萌黄の清明
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春。
桜前線が過ぎ、ソメイヨシノが桜吹雪を舞散らす季節。
「よい、しょっと。」
荷物を降ろし、腰をトントンと拳で叩く。
真新しいカーテン。
真新しいシーツ。
窓を開け放てば新緑の香りが部屋いっぱいに吹き込んだ。
――今日から、寮で生活を始めます。
もとい。
東京都立呪術高等専門学校に入学します。
***
数日前。
パーカーがついた黒い制服。
くるりとターンすればふわりとスカートの裾が空気を孕む。
制服の意匠は自由にできると五条から聞いていたが、特に要望もなく『オススメで。』と答えた。
そんな行きつけの定食屋のような注文をしてしまったのが数週間前。
『僕がカスタムしといたよん』と語尾がやけに浮ついた五条に手渡されたのがこの制服。
――なのだが。
「五条さん。スカート、ちょっと短くないですか…?」
「だって短くしたもーん。」
「もーん、じゃないですよ」
と言っても一昔前の女子高生ほどではない。
けれど動くにはちょっと気になる丈の長さではある。
「だからショートパンツもつけてもらってるじゃない。僕は渋々だけど。渋々なんだけどね?」
「……それをするくらいならズボンでよくないです?」
きっと制服の縫製を担当する人が善意でつけてくれたのだろう。
だが、それをするくらいならいっそ男子制服のようなズボンでもいいのではないかと思うのだが――。
「ずぇ〜たい、駄目。
分かってないなぁ、名無しちゃんは。スカートは男のロマンだよ!?」
欲を言えばショートパンツもなしにしたかった…!
サングラスの隙間から見える目元が、本当に悔しそうに閉じられる。
手元は強く拳を握られ、口惜しそうに歯軋りまでする始末だ。
この数ヶ月でよく分かったことがある。
五条さん、こういうところある。
「……五条さんのえっち。」
萌黄の清明#01
「…………ね。もう一回言って?」
「なんで嬉しそうなんですか…セクハラですよ…」
桜前線が過ぎ、ソメイヨシノが桜吹雪を舞散らす季節。
「よい、しょっと。」
荷物を降ろし、腰をトントンと拳で叩く。
真新しいカーテン。
真新しいシーツ。
窓を開け放てば新緑の香りが部屋いっぱいに吹き込んだ。
――今日から、寮で生活を始めます。
もとい。
東京都立呪術高等専門学校に入学します。
***
数日前。
パーカーがついた黒い制服。
くるりとターンすればふわりとスカートの裾が空気を孕む。
制服の意匠は自由にできると五条から聞いていたが、特に要望もなく『オススメで。』と答えた。
そんな行きつけの定食屋のような注文をしてしまったのが数週間前。
『僕がカスタムしといたよん』と語尾がやけに浮ついた五条に手渡されたのがこの制服。
――なのだが。
「五条さん。スカート、ちょっと短くないですか…?」
「だって短くしたもーん。」
「もーん、じゃないですよ」
と言っても一昔前の女子高生ほどではない。
けれど動くにはちょっと気になる丈の長さではある。
「だからショートパンツもつけてもらってるじゃない。僕は渋々だけど。渋々なんだけどね?」
「……それをするくらいならズボンでよくないです?」
きっと制服の縫製を担当する人が善意でつけてくれたのだろう。
だが、それをするくらいならいっそ男子制服のようなズボンでもいいのではないかと思うのだが――。
「ずぇ〜たい、駄目。
分かってないなぁ、名無しちゃんは。スカートは男のロマンだよ!?」
欲を言えばショートパンツもなしにしたかった…!
サングラスの隙間から見える目元が、本当に悔しそうに閉じられる。
手元は強く拳を握られ、口惜しそうに歯軋りまでする始末だ。
この数ヶ月でよく分かったことがある。
五条さん、こういうところある。
「……五条さんのえっち。」
萌黄の清明#01
「…………ね。もう一回言って?」
「なんで嬉しそうなんですか…セクハラですよ…」
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