榛と白露
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「なんや、つまらんわぁ」
持ち出した例の『血』を土地に撒いたというのに、あっさり祓われてしまうとは。
あの『五条悟』が気に入っている二人が死んでしまえば、少しは堪えるかと思ったのだが――
(そう簡単にはいかんなぁ)
一人は呪術師の真似事をし始めて一年足らず。
もう一人は呪術から逃げ出した、出戻りサラリーマン。
平家の遺した呪骸を使えば呪術師は死に、『猿』は死に、八百比丘尼は死に、生意気な高専に少しは嫌がらせ出来るかと思ったが。
(あぁ、アカンアカン。せや、アレは死なんかったなぁ)
戯れに一度見たことがある。
黴臭い部屋、血溜まりの中。
顔を覚えられてはいけないと配慮からか、アレは目隠しをされていた。
やせ細った手足は死体に近いのに、裂かれた腹の傷は瞬きをするような速さで治っていく様は、驚きを通り越して気味が悪かった。
しかし、さてさて。どうしたものか。
枯れ枝のようだった手足は人並みになり、目隠しを取り払い露わになった顔立ちは中々悪くないときた。
嫌がらせのように虐め抜き、ぐちゃぐちゃになるまで泣かせて組み敷いたら、――あぁ。さぞかし愉しいだろう。
呪具ではあるが、それはそれ。
女であることには変わりはない。
悪くない術式も持っているのだから、あわよくば孕ませてしまえばいい。
榛と白露#■■
(出涸らしの双子よりはマシやろ)
小高い木の上から頬杖をつきつつ、禪院直哉はそっと口元を歪めるのであった。
持ち出した例の『血』を土地に撒いたというのに、あっさり祓われてしまうとは。
あの『五条悟』が気に入っている二人が死んでしまえば、少しは堪えるかと思ったのだが――
(そう簡単にはいかんなぁ)
一人は呪術師の真似事をし始めて一年足らず。
もう一人は呪術から逃げ出した、出戻りサラリーマン。
平家の遺した呪骸を使えば呪術師は死に、『猿』は死に、八百比丘尼は死に、生意気な高専に少しは嫌がらせ出来るかと思ったが。
(あぁ、アカンアカン。せや、アレは死なんかったなぁ)
戯れに一度見たことがある。
黴臭い部屋、血溜まりの中。
顔を覚えられてはいけないと配慮からか、アレは目隠しをされていた。
やせ細った手足は死体に近いのに、裂かれた腹の傷は瞬きをするような速さで治っていく様は、驚きを通り越して気味が悪かった。
しかし、さてさて。どうしたものか。
枯れ枝のようだった手足は人並みになり、目隠しを取り払い露わになった顔立ちは中々悪くないときた。
嫌がらせのように虐め抜き、ぐちゃぐちゃになるまで泣かせて組み敷いたら、――あぁ。さぞかし愉しいだろう。
呪具ではあるが、それはそれ。
女であることには変わりはない。
悪くない術式も持っているのだから、あわよくば孕ませてしまえばいい。
榛と白露#■■
(出涸らしの双子よりはマシやろ)
小高い木の上から頬杖をつきつつ、禪院直哉はそっと口元を歪めるのであった。
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