萌黄の清明
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「名無しってさぁ、」
五条が帳を解きながらポソリと声を上げる。
スカートの裾を軽く叩きながら、呼ばれた名無しは不思議そうに見上げた。
「コツを掴んだら段飛ばしで成長しちゃうタイプなの?」
入学してからの、初任務。
肩慣らしのような低級呪霊を、撫でるように祓った名無しを眺めながら五条は考えた。
高専入学前に色々あったが、その日からあれやこれやと術のレパートリーを増やしていっている。
元々応用が非常に利く術式であるが故か、文字通り『一日毎』に成長していった。
「特にそれは言われたことないですけどね。」
反転術式の『呪力の流れ』を理解したからこそ、分解の対である『生成』が扱えるようになっただけで。
五条が言う程の成長は、本人としてはあまり実感がなかった。
といっても、やはり『五条先生』としては少し面白くない。
何故ならそのきっかけになったのが自分ではなく夏油なのだから。
お株を取られた気分になったのは勿論、モヤモヤと心に陰りを落とすような嫉妬心が湧き出ていた。
――彼女が腹を括った理由が『五条悟』なのは、五条自身は知らないようだが。
「何か新技考えようよ〜。ほら、ビームとか出せないの?」
「そんな『ここら辺にコンビニないの?』みたいな軽いノリで言わないでくださいよ…」
「えー。」
「えー、じゃありません。」
ブーブーと口先を尖らす五条へ呆れたような視線を向ける名無し。
ご要望とあらば、出せるものなら出したいが……人間、限度というものがある。
人が空を飛べないように、人は普通ビームなど放てないのだ。
――ん?空?
「……空なら走れなくはないかもしれませんけど。」
「マジ?」
「いえ、試していないのでなんとも。まだ机上の空論の話ですから」
あくまで理論上の話だ。
実用的に使えるのはもしかしたら半年後かもしれないし、十年後かもしれない。
「まぁ、でも出来たら夢のある話ですよね。」
子供のように興味を示した五条へ笑いながら、名無しは小さく背伸びした。
***
「さぁて!無事に初任務も終わったし、何かご飯でも食べに行く?寿司?ビフテキ?」
五条が後ろからおんぶお化けのようにのしかかってくる。
正直190cm超の大男が背後から覆い被さってくると、かなり重たいし、すっぽり収まってしまう。
「五条先生は何か食べたいものはありますか?」
「僕はなんでも。名無しの初任務祝いだから好きなの言いなさいな。」
くしゃくしゃと撫でられる頭。
大きな手が無造作に髪を掻き乱してくるものだから、名無しは苦笑いを浮かべて髪を手櫛で整え直した。
「じゃあ、ラーメン食べたいです。」
「えー。いいの?僕の奢りだよ?」
「むしろ今まで全部五条先生持ちじゃないですか…」
保護してもらっている身だから、というのもあるが、生活費諸々まで世話になっていた身だ。
ラーメンでも十分すぎる。
……欲を言えば五条が作ったご飯なのだが、課外授業の後だ。それは手間だしワガママだろう。
名無しはそっと候補から外した。
「じゃあ炒飯と餃子や唐揚げも頼んじゃお。美味しいとこ知ってるからさ」
「……何でそんなに五条先生が細いのか、不思議で仕方ないです」
萌黄の清明#03
炭水化物に炭水化物。そのカロリーはどこに消えているのやら。
名無しが呆れたように眉を寄せると「それは内緒。」と五条が悪戯っぽく笑うのであった。
五条が帳を解きながらポソリと声を上げる。
スカートの裾を軽く叩きながら、呼ばれた名無しは不思議そうに見上げた。
「コツを掴んだら段飛ばしで成長しちゃうタイプなの?」
入学してからの、初任務。
肩慣らしのような低級呪霊を、撫でるように祓った名無しを眺めながら五条は考えた。
高専入学前に色々あったが、その日からあれやこれやと術のレパートリーを増やしていっている。
元々応用が非常に利く術式であるが故か、文字通り『一日毎』に成長していった。
「特にそれは言われたことないですけどね。」
反転術式の『呪力の流れ』を理解したからこそ、分解の対である『生成』が扱えるようになっただけで。
五条が言う程の成長は、本人としてはあまり実感がなかった。
といっても、やはり『五条先生』としては少し面白くない。
何故ならそのきっかけになったのが自分ではなく夏油なのだから。
お株を取られた気分になったのは勿論、モヤモヤと心に陰りを落とすような嫉妬心が湧き出ていた。
――彼女が腹を括った理由が『五条悟』なのは、五条自身は知らないようだが。
「何か新技考えようよ〜。ほら、ビームとか出せないの?」
「そんな『ここら辺にコンビニないの?』みたいな軽いノリで言わないでくださいよ…」
「えー。」
「えー、じゃありません。」
ブーブーと口先を尖らす五条へ呆れたような視線を向ける名無し。
ご要望とあらば、出せるものなら出したいが……人間、限度というものがある。
人が空を飛べないように、人は普通ビームなど放てないのだ。
――ん?空?
「……空なら走れなくはないかもしれませんけど。」
「マジ?」
「いえ、試していないのでなんとも。まだ机上の空論の話ですから」
あくまで理論上の話だ。
実用的に使えるのはもしかしたら半年後かもしれないし、十年後かもしれない。
「まぁ、でも出来たら夢のある話ですよね。」
子供のように興味を示した五条へ笑いながら、名無しは小さく背伸びした。
***
「さぁて!無事に初任務も終わったし、何かご飯でも食べに行く?寿司?ビフテキ?」
五条が後ろからおんぶお化けのようにのしかかってくる。
正直190cm超の大男が背後から覆い被さってくると、かなり重たいし、すっぽり収まってしまう。
「五条先生は何か食べたいものはありますか?」
「僕はなんでも。名無しの初任務祝いだから好きなの言いなさいな。」
くしゃくしゃと撫でられる頭。
大きな手が無造作に髪を掻き乱してくるものだから、名無しは苦笑いを浮かべて髪を手櫛で整え直した。
「じゃあ、ラーメン食べたいです。」
「えー。いいの?僕の奢りだよ?」
「むしろ今まで全部五条先生持ちじゃないですか…」
保護してもらっている身だから、というのもあるが、生活費諸々まで世話になっていた身だ。
ラーメンでも十分すぎる。
……欲を言えば五条が作ったご飯なのだが、課外授業の後だ。それは手間だしワガママだろう。
名無しはそっと候補から外した。
「じゃあ炒飯と餃子や唐揚げも頼んじゃお。美味しいとこ知ってるからさ」
「……何でそんなに五条先生が細いのか、不思議で仕方ないです」
萌黄の清明#03
炭水化物に炭水化物。そのカロリーはどこに消えているのやら。
名無しが呆れたように眉を寄せると「それは内緒。」と五条が悪戯っぽく笑うのであった。