萌黄の清明
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「駄目だ。」
いつもより表情を固くした夜蛾がピシャリと言い放った。
「なんでです?」
「お前が指名された任務だろう。」
「だから見学学習なんじゃないっすか」
「今回は特級案件だぞ?」
それは初耳だ。
五条を見遣れば「むしろ僕に寄越す任務なんて面倒なのばかりでしょ」と悪びれなく笑ってる。
「折角の学ぶチャンスを逃そうとするなんて、教育者としてどうなんです?それ。」
「程度と加減というものを知らんのか。そもそも、名無しはまだ術者として階級すら与えられていない状況だぞ。俺が認めても上が認めないだろう」
――特級呪術師でなければ、就けない任務。それが特級案件。
特級でなければいけない、というならば……
「あの……『特級呪具』を携帯する、という名目じゃダメなんですかね?」
名無しがおずおずと手を挙げ、そろりと二人に進言する。
呪術師としてまだ認められていないというなら、この肩書きを使えばいいのではないだろうか。
つまり、五条悟は『呪具』を《万が一に備えて》持っていく。
これならば辻褄が合うし、咎めるための正当な理由は何一つない。
「…………名無し、そういう捻くれた発想は誰に似たんだ?」
呆れたようにスポーツ刈りの頭を掻きむしる夜蛾。
『そこの不満そうな顔をした白髪の先生です。』とはとてもじゃないが言えず、名無しはただ困ったように苦笑いを浮かべた。
萌黄の清明#05
「名無し、そういうとこあるよね」
新幹線の中で五条が不満そうに呟いた。
五条が怒っている理由は、分かっている。
「すみません。」
「まぁ、名無しが謝ることじゃないんだけどぉ…」
「んー」と言葉を濁しながら、次の言葉を選ぶ五条を見ながら、名無しは本日二度目の苦笑を浮かべた。
「私は気にしていませんから大丈夫ですよ。」
「嘘ばっか」
「いえ、本当に。第一、そんなことで落ち込んでいたらキリがないですし、使えるものはどんどん使っていかないと。」
五条曰く『腐ったミカン』のような上層部の方々が『呪具』だと言うならば、呪具らしく持って行って貰おうじゃないか。
「……名無しってさぁ、」
「はい。」
「見た目に反して逞しいよね。」
「それは褒め言葉として取ればいいんですかね…?」
「呪術師にとって大事な事だよ」と言って笑い、五条は売店で買ったポッキーを咀嚼した。
向かう先は呪術の本拠地・京都。
いつもより表情を固くした夜蛾がピシャリと言い放った。
「なんでです?」
「お前が指名された任務だろう。」
「だから見学学習なんじゃないっすか」
「今回は特級案件だぞ?」
それは初耳だ。
五条を見遣れば「むしろ僕に寄越す任務なんて面倒なのばかりでしょ」と悪びれなく笑ってる。
「折角の学ぶチャンスを逃そうとするなんて、教育者としてどうなんです?それ。」
「程度と加減というものを知らんのか。そもそも、名無しはまだ術者として階級すら与えられていない状況だぞ。俺が認めても上が認めないだろう」
――特級呪術師でなければ、就けない任務。それが特級案件。
特級でなければいけない、というならば……
「あの……『特級呪具』を携帯する、という名目じゃダメなんですかね?」
名無しがおずおずと手を挙げ、そろりと二人に進言する。
呪術師としてまだ認められていないというなら、この肩書きを使えばいいのではないだろうか。
つまり、五条悟は『呪具』を《万が一に備えて》持っていく。
これならば辻褄が合うし、咎めるための正当な理由は何一つない。
「…………名無し、そういう捻くれた発想は誰に似たんだ?」
呆れたようにスポーツ刈りの頭を掻きむしる夜蛾。
『そこの不満そうな顔をした白髪の先生です。』とはとてもじゃないが言えず、名無しはただ困ったように苦笑いを浮かべた。
萌黄の清明#05
「名無し、そういうとこあるよね」
新幹線の中で五条が不満そうに呟いた。
五条が怒っている理由は、分かっている。
「すみません。」
「まぁ、名無しが謝ることじゃないんだけどぉ…」
「んー」と言葉を濁しながら、次の言葉を選ぶ五条を見ながら、名無しは本日二度目の苦笑を浮かべた。
「私は気にしていませんから大丈夫ですよ。」
「嘘ばっか」
「いえ、本当に。第一、そんなことで落ち込んでいたらキリがないですし、使えるものはどんどん使っていかないと。」
五条曰く『腐ったミカン』のような上層部の方々が『呪具』だと言うならば、呪具らしく持って行って貰おうじゃないか。
「……名無しってさぁ、」
「はい。」
「見た目に反して逞しいよね。」
「それは褒め言葉として取ればいいんですかね…?」
「呪術師にとって大事な事だよ」と言って笑い、五条は売店で買ったポッキーを咀嚼した。
向かう先は呪術の本拠地・京都。