つ二つ持ってても全く不思議ではない年齢なのだが──
「え、いつの間に取ったの?」
「つい先週です。任務の合間に教習所に通って、一発合格です。」
誇らしげにブイサインをする名無しがあまりにも可愛くて、僕は頬が緩むのをグッと堪える。
なぜって?一応僕は彼女の先生だからね。
「凄いじゃーん、よく頑張ったね」と頭を撫でてあげれば、名無しは珍しく『むふ』と子供みたいにふっくら笑った。可愛い。
「免許取得祝い、何かしなくちゃね。え〜どうしよう。車買ってあげようか?何がいい?」
「それ、お祝いってレベルじゃないんですよ、五条さん。正直ドン引きです。」
にこにこ笑っていた名無しの表情がスンと急降下する。
冗談じゃなくて本心なのに、ドン引きされるなんて僕としては非常に心外だ。
「でも買うとしたら…車は取り回しが良さそうなコンパクトカーか軽四がいいですね。
……あ、言っておきますけど、ちゃんとお金貯めて自分で買いますからね?フリじゃないですよ?絶対に買わないでくださいね。」
「え〜、免許お祝い出来ないじゃん。」
釘を刺された僕は、可愛こぶって口先を尖らせて拗ねて見せるが、それでも彼女が『じゃあ車買ってください』なんて当然言うはずもなく。
くるりとした黒い瞳を閉じて、考えること数秒。
名無しは口にしていいのか不安そうに言い淀み、そっと僕へ提案してきた。
「……えっと…じゃあ、ドライブに付き合って貰えます?レンタカーとか借りて。」
「それ、むしろ僕へのご褒美じゃない?」
「そうなんですか?五条さんの休日を一日貰ってしまうので、かなり図々しいお願いかと思ったんですけど…」
「図々しいっていうのは、前日に仕事捩じ込んでくるジジイ共みたいな連中を言うんだよ」
なんて可愛らしいおねだりだろうか。
こう言ってはなんだが、誰かとドライブなんて初めての経験だ。
学生だったから当然、傑とドライブで遊びに行った経験などない。
硝子は車を持ってはいるが、多忙な上『酒を飲みたい』という理由だからか車を出すことが滅多にない。
最近したドライブなんて、あえて挙げるとすれば任務、仕事、任務、仕事のオンパレードだ。
更に言えば、今まで身体の関係があった女とも、当然ドライブなんて健全なことをするはずもなく。
いつだったか硝子に『本命童貞』なんて嫌味を言われたが、全くもってその通りだった。
次の休み。
好きな子と、ドライブ。
「つまりこれって、デートじゃない?」
飛び跳ねたくなる感情を抑えるのも一苦労だ。
緩みきった口元を隠して、僕は浮ついた声音で彼女へ問うた。
「……デートっていうのは付き合っている男女のお話でしょう?」
なんて、寄り付く島もない回答が、無慈悲にも返ってきたのだけど。
ファーストドライブ!#01
(早く『もちろんデートですよ』って言わせてやりたいな)
可愛い生徒が見せてきたのは、緊張した面持ちの証明写真と鮮やかな水色のラインが入った一枚のカード。
なんてことはない。ありふれた運転免許証だった。
彼女自身の体質のせいで失念しがちだが、目の前のななし名無しという少女は立派な成人だ。
免許の一つ二つ持ってても全く不思議ではない年齢なのだが──
「え、いつの間に取ったの?」
「つい先週です。任務の合間に教習所に通って、一発合格です。」
誇らしげにブイサインをする名無しがあまりにも可愛くて、僕は頬が緩むのをグッと堪える。
なぜって?一応僕は彼女の先生だからね。
「凄いじゃーん、よく頑張ったね」と頭を撫でてあげれば、名無しは珍しく『むふ』と子供みたいにふっくら笑った。可愛い。
「免許取得祝い、何かしなくちゃね。え〜どうしよう。車買ってあげようか?何がいい?」
「それ、お祝いってレベルじゃないんですよ、五条さん。正直ドン引きです。」
にこにこ笑っていた名無しの表情がスンと急降下する。
冗談じゃなくて本心なのに、ドン引きされるなんて僕としては非常に心外だ。
「でも買うとしたら…車は取り回しが良さそうなコンパクトカーか軽四がいいですね。
……あ、言っておきますけど、ちゃんとお金貯めて自分で買いますからね?フリじゃないですよ?絶対に買わないでくださいね。」
「え〜、免許お祝い出来ないじゃん。」
釘を刺された僕は、可愛こぶって口先を尖らせて拗ねて見せるが、それでも彼女が『じゃあ車買ってください』なんて当然言うはずもなく。
くるりとした黒い瞳を閉じて、考えること数秒。
名無しは口にしていいのか不安そうに言い淀み、そっと僕へ提案してきた。
「……えっと…じゃあ、ドライブに付き合って貰えます?レンタカーとか借りて。」
「それ、むしろ僕へのご褒美じゃない?」
「そうなんですか?五条さんの休日を一日貰ってしまうので、かなり図々しいお願いかと思ったんですけど…」
「図々しいっていうのは、前日に仕事捩じ込んでくるジジイ共みたいな連中を言うんだよ」
なんて可愛らしいおねだりだろうか。
こう言ってはなんだが、誰かとドライブなんて初めての経験だ。
学生だったから当然、傑とドライブで遊びに行った経験などない。
硝子は車を持ってはいるが、多忙な上『酒を飲みたい』という理由だからか車を出すことが滅多にない。
最近したドライブなんて、あえて挙げるとすれば任務、仕事、任務、仕事のオンパレードだ。
更に言えば、今まで身体の関係があった女とも、当然ドライブなんて健全なことをするはずもなく。
いつだったか硝子に『本命童貞』なんて嫌味を言われたが、全くもってその通りだった。
次の休み。
好きな子と、ドライブ。
「つまりこれって、デートじゃない?」
飛び跳ねたくなる感情を抑えるのも一苦労だ。
緩みきった口元を隠して、僕は浮ついた声音で彼女へ問うた。
「……デートっていうのは付き合っている男女のお話でしょう?」
なんて、寄り付く島もない回答が、無慈悲にも返ってきたのだけど。
ファーストドライブ!#01
(早く『もちろんデートですよ』って言わせてやりたいな)
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