青藍の冬至
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「名無しちゃん、買い物行こうか。」
私の髪をサクサク切りながら、五条さんはそう言った。
『髪にはあまり呪力はない』と言っていたあの人達。
おかげで切られた一部だけ、長さがバラバラになって正直みっともなかった。
自分で髪を切ろうと洗面台の前で頑張っていたら『僕が切ってあげようか?』と五条さんが声を掛けてくれた。
有難かったし、自分で切るより綺麗になるだろうと思って二つ返事でお願いしたのだが――。
「買い物。」
「そ、買い物。服もないし、この部屋一人暮らし仕様だし。」
確かに。
朝食で出してくれたお皿だって、柄も大きさも違うチグハグなものだった。
箸も客用のものはなく、割り箸を使ったくらいだ。
「でも、あの……」
「お金はねぇ、使うヒマがなくて余ってるくらいだから気にしないで。」
「ぐ………。」
恥ずかしい。
考えている事が、完全に読まれている。
「…じゃ、じゃあ、家事とか頑張ってお手伝いします」
苦肉の策でそう答えれば、満足そうに五条さんはうんうんと頷いた。
……よくよく考えたら、この人は不思議な人だと思う。
目隠ししているのにどうして生活出来ているのか、とか。
どうしてあの場に居たのか。
この人は何者で、誰なのか。
悪意がないことは確かだ。
それだけで安心出来たし、こうやって刃物を持って背後に立たれても、正直平気だった。
何を考えているのか推量ることは難しかったが、それでいい。
それだけで、十分だった。
――この人は、『五条悟』という人は、きっと大丈夫だ。
「名無しちゃんはさぁ、もし犬猫を拾ったら犬猫にお金出して!ってお願いしちゃうの?」
「え、しません」
「つまりそういうことサ。」
「……………って、私は犬猫じゃないですよ」
犬猫の方がよっぽど可愛らしいし手間も掛からないだろう。犬猫に失礼では。
クツクツと心底楽しそうに笑う五条さんを無遠慮に見上げれば、蛍光灯に照らされた銀髪がふわふわと揺れている。
意地悪そうに歪められた口元がなんだか悔しくて、私は小さく口先を尖らせた。
青藍の冬至#05
「………………………わん。」
拗ねたように犬の鳴き真似をする少女。
動物に例えたのはお気に召さなかったのだろうか。
切り揃えた髪を払うように、僕はムツゴロウさんよろしくクシャクシャと頭を撫で回した。
私の髪をサクサク切りながら、五条さんはそう言った。
『髪にはあまり呪力はない』と言っていたあの人達。
おかげで切られた一部だけ、長さがバラバラになって正直みっともなかった。
自分で髪を切ろうと洗面台の前で頑張っていたら『僕が切ってあげようか?』と五条さんが声を掛けてくれた。
有難かったし、自分で切るより綺麗になるだろうと思って二つ返事でお願いしたのだが――。
「買い物。」
「そ、買い物。服もないし、この部屋一人暮らし仕様だし。」
確かに。
朝食で出してくれたお皿だって、柄も大きさも違うチグハグなものだった。
箸も客用のものはなく、割り箸を使ったくらいだ。
「でも、あの……」
「お金はねぇ、使うヒマがなくて余ってるくらいだから気にしないで。」
「ぐ………。」
恥ずかしい。
考えている事が、完全に読まれている。
「…じゃ、じゃあ、家事とか頑張ってお手伝いします」
苦肉の策でそう答えれば、満足そうに五条さんはうんうんと頷いた。
……よくよく考えたら、この人は不思議な人だと思う。
目隠ししているのにどうして生活出来ているのか、とか。
どうしてあの場に居たのか。
この人は何者で、誰なのか。
悪意がないことは確かだ。
それだけで安心出来たし、こうやって刃物を持って背後に立たれても、正直平気だった。
何を考えているのか推量ることは難しかったが、それでいい。
それだけで、十分だった。
――この人は、『五条悟』という人は、きっと大丈夫だ。
「名無しちゃんはさぁ、もし犬猫を拾ったら犬猫にお金出して!ってお願いしちゃうの?」
「え、しません」
「つまりそういうことサ。」
「……………って、私は犬猫じゃないですよ」
犬猫の方がよっぽど可愛らしいし手間も掛からないだろう。犬猫に失礼では。
クツクツと心底楽しそうに笑う五条さんを無遠慮に見上げれば、蛍光灯に照らされた銀髪がふわふわと揺れている。
意地悪そうに歪められた口元がなんだか悔しくて、私は小さく口先を尖らせた。
青藍の冬至#05
「………………………わん。」
拗ねたように犬の鳴き真似をする少女。
動物に例えたのはお気に召さなかったのだろうか。
切り揃えた髪を払うように、僕はムツゴロウさんよろしくクシャクシャと頭を撫で回した。